*新たなる災いの鬼守*
たどたどしい文章ですが、どうか読んでやってください!!
「何故、あなたが…ッ!!」
翠憐達の背後に現れたのは、
「……音……璃呪?」
青ざめた顔で立ち尽くす、緋誓であった。
「……どういう、事だ……?」
「……それは……」
緋誓は問うた。静かな声で、強い口調で。怯えたように緋誓を見つめる翠憐を見据えて。
「……いや……。まさか、そんな……。あり得んな……」
「……」
ぶつぶつと言い続ける緋誓の脇で、翠憐とその侍女は、何やら苦し気な顔をしていた。と、緋誓はふと疑念を抱いた。
「おい、翠憐。お前……言葉――…」
「翠憐様! 翠憐お嬢様!!」
「おーい、緋誓?」
「?」
緋誓の言葉を遮ったのは、走ってくる白衣姿の2人の男と、緋誓付きの鬼狩である愁杜であった。
「翠憐御嬢様、ご報告が―…! あぁっ、これは鬼神様!」
「御尊顔を拝せるなど、何と喜ばしい事か!」
「!?」
口々に騒ぐ男達の勢いに圧倒される緋誓を見かね、愁杜が緋誓を守る態勢で間に入った。
「おい! 何なんだお前達は!?……知り合いか、緋誓?」
「い、いや……私は知らん」
言いながら緋誓は愁杜の上衣の裾を握る。多少腰が引けるのは愁杜がいるからこそだ。
「……!?」
途端、顔色を変えた男達は、次いで愁杜を頭の天辺から足の爪先までをも見定め、最後に腰に帯びられた対鬼刃器を見止め嗤った。
「鬼狩……ですか。何故麗しき鬼神の君の傍らに鬼狩などが……」
「まあ、じきに鬼守の片割れ様が目覚められるのだ。鬼狩などすぐに祓えよう」
白衣の男達は暗く、悪辣に嗤った。
「……準備が整ったの?」
「えぇ! もうじきお目覚めになるものかと」
「そう……」
「……お前達は……間違っている……!」
そう言うと、緋誓は視線を落とし、黙り込んでしまった。
「何を仰るのです、鬼神様。元来、鬼神様の御側にあるべきは鬼守であって―…」
「黙れ……ッ! 事情も知らぬ人間風情が!! 鬼狩であろうが、深く鬼に関わる者ならば我等を多くも語れよう。だが……お前達はそれ程深く我等を知りもせず、適当なことを申しておる!」
僅かも抑えられることなく放たれた言葉は、違えようのない怒りを孕ませていた。
「緋誓……。大丈夫……か?」
「ああ。悪い、私は大丈夫だ。……行こう。これ以上は彼らが危険だ……」
「ああ、わかった」
言うが早いか、緋誓は愁杜を伴い踵を返した。
「ひ、緋誓姫様!!」
翠憐の声も聞かず、緋誓一度も振り向くこともなくその場を去った。
パタン……ッ
「……どうした?」
「……」
「あんなに怒るなんて……。俺が来たとき以来じゃないか」
「……」
止まることなく歩き続け、2人は地下室へと来ていた。緋誓はどこか上の空といった様子で、何を言っても反応しない。
「……緋誓?」
「! あ……何だ?」
名を呼ばれ、緋誓はやっと上の空の異空間から還ってきた。
「……はぁ……。大丈夫か、コレ?」
「……?」
意味が分からない緋誓に、彼が指差したのは、彼の服の袖を強く握る緋誓の手だった。
「……ッ!! わ、悪い!!」
慌てて離した緋誓の手を愁杜がとる。
「震えてる。独りで抱える必要はない」
「……あ……」
愁杜は緋誓を優しく抱き寄せ、そしてその頭を優しく撫でた。
「……璃呪……は……」
「ん?」
緋誓の掠れた声を聞き取れず、愁杜は訊き返した。
「音璃呪は、今は亡き、鬼守の片割れ。……翠憐の……兄だ」
「……」
「あれを殺したのは―…」
後に、戦乱の火種ともなろう事実を……。
「あれを亡き者にしたのは……私だ」
世界は廻る。嗤いながら、囁きながら、舞い踊る。全てを巻き込み、軋みながら、叫びながら。全てを、狂気の淵へと、誘いながら――…。
ここまで見て頂き、ありがとうございました!! まだまだ続きますので、飽きずに見てやって下さると光栄です!!