57.厨二病再来!今度は”クロノ・レゾナンス”
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「ねぇ、パパ、東の方の空の色、変じゃない?紫?」
「え?ん??あぁ、来たみたいだな……。」
「何が?」
「この世界にとっての厄介者だ。ママに言っておいてくれるかい。パパちょっと出かけてくるからって。」
「わかったけど、もしかして、あの紫の所に行くつもりなの?」
「あぁ、あれはパパ以外だと、ちょっと難しい問題だからな。」
「え?え?どういうこと?」
「実はな、パパって、この世界で、たぶん二番目くらいに強いんだよ。」
「は? え? どういうこと? 意味わかんない。」
「まぁ、そうだよな。でもまぁ、そういうことだから。もし晩飯までに戻れないようなら、先に皆でご飯食べててくれ。」
「え? ちょっと、危なくないの?」
「普通の人なら危ないんだろうけど、パパなら大丈夫だ、もし、大丈夫じゃなかったら、この世界で一番強いエルフィンが助けに来てくれるだろうから、なおさら大丈夫だ。」
「わ…かった……。怪我しないでよ。」
「ありがとう。」
俺は塔の頂を目指へと転移する。
ミシャが紫と言った空は、神獣が現れた証だろう。
この世界に、神の侵攻の予兆と言われる神獣が現れるようになって、数百年。
俺が築いたこの塔は、神に至る前に、キラと名乗っていた少女が変えた、世界の理が原因で、神の侵攻の対象と選定され、その予兆として現れる神獣を繫ぎ止める避雷針のような役割を担っている。
だが、この塔も、ただ立っているだけでは意味がない。
神獣は、この世界の位相のズレを産む、そのズレが、やがて罅となった時、神の侵攻が始まる。
神獣は、神の眷属として、神の意志を地上に生きる全てのものに伝える存在。
文明の逸脱を感知し、世界を“元に戻す”ために現れる。
だが、長い年月をかけて、その意思を退け続けることが出来れば、それは位相のズレではなく、この世界における必然となっていく。
「この世界を元に戻す必要なんてないでしょ。この世界は、今が自然で、理想でもあるんだからさ。変わった先に、守るべきものが生まれ、そして紡がれて行ってるんだから、それで良いでしょうが。」
塔の頂に立った俺の前に、神獣が姿を現す。
空は裂け、風はやがて嵐となる。世界が緊張に包まれる。
「この世界の逸脱は、目に余る。」
「人語が行ける口なんだ。しかしさぁ、いい加減しつこいんじゃないの?ここまで来たんだから、逸脱じゃなくて、進化でいいじゃん。大体さ、その逸脱を始めたの今のこの世界の神様でしょうが、上司と部下の意思疎通できてんのかよ。」
神獣が咆哮する。
だが、俺は剣を抜かない。
抜く必要が無い。
「“クロノ・レゾナンス”」
最近俺は、この戦いを、力と力のぶつかり合いではなく、神と人間の認識のずれを調整する場、つまり根回しだと思っている。
塔が光を放ち、先ほどの神獣を表現しているであろう壁画が、塔の最上階の壁に現れる。
世界が均衡を求め、再構築される。
空の紫が、静かに晴れていく。
「問題はなさそうですわね。」
「師匠、弟子が心配でわざわざやってきたわけではないでしょう?見てくださいよ、この壁画。これ以上、神獣の壁画が収まるスペースもないようですし、そろそろ教えてくれる気になったんじゃないんですか?船を動かす時が来たんじゃないかと思うんですけどね。」
「しばらく見ないうちに、頭の方もお利巧になったようですわね。」
「師匠、こう見えても、俺、一児の父やってるんですからね。」
「存じ上げておりますわ。あの娘、あの時の子共の面影がありますわね。」
「え?師匠、家に来たんですか?」
「いいえ、今貴方の屋敷の庭でこちらを見ておりましてよ。」
「いやいやいやいや、師匠、どんな目してるんですかwここと、家とでは、大陸またいでるんですけどwww」
「まだまだ貴方も修業が足りませんわね。しかし、まぁ良いでしょう。あの時の船、そろそろ頃合いですわね。」
マイマスターシェラは、塔の屋上に立ち、俺の屋敷がある方角をじっと見ている。
この煉獄カリン塔って、名前はアレだけど、建造物としては非常に立派で素敵な建物と言える部類に入ると思うのだが、その素敵な外観と、御年いくつになるのかもわからないのに、未だにこの世の美女を集めても、何の異論も挟ませることなく最高の美女と言われそうなシェラの横顔が、どうしようもなく幻想的で美しい絵画のように見えた。
カメラがあれば撮りたかったし、絵心があれば描いてみたかったな……。
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