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IMATE  作者: 風雅雪夜
はじまり
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魔法属性

 それぞれの属性には意味がある。

・火属性…火を扱う。

・光属性…光を扱う。闇を払う。

・風属性…風を扱う。

・水属性…水を扱う。

・闇属性…闇や呪いを扱う。光を飲み込む。

・土属性…土や砂、石を扱う。

・無属性…時間と空間を扱う。使い方によっては便利だが、使い方を間違えれば、己に直ぐにその罰が帰ってくる。邪な心を持つ無属性魔導士は早々に死ぬと言われている。正しくその力を使うことで、国王から認められる無属性国家魔導士となる。

 また、隣り合う属性を使うことで更なる能力が得られる。

例)風+水→雪

火+土→金属


魔方陣

 円と六芒星を基調として描かれる。円、三角形、四角形、五角形、五芒星などの図が必要に応じて描かれることもある。

 魔法を使うときに手元や足元に光ながら浮かび上がる。魔方陣の色は個人差があるが、使用する魔法属性の色に由来する。火属性なら赤、水属性なら青、風属性なら緑、土属性なら橙色、光属性なら黄色、闇属性なら紫色に光る。

 旅の準備のため荷造りをするカイ。母親代わりとして、彼の成長を見てきたキュリアは嬉しいような寂しいような気持ちだった。



「キュリア」

「何、カルラ?」

「どうするの?」

「何がよ?」

「イメート、カイの」

「大丈夫でしょ?」



 カルラはため息をつく。話が噛み合わないのだ。



「ちょっと何よ、そのため息」

「……黒いの」

「黒? ……そうだ、黒いの……」



 キュリアは思い出した。カイが生み出した最初にして、最悪で、最強のイメートを。



「何とかしないと…行ってくる」

「私が行くから、ちょっと落ち着いて」



 カイの生活しているラツィオの家に向かった。






「お前達、特にキュリア、どうした?」

「カイ、いる?」



 カルラが聞く。



「ああ、まだ準備しているが……あ、おい、カルラ」



 勝手にラツィオとカイの家に入るカルラ。二階のカイの部屋へ一直線だ。



「カイ」



 部屋の前でカイを呼ぶとすぐにカイが出てきた。



「旅立つ前にカイにはやっておくことがある」

「……あのイメートだね」



 カイも分かっていた。






『カイ、どんなイメートがいい?』

『うーん、僕とお友だちになってくれたらいいなぁ』

『なってくれるわよ。どんな感じの見た目で、どんなことができたらいい?』

『僕と同じ感じで、僕を守ってくれたらいいな。僕はまだ弱いから』

『そっかぁ』



『我、星のもとに眷属を生み出す。我、カイの名に応え、生まれ出でよ。イメート!』



 緑色の魔方陣が光を放つ。そして、生まれ出でたのは、カイと同じくらいの子供のようだった。



『はぁ! やったぁ!』

『ええ! ………っ! カイ、離れて!!』

『え?』

『ぅぅうがあぁぁぁあ!!!』



 咆哮でキュリアの家が震える。



『カイ! 大丈夫?』

『う、うん』

『不味いわね』



 子供のイメートは恐ろしいほどの魔力を秘めていた。そして、恐ろしい姿をしていた。額から伸びる二本の角、手足の指からは長く鋭い爪、少し尖った耳、口から覗小さな牙。体には、炎のように覆う邪悪な魔力。キュリアには一目でこのイメートに起きている現象が分かった。



『暴走してる。カイ! カルラを連れてきて、早く!』



 しかし、カイは驚きのあまり動けないでいる。



『仕方ない、頼んだわよ!』



 自分のイメートに町へ行ったカルラを呼び戻すように伝え放った。



『さぁ、大人しくしなさい!』



 キュリアとイメートが戦い出す。



『まず、目を覚ましなさい!』



 得意の水魔法で向かってくるイメートを押し返す。その間にカイの周りに空間魔法でシールドを作り、カイを守る。



『カイ! この子に与えた力は何? 弱点は?』

『どうして……僕を守ってくれるはずなのに……』

『カイ! っ! このっ!』



 水から抜け出し、再びキュリアに襲いかかる。



『空間転移!』



 すんでのところでイメートを遠くに移動させた。



『カイを守る存在……』



 キュリアは考えていた。



『ガウゥッ!!』



 イメートは魔力の塊を拳から放った。



『やばっ!』



 キュリアはあわてて避けた。そのまま真っ直ぐに進んだ塊はキュリアとカイの家を破壊した。



『あーーっ!!! あとで直すからいいけど、どーしてくれるのよ!』



 キュリアも負けじと攻撃を繰り出す。

 カイはどうしていいか分からなかった。その時だ。急に兄との記憶を思い出した。




『動物に音楽を聴かせると、おとなしくなるぞ。本にも書いてあった。とても怖いケルベロスっていう犬も音楽を聴かせると寝るみたいだ』




『音楽……』



 カイは手元の草を摘み、口元へ近づけた。

 その場に不釣り合いな綺麗な音色が響いた。イメートの動きが止まった。



『がぅ……』



 カイの方を見ている。すると、次第に落ち着いてきたのか体を覆っていた魔力は徐々に消え、ゆっくり目を閉じると倒れた。



『終わった』



 イメートの体を動けないように魔法で作った手枷と足枷を付ける。



『我、汝に命ずる。この者の悪しき力を押さえたまえ。光魔法、光印』



 魔の力を押さえるために枷に更に魔法をかけた。



『カイ、もう大丈夫だよ』

『死んじゃったの?』

『大丈夫、生きてるよ。力を押さえてるから、もう暴走はしないよ。さて、……直さないとなぁ』



 崩れた家を見る。



『しんどいなぁ』

『キュリア!』



 町に買い物に行っていたカルラが帰ってきた。



『ありがと』



 イメートを石の姿に戻し、カルラに今あったことを話す。

 怒るでも驚くでもなく彼女は話を聞いていた。キュリアが家を直し終わって彼女は言った。



『どうするの?』

『そうねぇ……』



 自分のイメートの看病をするカイを見ながら呟く。



『また暴れたら大変。カイには悪いけど、あの子を』

『だめだよ』



 カイが言った。



『僕の友達だから、僕が守る』

『でも、カイ。そのイメートは』

『カルラ』



 キュリアがカルラを制する。



『カイ、貴方がもっと大きくなって強くなったら、彼をもう一度出してあげよう。それまで、石の姿で』

『分かった』



 少年を石の姿にすると、とても粗削りな黒い石の姿になった。



『もっと、強くなるから』



 カイは石を握りしめて言った。






 都市から離れた自然がたくさんのキュリアの家にやって来たカイは深呼吸をする。



「今なら、大丈夫だよね」

「うん。きっと。大丈夫、私もいる」

「ありがと、カルラ姉」



 黒い石を取り出す。



「出でよ、イメート」



 黒い石は、黒紫の光を放ちながら人の姿を形作った。



「え」

「あれ?」



 そこにいたのは幼い子供ではなかった。自分達と同じくらいの背丈の青年だった。



「え、ちょっとカイ。あれ誰? あの子は?」

「あの石は、あの子の石だから、別の人が入ってるわけないよ。間違ってもないよ。ずっと大切にしてきたんだから」



 こそこそと二人で話していると、キュリアが男に近づいた。



「君はカイのイメート?」

「あぁ、そうだ魔女」



 イメートは答えた。



「ほら、やっぱり」

「別のじゃないの? 別のでしょ?」

「二人とも、現実を見なさい」



 キュリアが二人に言う。



「やっぱり、大きくなっていたのね」

「枷、壊れた」

「成長したものね。暴走してないみたいね。もう枷は要らないんじゃない?」

「まだ、わからない。一応」

「カイみたいに慎重ね。分かったわ。作ってあげるから、まず、家に入ろう」



 キュリアの家にキュリアとイメートが入る。



「あんたたちも」

「あ」



 急いでキュリアのあとに続いた。



「さて、新しい枷はどうしよう」

「……」

「カイ、ちゃんと話しなさいよ。貴方のイメートで友達なんだから」



 キュリアが何かを準備し出す。



「カイ、俺、お前のイメート」



 たどたどしく言葉を発した。



「うん。やっぱりそうだったんだね」

「カイ、俺のこと、忘れてた?」

「いや、そうじゃないんだけど……君、こんなに大きかったっけ?」

「……」



 自分の姿を見るイメート。ボロボロの服はとても小さく、短かったはずの髪も、とても長くなっている。



「……成長した」

「イメートって成長するの?」

「カイが多分、そうした。カイが俺を作るとき、友達として成長できるように、人間のようにした、はず」



 カルラがキュリアに聞く。



「そんなことあるの?」

「人型のイメートだったらそういうこともあるわ。でも、あの子は魔物型なのに成長している。多分カイが無意識になのか、彼が成長することを願ったのよ。それで成長してるんだわ。あとは、元々人型だったのが何かの間違いで魔物型に変わってしまった。初めてのイメートだし、カイはこの世界の人間じゃないから何が起こっても不思議じゃないわ」

「……そういうものなの?」

「そういうものなのよ、きっと」



 そう言いながら魔石を念糸で組んでいく。



「ずっと石の姿にさせてごめんね」

「カイ、謝らなくていい。仕方ない。暴走してた。悲劇を繰り返さないため、封印、正解」

「そっか」

「カイ、悲しい?」

「えっ?」

「カイ、悲しむことない。魔女の判断正しい。俺、カイが作ってくれなきゃいなかった。だから、感謝」

「ありがとう」



 どうやら、二人の仲は思ったほど悪くないようだ。むしろいい方だった。旅に同行しても昔のように暴走することはないだろう。



「できたわよ」



 キュリアがイメートの腕にブレスレットのようなものを結びつける。



「新しい枷よ。暴走しないように念じておいたから見た目は弱そうだけど、こうみえて強度はあるから千切れることはないわ」

「魔女、感謝」

「いいのよ、これが私の仕事だからね。それでカイ。どう正気の彼と話してみて」

「うん。遠ざけていたけれど、本当は心の中で怯えていたんだ。でも、もう大丈夫。僕はもう君に怯えないよ、クロ」

「クロ?」

「君にはまだ、名前をつけていなかったからね。クロ。黒い石の姿のイメートだからクロ。今まで一緒にいられなくてごめんね。そして、これからもよろしくね、クロ」



 クロの左胸が光り出した。



「名を与えられたことで、更に強くなったね」

「俺、カイの友達として頑張る」

「頼んだよ、クロ」



 二人は握手を交わした。

登場人物

◆カイ

 主人公。王の命により魔王の依代を奪うため、闇の道化師の一団を壊滅させるために旅立つ少年。16歳。魔剣士。

 師匠に聖剣士・ラツィオと魔導賢者・キュリアを持ち、実力が高い。十分な実力は持っているが、まだまだと修行をしている。キュリアのぶっ飛んだミスなどで大抵のことには驚かなくなった。なので、とても温厚な性格。しかし、悪いことは悪い、と善悪ははっきりしている。

 異世界人で、キュリアのせいでこの世界に止まることになってしまった。

 幼少期に兄と一緒に遊んでいたところを召喚された。

 異世界人であるがゆえか、この世界の魔法の常識が通用しない。魔法は無属性以外なら、無属性の魔導士と同じように使えるが、無属性の空間と時間の魔法が使えない。風属性の魔法を主に使う。恐らく、召喚時に風に乗ってきたためだと、キュリアは考える。



━━━━━イメートについて


 imagination mateの略称である。想像主の相棒の生き物である。相棒にして想像主の分身であり命を与えられた魔法生物。獣型、幻獣型、獣人型、魔物型、妖精型、人型に分けられる。能力や姿は様々。獣系がほとんどをしめる。次いで妖精型、少数派だが、人型も存在する。魔物型は滅多に見ることはない。

 一度に持てるイメートの数は6体。イメート達は、普段は宝石のような石の姿をしている。


◆イメートのルール

・イメートは主がどこにいても主のもとに戻ってくることができる。

・想像主の死はイメートの死を意味しているが、イメートの死で想像主は死なない。

・イメートにはそれぞれ固有の特殊能力がある。魔法の六属性の力を付与することができ、それに応じた能力を得る。

 魔法であり、生物であり、物質であるイメートの研究は日々続けられている。

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