60 イケメン超能力者の逆襲(3)(イケメン超能力者は心を磨いた?)
するといつの間にか一部始終を見ていたと思われるマスクの男が現れ、倒れているプリンセスの直ぐ近くに歩いていった。
「ふふふ。呼吸していないようだ。即死だな。おまえたち、よくやってくれた。大したものだ。では約束の残り250万円を・・・」
と言いながらマスクの男が懐から取り出したのはピストルだった。イケメン超能力者は
「きさま、騙したな。そうはさせないぞ」
イケメン超能力者は今度はマスクの男に向けて光線を発しようとしたが、その前に男が引き金を引き、発射された弾丸は亜紀子の胸を直撃した。
「うっ、お兄さん!」
亜紀子はその場に倒れた。
「亜紀子!」
イケメン超能力者は倒れた妹のところへ駆けていったが、そこに第2の弾丸が撃ち込まれ、彼も倒れてしまった。
「フハハハハ! 遂にこれまで手こずっていた邪魔者と我々の秘密を知る者たちを抹殺したぞ! これでこれからは悪事のやり放題だ!そして大儲けしてやるぞ。ワッハッハ!」
「それは無理のようね」
マスクの男が驚いてそちらを見ると何とさっき死んだはずのプリンセスが腕を組んで立っている。
「お、おまえは死んだはずじゃ・・・」
「おまえのような卑劣な奴は孤島へ送ってやるわ」
「何だと。孤島とはどういうことだ?」
「異次元バルーン!」
あっという間に黄色いバルーンが男を包み込み、消えてしまった。その時イケメン超能力者が目を覚ました。
「うーん。俺はどうなったんだ。確かピストルで撃たれて。けれども今は気分がいいし、それに体のどこにも出血も痛みも無い。それじゃ妹は」
彼の後ろから肩をトントンと叩く者がいる。それは妹の亜紀子だった。
「お兄ちゃん、私は元気よ。ほら、このとおり」
「じゃあ俺たちは夢を見ていたのか?」
するとプリンセスが
「夢じゃないわ。現実よ」
二人は驚いてプリンセスの顔をじっと見た。
「イケメン超能力者君、あなたのフルパワーの光線を浴びたら私は即死だったと思うわ。でもあなたの光線は私が気絶する程度の弱い光線だったわ。そして私は体を拘束されていても使える薄い体表面バリアを瞬間的に張ったので、あなたの放った弱い光線から体を守ることもできたので、気絶もしないで死んだフリをして様子を見ていたっていうわけ」
「でも俺も妹も確かにピストルで撃たれたけど。なあ、亜紀子」
「案の定マスクの男がピストルを撃とうとしたので、私の得意な物体移動魔法を使ったの。
あっ、正確に言うと、この場合は物体移動魔法を変則的に使って物体、つまり弾丸があなた方の体に触れる直前に弾丸を魔法で止めて下に落としたというわけ。
それと併行して瞬間的に魔法であなた方の意識を遠のかせたの。だから撃たれて倒れたように見えたっていうわけ」
すると亜紀子が
「でもお兄ちゃんはどうして弱い光線を放ったの?」
「ええーと。それは・・・」
「要するにイケメン超能力者、つまりあなたのお兄さんは大自然の中で地道に労働しているうちに心が磨かれて精神的に成長したってわけよ」
「精神的に成長するとどうして弱い光線を使うの?」
「つまりあなたのお兄さんは以前と違って人の命の大切さが分かっているんだと思うわ。だから私の命を奪わずにあの場をうまく収めて亜紀子さんを助け、自由にしようと思ったのよ。そうでしょ、お兄さん?」
「まあ」
「ちょっと考えてみて。もしお兄さんが昔のままの精神状態で私を殺すことを何とも思わない人だったら、私だけでなくあなた方も殺されていたのよ。お兄さんが成長して私を殺さなかったから、あなた方も今生きているってことよ」




