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嘘を見抜けるスキルを持つ最強悪役令嬢

作者: 雪の結晶
掲載日:2026/04/17


「罪人。ミルア・シャルル。貴様を処刑とする」


太陽の光が差し込まずぬるい風だけが頬を撫でる。


「早く処刑しろ!貴族の恥が!」

耳に入れたくなくても入る周囲の野次馬の罵声、投げつけられる石や物。


私がひざまずき、くくり付けられている中視線を上げると国王のそばにいる婚約者の王子。王子は首を下ろし下唇を噛みしめていた。


目で訴えかけるが、王子は目をそらす。

彼を見つめている隙も無く国王は広場に響くような声で告げた。


「罪状は国家転覆未遂罪、恐喝罪、国金横領罪。以下の罪で即刻死刑と処す」


私は体の毛が立ちあがり、鳥肌を全身に立てた。

体中に流れる血が冷たく感じる。


「そ、そんなことはっ」


「極悪人の口など誰が信じるか!皆の者この極悪人に騙されるではないぞ!」


だが...


――あれ?証拠の提示がない?


「待ってください!!」

全員が私に視線を向ける。震える唇で喉から声を出した。


「証拠の提示をお願いします。それだけの罪を告げるってことは、証拠があるんですよね?今すぐにお願いします」


「だ、黙れ!極悪人、貴様が口答えしていいと思っているのか!」

国王は一歩下がり腰を少し落としながら私の眼に向かって指をさしながら声を荒げた。


私は国王とは逆に低くただただ低く国王の耳に声を届けた。


「国法第128条。処刑の際には最初に証拠の提示を必要とする。また、証拠が出ない場合その刑は無効とする」


「国王。まさかお忘れではないですよね?国の頂点に立つとされてる方がこのことを知らないことなんてないですよね?」


私は力を振り絞って正座で手首をしばりつけられている状態で上半身をできるだけ国王に近づけた。


国王は視線を泳がし、民衆を見渡す。

いつからか民衆の視線は私ではなく国王に向かっていた。


国王はさらに足を後ろに擦り重心が崩れかけていた。


「この際言わせてもらいます。私をはめようとしているのでしょう?この民衆も金で雇われたのか何なのか分からないけど、裏口を合わせてるのでしょう」


私は王の目を見て口を動かした。


「そして国の金を横領したのは貴方でしょう。私の事誰だかお忘れですか?」


――私は....


「だ、黙れ!!」

国王が腕を大振りに振り、私の声の上からかぶせてきた。



腹の底が煮えたぎり、ぶつける相手を国王に定めた。


「私は嘘を見抜けるスキル持ち覚醒者ですよ?それに国を裏で支えてるシャルル財閥の娘。お父様が今国外にいることをいいことに家の金目当てで捕まえたのでしょう」



私は国王の心の底で思っていることを読み、この場ですべてを暴露した。


国王はそれを聞いた瞬間、先ほどまで保てていた姿勢はすとんと床に落ち

私が下にいるはずなのに国王を見下ろしている視線を向けた。


「縄ほどけますか?」

私は王の側近に対して、冷たい視線を送った。


縄がほどかれ、手首にまだ違和感が残る中手のひらを開いたり握ったりを繰り返した。


私の目は、国王へと視線を上にあげ眉をぐっと下げた。

そして、国王のもとへと足を進めた。


国王は私が近づいてくるとその場にうずくまり、頭を下げていた。


「ご、ごめんなさい!どうか許してください」


それを見た周りの国民はざわめていた。


私は国民を見渡した後に首を戻し国王をもう一度視界に入れる。


「国のトップがこうもへりくだるとは、無様ね」


私は国王を見ながら声を響かせた。


「この王は!国の金を横領しておきながらその罪を他人になすり付けた!」

「また!擦り付けた相手はシャルル財閥の娘であるこの私で殺した後に金を貪るつもりだったのだ!」


国王は社会的に死んだ。

顔面に血が通っていない顔をしていた。


私はコツコツと音を立て、そのまま台から下りた。


「ミルア!」


国王の側近にいた婚約者の王子が駆け寄ってきた。


「なによ」


「ミルア、ごめん何もできなくて。やめろと何度も言ったんだけどあの人聞かなくて」


「良いわよ別に、ただ処刑されるといわれたときは本当に驚いたけどね」

「じゃ、私帰るから」


私は言葉を多くかわすことなく、その場を去っていった。


家に着き、シャワーを浴び、部屋着に着替えてから鏡を一点集中して見ていた。

そこに映るのは私自身で、滑らかな金髪に、海のようなターコイズブルーの瞳

そんな姿を見て大きく息をついていた。


ベッドに寝っ転がり、なぜ私が狙われたのかそしてあの時感じたこの国の闇。

国王の裏にはもっと大きな組織が関与してるに違いないと思うほどに怪しかった。


それにあの王子――


「ミルア様!ミルア様はいらっしゃいますか!」

叫び声とともに扉をたたく音が聞こえる。


私は重い体を起こし頭を掻きむしりながら扉を開けた。

「はい?なんでしょうか」


そこに立っていたのはこの町のギルドマスターだった。


「ウィンスさん...どうかなさいましたか?」


ひとまずウィンスさんを家にあげ、客間で腰を掛けお茶をメイドに出させた。


「それで要件はなんですか?」


私はそのまま本題に入った。


少しの沈黙を作ったウィンスは震えた唇で言った。


「少し前、ギルドでもめ事が起きました」

「内容はレアモンスターのドロップアイテムの窃盗でした」


私は顎に手を当てつぶやいた。


「レアアイテムの盗難か...」

「そのレアアイテムとはなんですか?」


ウィンスは椅子に座ったまま身振り手振りでそのアイテムを口にした。

「我が国のダンジョンの第30層のフロアボス【ハリヴァスドラゴン】から低確率で落ちる守護のペンダントです」


私は面倒ごとに巻き込まれるのは面倒だが、ウィンスにはいつも世話になっているし

協力することを断る理由が無かった。


私は少し首を下にし、声をうならせ渋々答えた。

「わかりました。協力しましょう」


ウィンスは勢いよくテーブルに手を突き前かがみになり、私の手を握ってきた。


「本当ですか!ありがとうございます!」


私はその勢いに飲まれそうになりながら口角を細かく動かしていた。


私たちは屋敷を出て、そのまま王都まで下った。

王都に行くのはひさしぶりだったが光景は何も変わらず、どこか懐かしさも感じていた。


様々な鎧の音や商人の売り声が私を纏う中、ウィンスの経営しているギルドへと到着した。


中に入るとそこには殺伐とした雰囲気が漂い、受付の女性も後ずさりしていた。


ウィンスは口を開きこちらに目線を集めた。


「聞け!今からこの方、ミルアお嬢様が盗難者を暴く!」

「この者の前では嘘はつけない!薄情するなら今だ」


その問いにも答える様子はなく、私はギルドの中心へ足を動かした。

まず私はダンジョンに言ったパーティーを呼んだ。


「ボス攻略に挑んだ者は前に出よ、そして状況を簡潔に説明しろ」


すると総勢13人の冒険者が私の前に立った。

怯えるもの、よそ見をするもの、堂々と立つもの、細かく貧乏ゆすりをするもの

様々な者たちが私の目の前に立った。


すると、真ん中に立っていた一人の男が私に状況を説明した。


「私の名はジディアです。一応冒険者パーティーのリーダーをしています」


男は淡々と私に説明した。

「ボスを倒した後、ドロップ品は一律で私に預け後で山分けする仕組みでした。

また、レアドロップが出た際には一番貢献者に譲渡するという仕組みでやっていました」


「いらないアイテム品をギルドに売却してアイテムを分けようとしたときに、事は起こりました。ストレージボックスの中にペンダントが無かったんです」


「確かにペンダントは拾ったのか?」


私は男の目をまっすぐにみて聞いた。


「それが、わからないんです。なぜがボスを倒した後の一瞬の記憶だけが無くて、記憶が変につながってるんです」


周囲はざわつく。

無理もない、記憶改ざん魔法やスキルなど文献に乗るレベル。

この男のことの言ってる意味がまるで分からなかった。


(どういうことだ、何者かに記憶を改ざんさせられた?もしくはなんらかの方法で記憶をなくさせたのか...)


「一つ聞くが、この13人のメンバーは全員同じパーティーか?」


男は左右に首を振り、隣にいる杖をもった女と一番右端にいる鎧を纏った男を指さした。

「この2人がパーティーメンバーです」


(うん、見た感じこの2人が犯人の可能性は低い)

「わかった。そのほかのメンバーは何だ?」


「そのほかのメンバーとしては募集で集まっていたソロの冒険者で、臨時パーティーでした」


私はある"特定"の職業を口に出した。

「暗殺者、魔導士の者は私の前へ」


私の問いかけに反応はなかった。


――だが、この中にどちらか一人はいる。私の問いかけに反応する者はいなかったということは...


私はそっと目を瞑り意識を深く闇の中へと潜り込ませた。

そこに見えてくるのは紫色の炎。


暗闇の中でめらめらと燃え滾っていた。


私はゆっくりと暗闇の中を歩く。

それは現実世界の身体とリンクしていて、炎が大きくなり近づくまで歩いた。


私は炎の前に立ちゆっくりと目を開けるとそこに立っていたのは。


「あなた、愚か者なのね」



――ウィンス。


そこのに立っていたのは屋敷に駆け込んでたウィンス本人だった。


ウィンスは顔が引きつり、額に汗がにじんでいた。


「な、何を言いますかミルアお嬢様。私が犯人だと?」


ウィンスの問いかけに私は低い声で答えた。

「ええ、あなたが犯人よ」

「そしてあなたいつから魔族の仲間になったの?」


その発言にギルド全体が凍る。

その場にいた冒険者たちは武器に手をかけ、受付はかがんでいた。


ウィンスはこれでもかというほどに言い訳をし始めた。

「ま、待ってください私が犯人だという証拠がないじゃないですか」

「まず魔族の仲間ってなんですか、ギルドマスターですよ!?」


私は右腕を前に出し、魔法をウィンスに放った。

 

「アリーシア」


私から放たれた魔法はウィンスを包み込み、瞳孔が黄色く光った。

ウィンスは犯行手口を口にした。


「まずジディア氏のペンダントを受け取った際に、記憶の改ざんをスキルで行いました。そしてあたかもしっかりとストレージに入ってるかのように見せる魔法も付与していました」


続いて魔族に関することも聞いた。


「はい、魔族に関しては魔王の配下から力を授かり闇魔導士へと進化しました。今の私は魔人に適します」


(なるほど、そりゃ人間が使えない魔法やスキルを使えるってことだ)


私はウィンスの魔法を解いた。

ウィンスはその場に崩れ落ち、私を見上げた。


私はにやりと口角を上げウィンスを見下ろした。


「あ、悪魔...」

「いつから気づいていた?」


「違和感を持ったのは王都の道に入ってからだ。いつもなら私に話しかけながら前を歩くあなたが後ろをずっと歩き口数も減っていたからな」


「お前私に言ったよな?私の前では嘘はつけないと」

「盗ったものをすぐに返せお前は牢獄行きだ」


ウィンスは盗ったペンダントをリーダーの返しそのまま牢獄隊に引き渡され、事なきを得た。


私はまだこの世界の謎を解明することができていない。

私の前では悪事は働けない、必ず暴かれる。


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