表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
IMATE  作者: 風雅雪夜
はじまり
3/88

地理

・ウルガルド王国

 主人公・カイの住んでいる国。私達の世界でいうとヨーロッパの内陸に位置している。国土の大きさはドイツぐらい。

 ウルガルド王が治めている。質の高い兵士や魔導士が多い。近隣諸国でも、一目をおかれる聖剣士・ラツィオと無属性国家魔導賢者・キュリアを擁している。

 魔法と医学に強い国。


・リーゲルト公国

 旅の目的地。公国軍最年少将校の神速のエルバを擁する軍事国家。エレニア公爵が国を治めている。

 旅立ちまであと3日と迫った今日、カイとカルラは王宮に呼び出された。



「なんだろう」

「まさか、中止?」

「え?」

「人数が少なすぎて。隠密には少ない方がいいけど、壊滅させるには多い方がいい」



 不安のまま、王の前に出る。



「西方の地にリーゲルド公国という国があるのを知っておるか?」



 聞いたことがある。そこの軍隊はとても統率のとれた強い軍だと。特にその軍の一小隊を統べる最年少将校、神速のエルバという素早い剣裁きの者がいる、と。



「公国のエレニア公があの神速のエルバの力を貸してくれると先程手紙が来たのだ」

「あのエルバが」

「今は二人じゃが、今、隣国や遠方の地に使いを寄越し協力を仰いでおる。近々、仲間が増えるぞ」



 色々と影で根回しをしていたらしい。流石、王。



「それで王、彼らはいつ合流を?」



 カルラが聞くと、王は微笑んだ。



「……わからん」



 ややあって、答えた。

 その直後、カイの隣からピキッと音が聞こえた。



「メーラフィリア!」

「ぎゃあああぁぁぁぁぁ!!!!!!」



 カルラが玉座を取り巻くように炎の渦を作った。



「(あぁ、カルラ姉、おこだ。激おこだ)」



 こうなると、誰にも止められないのだ。だから、カイはカルラの気が収まるまで何もしない。してはならない。巻き込まれるからだ。



「か、カイィィィィィィィ!!!!!! 助けてくれー!!!!!!」

「嫌です。死にます」



 即答する。巻き込まれたくないからだ。炎の柱を見て周りの小姓がわたわたしている。カルラの怒りに触れたくはないが助けた方が良さそうだ。小姓達に悪い。カルラは威嚇でやっているが、万が一もある。カルラのことだからミスなんてするわけはないのだが、止めさせよう。



「出でよ、ルリ。カルラの火を消すんだ」

「はい、マスター」



 カイの瑠璃色の石から青い少女が現れる。

 ルリと呼ばれたイメートはカイの命令を受けて王の周りを水の壁で覆った。そして、そのままカルラの火を取り囲んで消してしまった。



「…………ルリ」

「はい、カルラ様」

「邪魔しないで」

「それは出来ません。カルラ様が王様を焼いては重罪人になってしまいます。そして辛い生活になります。マスターも私も、キュリア様も悲しみます」



 ぎゅっと拳を握りしめていたカルラは、仕方ない、というように手の力を抜いた。



「王様も悪いですよ。笑顔で誤魔化しても何も解決しません。二人で旅立つマスター達のことも考えてください」



 イメートに説教される王に威厳はなく、塩をふった青菜のようだった。



「(しゅんとしすぎだよ、王様……。ルリも程ほどにしないと王様の心が折れるよー)」



 心の中で思った。



「マスター、お説教が終わりましたので、私、戻りますね」



 そう言って石の姿に戻った。



「王様に説教できるの、ルリくらいね」

「なんか、わしの乳母ぎみに似ていて言い返せない」

「乳母ぎみ」



 カルラは必死で笑いをこらえている。

 乳母ぎみに怒られる王を想像したのだろう。それにしても、乳母ぎみはどんな人だったのだろう。もう生きていないだろう。そう思うと悲しくなった。



「カイ、お前、何故泣きそうなのだ?」



 王が慌て出す。

 大切な人と会えなくなる辛さは、カイも知っている。だからこそ、泣きそうになるのだ。



「……カイ」



 カルラは笑うのをやめて心配そうに視線を送る。



「大丈夫だよ、カルラ姉。大丈夫です、王様。兄のことを思い出しただけです」



 禁句に触れたようで二人は焦ったがカイは明るく言った。



「それで王様、エルバは僕らが迎えに行けばいいのですか?」

「あ、あぁ。今は任務のため合流することができないようでの」

「わかりました」



 カルラに顔を向けてカイは言う。



「カルラ姉、僕さ、この国から出たことがないから、世界を見るのが楽しみだよ」

「……そうだね。お姉ちゃんが連れていくから」

「うん」



 旅はこれから始まる。

 純粋な心の優しい少年と、賢者の弟子の冒険が。

人物紹介

・カルラ

 魔女。主人公と行動を共にする。キュリアの昔の弟子で主人公の先輩で姉弟子。国家魔導士の資格を最年少で獲得した。魔導士ギルドに所属していたが、主人公と共に魔王を倒す命を受け、共に旅立つ。19歳。

 魔法属性は無属性という、珍しい属性。一通りの魔法属性がある。中でも、光、闇、風属性が強い。自由の魔女と呼ばれている(属性に縛られないという意味)。


・ウルガルド王

 ウルガルド王国の王。国家魔導賢者キュリアの友人。キュリアの地位を剥奪させるのを惜しいと思っている。危ない彼女をよく助けるお人好しな王。キュリアの幼いときからの付き合いで、互いによく知る間柄。王の方がキュリアよりも十歳以上歳上。とても温厚な性格。乳母に似ているルリが少し苦手。


・ルリ

 主人公のイメート。妖精型・精霊種・ウンディーネ。水を操り、回復魔法に特化した妖精型イメート。主人公の身の回りの世話、食事の準備など、やることが多い。透き通った海のような青い瑠璃色の石で水色の雫の模様がある石の姿をとる。

 水、液体であれば操れる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ