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8.中古の家を貰ってリノベしてみた

数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。

読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

 俺達は難なく児相を発見することが出来たので、中に入ってこの子を発見した経緯と自分達が冒険者である旨を説明し、子供を預かってもらうための必要書類に記入した後、青い髪の名前も知らない子供に別れを告げ、児相をあとにした。

 重ねて言うが、本当に異世界感が感じられない街だとつくづく思う。

 だいたいこの児相の建物自体もそうだが、その存在を表すアイコン的なイラストやマークなど、この街の建物にはいかにもな表示が多い気がする。

 決定的なのはトイレだ。

 トイレが普通にトイレであること自体もそうだが、トイレと書かずに日本の公衆トイレと同じマークが同じ色分けで表示されてるとか、もう、俺が単純に神様を名乗るあの美女に騙されて、知らない街に送られただけなのかと感じるくらいに日本感が半端ない……。

 蛇口のレバーを上げると水が出てくるし、トイレのレバーを上げると、用を足した後の汚物はきれいさっぱり流れていくし、食堂に行くとフォークとスプーン以外にも、ちゃんと箸が用意してあるし、しかもその箸誰が使えるんだよと周りを見渡してみれば、普通にちゃんと使ってるし……。


 このムーシルトという街は、俺が当たり前と感じるものが、当たり前に揃い過ぎていて、逆に違和感しか感じない。


 とはいえ、とりあえず今日の夕食は、概ねさっきの迷子に食べられてしまったので、再度店によって、飯を買いなおし、俺達は宿に戻った。


 ギルドに戻って宿の鍵を受け取り、部屋に戻ろうとした時に、ふと、そういえばシャクヤクさんは冒険者登録をしているのだろうかと、ふと疑問に思って、本人に尋ねてみると。


「どうしてわらわがそんなものに登録せねばならぬのじゃ?」


 と言うので、冒険者登録をしていないと、何か魔物を倒しても、ただ倒しただけで、ドロップアイテムは手に入るかもしれないが、報酬という名目で受け取ることが出来る賃金が手に入らないので、何時まで経ってもご飯が食べられないということを、丁寧に説明してやると、なんでもっと早く教えぬのじゃと、プンプンしながらギルドのカウンターに登録をしに行った。


 シャクヤクさんは10分後にAランクの冒険者証をもって帰ってきた。


 なんか俺よりも手続きが早い気がする。


 俺達は夕食を済ませた後は、買ってきたビールも飲みほしてしまったので、早々に寝ることにした。



 翌朝、宿で朝食をとったあと、俺は昨日ギルド支部長に言われた通り、約束した場所に向かうと、一人の中年男性が待っていた。

 中年男性は、依頼主本人だったらしく、移動する家まで案内してくれた。


 待ち合わせの場所から5分も歩かないうちに、その屋敷は見えてきた。

 うん、屋敷と言ったのは、つまりそういうことだ、異世界に来て、なかなか違和感を感じることが出来ていなかったが、これはデカい……。

 日本の一般的な住宅では、延べ床面積はせいぜい30坪前後だと思うが、この屋敷はその数倍はありそうな気がしてならない。

 どうしてこれを移動したいと考えられるのかを、膝と膝を突き合わせて小一時間ほど問い詰めたくなるほどの豪邸だ。

 が、確かに、これだけ立派な屋敷ならば、解体するのはもったいないと感じるのもわからないでもないが、そこはやはり剣と魔法のファンタジー世界特有というか、魔法があればなんとかなると考えてしまうのだろう。


 しかし、これだけ立派な屋敷をタダでもらっても良いのか、不安は残るので、本人に確約を取るべく尋ねると、この屋敷を移動して住もうにも、今の状況では手狭だし、使ってくれるのであれば、無駄にならないし、好きに改装してくれてもかまわないとの言質もいただいたので、中に人や必要なものはないかを確認し、俺は即座に次元収納を使って屋敷を格納した。(この規模の屋敷が手狭とか、どんだけ大家族だよと突っ込みたい気持ちでいっぱいだったが、たぶん貴族的な人なのだろうから、やめておいた。しかも、家族の多い少ないな問題でもないはずだし……。)


 驚いたことに、屋敷の跡を見ると、しっかりとした基礎工事が成されており、ベタ基礎ではないものの、防腐効果の高い資材を使用し、計測したわけではないが、水平もしっかりと出ていそうな感じだった。


 依頼主によれば、ここの基礎を撤去して、更地にした後に再度基礎を打って、その上に工場を建設予定だというので、サービスで、基礎の撤去と地ならしまでを、土魔法を使って施工してあげたところ、依頼主は大いに喜んでくれた。


 依頼書にサインをもらう際も、大変満足と添え書きをしてくれて、達成状況を評価する項目にもSと記入してくれた。


 この世界では、ギルドを通して討伐以外の依頼を達成した際、その達成状況を依頼主が評価する項目があり、そこにB以上の評価を得ると、冒険者のランクアップ査定に加点され、Cだと無加点、D以下は減点ということになっている。(ちなみに討伐依頼は、規定数をクリアするだけでAランク確定。それ以外の上位種などを討伐すればS評価となる。)

 ちなみに、この評価は、達成後3日以内であれば、再評価することが可能で、荒くれ者の多い冒険者の面前ではマイナス評価をし辛い場合も、後日ギルドに申請すれば、減点することが出来るのだ。

 普通はAまでが一般的らしく、S評価を付けた場合、追加料金を支払わなければならないのだが、今回の依頼主は、迷わずSと記入してくれたので、とてもありがといと思った。


 俺は早速ギルドに戻り、依頼書を提出すると、依頼書の真ん中に達成と書かれたゴム印のようなものを押してくれて、依頼料として、割増込みで3万5千ミルを受け取った。


 俺は、早速家を建てる場所を探すために、同居人となるであろうシャクヤクさんを探しに宿へ戻ったが、シャクヤクさんの姿は見当たらなかったので、街の商業区画の方へと足をのばしてみると、昨日のお惣菜屋さんで、コロッケを買い食いしているシャクヤクさんを発見したので、そのまま一緒に近くの店で一緒に昼食をとり、街の外へと出発した。(ちなみに、今朝わたしたお小遣いは、全て食べ物で使い果たしたらしい……。)


 俺達は、屋敷を建てる現場の下見として、ムーシルトの街の外周を歩いてみたところ、街の北西にイイ感じの森があったので、そこの奥地に屋敷を建てることにした。


 シャクヤクさんには、集まってきた魔物の対処をお願いし、俺は屋敷を置く場所の準備に集中した。


 先ずは生えてる木を伐採し、残った木の根を伐根し、ぼこぼこになった地面を地ならしして、土台となる基礎を打った。

 基礎はベタ基礎にして、基礎と屋敷の間には、ラバの樹液に高圧をかけて硬化させたものを敷き詰め、耐震補強も万全にして、屋敷を出して乗せる前に、上水と下水の配管を通した。


 屋敷を基礎に乗せた後は、ボルトでしっかりと固定し、これで下準備は万全となったので、一度、周囲に魔物が入れないように結界を張った。

 結界の張り方は、昨夜ライブラさんからしっかりと教わったので、なんの問題もなく張ることが出来たと思ったが、人間以外が入ってくるとうっとおしいとおもったので、そんな感じの結界を選択したところ、シャクヤクさんまで入れなくなってしまっていたので、仕方なく、もう一度結界を張り治す羽目になってしまった。


 はい、ここまでで、違和感を感じたあなた、流石です!

 そう、配管と通したとか、ボルトで固定したとか、その管やボルトはどこから出てきたんだよ、と言いたいのでしょうが、安心してください、あるんです、とっておきの魔法が!


 実は、昨日の夜、色々とライブラさんの説明書を読んだり、ライブラさんに直接聞いた入りしていた中で、俺にとっての究極魔法を見つけてしまったんです。

 その名も“クリエイト”!!!

 この魔法は、材質や構造についてのイメージがしっかりしていれば、どんなものでも作れるという、この世界において、革命を起こせるレベルの超絶究極魔法なのだ!(個人的な感想です。)

 ということで、色々とお試しで作ってみたのだが、材質という意味では、この世界にはプラ系素材が無い。なので、そこは非常に困難な壁として俺の前に立ちはだか……らな~い!

 俺は知っている、食物性のデンプンから作ることが出来るバイオポリプロピレンという素材を!

 ナントカ化学が開発したとか、世界初のIPA法でとか、バイオマスをとか、ニュースだか新聞だかで見たことがある俺にとって、知識として知っていれば、その製造に必要な設備なんかを、まるまるすっ飛ばして作れてしまう“クリエイト”という魔法の威力は、バイオPP製造の為にある魔法と言っても過言ではない!


 ということで、ボルトなんかはもう鉄でいいし、配管もバイオPPが大活躍だし、木材系の耐腐食性とか防虫性は、こちらも素敵な魔法、“結界”が全てをカバーしてくれるという、異世界最高!と感じた瞬間は、まさにここかもしれない。


 そして俺は、お待ちかねの、リノベーション作業に取り掛かることにした。


 そう、何を隠そう、俺の趣味の一つといえば“DIY”だ!


 仕事を終えて帰宅した後は、一人で買ってきた飯を食い、ビールを飲みながら、テレビ番組ではなく、動画配信サイトで、《家を買って直してみた》的な動画を垂れ流すのが、何よりの楽しみだった俺は、とうとう自分で自宅のリノベーションに取り組むことが出来るのだ。

 まさか、異世界に転生した先で、この夢を叶えられるとは思っていなかったが、しかし、舞い込んだチャンスは最大限に生かして、悔いのない家作りを楽しむことが出来るのだ!


 まずは水回りからの着手と行こう。

 風呂だ、風呂は大事なんだ、そう、仕事を終えて帰宅したら、へとへとで何もする気になんてなれないが、風呂に入らずに寝るという選択肢はない。

 その日かいた汗なんかの汚れだけではなく、心の淀みもきれいさっぱり洗い流してくれる風呂こそが、日本人の心!


 ということで、ユニットバス風の風呂を作ることに決めた俺だったが、唯一の懸念材料として残っているのが、シャクヤクさんである……。


 竜って壊さずに風呂に入れるのだろうか……。

 うん、わかった、風呂に結界を張ろう……。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

感謝の言葉しかありません。

よければ次のお話も読んでいただけるとありがたいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

このお話が面白いと思っていただけたなら、評価やコメントなどいただけるとありがたいです。

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