53.交わる剣戟の果てに……。
数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。
読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
この回のラストは、新たな物語の始まりを示唆しております。
今回は、あえてこの短い文章で終わらせるという選択をしました。
この後のストーリーは、私がここで書くべきことではないと考えての決断ですので、読者の皆さんの各々の読みたい内容をイメージしていただければと思います。
熱が、空間を歪ませ、陽炎を産む。
二人の闘気が、床を焦がし、壁を軋ませ、空気を震わせる。
それでも、二人は止まらなかった。
フィンの剣が、右から薙ぐ。
レイアは、半歩下がって上体を後ろにそらし、時計回りに回転しながらフィンの放った剣戟を避ける。
その瞬間、フィンの左足が踏み込み、剣を左に持ち替え逆手に握ると、そのままレイアの首筋に迫る。
「っ……!」
レイアは、右手に持った短剣で、うなじの辺りをガードし、フィンの剣の腹を滑らせるようにして、更に横の回転を加え、左の短剣でフィンの脇腹を狙う。
剣と剣がぶつかり合う旅に火花が散り、二人の汗が飛び散る。
二人の動きは、もはや“無骨な力のぶつかり合い”ではなく、まさに“剣の舞”といえるように美しかった……。
時折放たれるフィンの魔法をも切り裂き、レイアの大きく振るわれる剣が、まるで扇のようにも見えるその様は、見る者を魅了する、計算されつくした美しい舞であった。
天井近くまで跳躍したフィンが、空中で剣を振るう。
すると、レイアは、床を蹴って壁を走り、フィンの背後に回る。
「速い……!」
フィンが振り返る。
しかし、すでにそこにはレイアの姿はなく、レイアが去り際に振った左手の剣が、フィンの右肩をかすめる。
その瞬間、フィンは空間を削り取る魔法を放ち、レイアとの距離を詰める。
しかし、レイアは、剣を引いて後退して、フィンの間合いになるのを防ごうとする。
フィンが追い、剣を振り下ろす。
剣と剣が、何度も交差し、幾筋もの火花が散る。
二人の剣戟は、空間をも切り裂いていた。
フィンが、レイアの一瞬の隙をつき、レイアの左脇腹を狙う。
レイアは、フィンの剣を軸に回転して捌く。
着地の瞬間を狙おうとしたフィンだったが、二人から滴り落ちた汗に足を取られ、ほんのわずかにフィンの足が滑り、体幹にズレを感じた。
「……!」
レイアの目が、わずかに見開かれる。
彼女がその一瞬を、見逃すことはなかった。
レイアの足が、フィンの軸足を払うと、フィンの身体が、宙に浮き、そのまま仰向けに倒れたフィンの首筋に、レイアの剣が静かに触れた。
「……一本。」
周囲から、音が消えてしまったかのように、静かになる。
フィンは、目を閉じて、息を整えた。
「……やられたな。」
レイアは、剣を下ろし、フィンの隣に膝をついた。
レイアとフィン、お互いの鼻と鼻との間は僅か数センチの距離。
「やっと、一本取れた。」
フィンは、笑った。
「……誇らしいよ。」
レイアは、何も言わず、フィンの顔を両手で掴み、静かに唇を重ねた。
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