魔法は科学で強化可能なのか?
異世界転生物が流行りはじめたその昔、異世界とかチートとかそういう言葉の作品で「魔法はイメージが大事」が主流テンプレと化してきました。
当時はまぁそういう解釈も面白いかもねとあまり深く考えずに読んでましたが、いつのまにかこの考え方が主流となりつつあるのに疑問を感じたので果たしてこれが一般的に納得できるかどうかという所感を述べてみようと思います。
該当する作品群にケチを付けたいわけではない事を予めお断りしておきます。(それはそれとして楽しく読ませていただいてるので)
さて、まず魔法と一口に言っても色々ありましてこれを英語化すると一般的にはマジックという一言に置き換わります。
マジックを日本語に再翻訳すると魔法、奇術、呪術、魔術等となります。他にも同様に仙術やら妖術、忍術はたまた超能力もこの中に入って来るかと思います。
取りあえずこの中の奇術は手品の意味合いが強いのでとりあえず除外しておきます。
そして忍術もなんだか良くわからないけどタネや仕掛けが存在することが前提で書かれる事が多いので除外します。
ということでいわゆる魔法とはタネも仕掛けも無いけど超常現象が起こるものだと私は考えております。
さて、何でこんなまわりくどい前置きを書いているかといいますと取りあえず暴論をひとまず書いてみたいためです。
タネも仕掛けも無い非科学的な超常現象的な物に科学的な理由を付けたって強くなるとかあり得無い、むしろ弱くなると思いません常識的に考えて。
かつて非電源系のゲームが少しばかり流行っていたころ、科学と魔法を始めとしたオカルトは相反する物と書き分けられている事がほとんどでした。科学を信じればオカルトからは遠ざかりオカルトを信仰するなら科学は無視せざる得ないものでした。
それはそのはずですよね、科学で説明できない物がオカルトなのですから。
さて、話を元に戻します。
良く書かれている魔法の例としてファイヤーの魔法があります。
だいたいこんな感じですかね・・・
「魔力を指先に集中し、魔力が燃焼するようにイメージをすると火がともった。更に酸素を送り込むイメージをすると火は勢いよく燃え、炎は青白くなっていった」
まぁいろんな作品に良く書かれてると思いますし、とくに疑問にも思わないで読んでしまうと思います。そういう設定なのかとね。
しかしそれでいいのでしょうか。この魔法でイメージされた炎もしかしたら弱く無いですかね?
魔法とは超常現象であるというのは皆共通の認識だと思います。
水中で魔導士が水中呼吸の魔法を使いつつ、水中にもかかわらずファイヤーボール撃ったり出来て欲しいじゃないですかねなんとなく。
しかしこの科学を混ぜてしまったマジックは科学に縛られてしまうのではないでしょうか。
よく考えなくても宇宙空間とかで使えなさそうですよね。
魔法の炎は水かければ消えるのか?酸素が無かったら燃えないのか?魔力から出来た物は質量保存の法則に縛られているのか?体内で作られる魔力(ここでは理力と言ったほうがいいでしょうか)を使って作られた物は万有引力や相対性理論は有効なのか?等等、考えはじめたらむしろ問題だらけになって来ると思います。
むしろ真面目に検証したら絶対に科学が破綻します。だってオカルトだもの。
これらの観点からいって魔法を科学でサポートする手法は実は想像力を限定し魔法を貧弱な物にしているといっても過言ではないと思います。
ついでにもう一つ「魔法はイメージが大事」とかなりの作品に於いて記載されています。
これについてはまさにその通りであって欲しいと思う半面、それだと大人不利だよねとも思うのです。
魔法は「イメージ、つまり想像力によって出来る事」のであれば想像力豊かなのは子供です。現にメルヘンの世界では子供は魔法が使え大人は使えなくなる作品が多数書かれていると思いますし、その観点からみれば非常に理がかなってます。
しかしそれではかっこいい御爺様の魔術師が活躍できません。これは困りますね。
そこで学問と経験則の集大成の魔法、つまり魔法学、魔術理論などが出来上がってきます。
そこに科学なんて介入する余地は前述から考えれば起こるはずがないので(あったら作った人はさぞかしいいかげんな性格か精神異常者だと思います)、逆に科学的な説明を転生者がうまく行ったからといって現地の魔法使いに説明しても受け入れられないというのが普通ではないかと思います。
まぁ粗だらけかと思いますが、この程度の視野で見ても魔法に科学くっつけるのを常套化するのは個人的にはどうなのかなと思いました。
・・・それでも科学がしたいなら、魔法を使った魔導工学なら可能だと思うのです。
未知のエネルギーを使った摩訶不思議機械などスペオペでは良く出て来ますしね。
以上駄文失礼しました。