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異世界に転生したらものの5分で最強セージにエンカウントした俺のその後の話  作者: すずき 虎々


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45/61

45.煉獄カリン塔は甘くない……。

数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。

読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

 ワタクシ、只今“煉獄カリン塔”の20階ラウンジにて、夕日に染まる雲海を眺めております。

 なんとも美しい光景が広まっております。

 風は穏やかで、空気は澄んでいて、遠くには雷雲が走り、下界の天候が一望できる。

 このフロアは、戦闘も罠もない完全な安全地帯──

 ただ、空を見下ろし、雲を眺め、優雅な気持ちになって、殺伐モードから気持ちを切り替えるための場所。

 えぇ、何故こんなところで寛いでいるのかというと、先程まではね、48階にいたんですよ。

 えぇ、厳しい修行を繰り広げておりましたよ。

 でもね、アホほどキツいんですよ、このダンジョン……。

 誰だよこんな鬼畜ダンジョン作ったの……って、俺か~い!


 ということで、只今、雲海を眺めながら、己の命の危険と引き換えに得た経験値を、じっくりと噛み締めております。

 仲間たちは、まだ10階にも到達できていない。

 リースは「火力不足がエグい……」と嘆き、

 レイアは「短剣でダメージを出せるイメージがわかない」とぼやき、

 メリルは「怖い……」と真顔で言っていた。

 プルは「ニャー!」から「シャー!」になっていた。

 シャクヤクさんは「この塔は、悪趣味じゃ……。」と毒舌を吐いていたが、まぁ、仕方ない……。


 この塔、俺が本気で自分自身を鍛えるために作ったんだから、普通のパーティーがいきなり登れるわけがない。

 それに、彼らが低階層で苦戦している間、俺は高階層で、神獣級の魔物と対峙しているのだから、その程度のぬるい魔物で文句を言うなと……。


 48階のフロアボス──

 あれは、もはや神獣の模倣というレベルではない。

 この間対峙した神獣のデータを取り込んだ、塔独自の進化体だった。


 空間を切り裂いて距離を詰めるとか、魔法を使おうとすると、魔力を逆流させて相殺しにくるとか、時間や空間を歪ませてくるなどなど、普通に反則だろと突っ込みたくなるような芸当を、いとも簡単に、当たり前のようにやってくるとか、もう意味わからんと言いたくなるような強さで、今の俺では、当然一撃で倒せるような相手ではない。


 むしろ、俺の魔法攻撃が通るかどうかすら怪しい。

 戦闘開始から数分で、俺の魔力は半分以上削られ、空間の歪みによって回避行動が遅れ、時間のズレで詠唱が狂い、何度かガチで死を覚悟した。


 だが、俺は生きている。

 師匠から“マスト”を課された者として、悠長に死んでるわけにもいかない。


 俺は、この塔の設計者であり、運営者であり、最初の被害者でもある。

 この塔、利便性と鬼畜さの落差が激しすぎる。

 20階までは、まぁ、頑張れば来れなくもない難易度に設定した。

 だが、それ以降は全階層、鬼畜モード。

 48階なんて、もはや神獣模倣体なんて侮っていたら即死するレベルだ……。

 しかし、そうはいっても、まだ48階なのだ、この塔100階まであるんだが、今死と隣り合わせの階が、まだ48階なのだ……。


 俺、そんな強烈な設定にした覚え無いんだけど……。


 迷宮核は、ある程度自己学習する。

 だが、それはあくまで設計者の意図を補完するためのものであって、

 勝手に神獣のデータを取り込んで、魔物を進化させるような仕様は……。


「……いや、あるかもしれないな……。」


 俺の魔力、神獣との戦闘データ、塔の構造、魔物の挙動……。

 全部、俺を通してライブラさんに記録されている。

 そして、迷宮核が、何らかの方法で、ライブラさんからその記録を受け取っているとしたら?

 つまり、俺が強くなるために、迷宮核とライブラさんが勝手に手を組んで、俺の強化用鬼ハードプログラムを構成している可能性……。


 ……やめてくれ。

 俺、塔を作っただけなのに……。


 仲間たちは、そんな塔の低階層で、今も奮闘している。

 リースは、火力不足を補うために、矢に属性魔力を付与する練習をはじめた。

「折角この弓給弾のロスが少ないのに、属性付与に時間かけたら意味ないし、だからといって属性による相性効果が無いと、火力が足りなすぎるし、もうひたすら練習するしかないんだよな……。」

 彼女は、魔力の流れから、属性の癖を読む技術を模索している。

 レイアは、短剣の扱いに限界を感じ、


「そろそろ武器、変えた方がいいのかな……」


 と呟いていた。


 彼女は、軽装のまま火力を出す方法を探している。

 二刀流か、魔剣か、それとも……。

 メリルは、塔の構造解析に没頭していた。


「この罠、魔力の流れが逆転してます。通常の解除手順では対応できません」


 彼女は、塔の“意図”を読み取ろうとしている。

 まるで、塔が生きているかのように。

 プルは、今日も元気に罠に引っかかっていた。


「ニャーッ!?また落とし穴ニャ!?この塔、絶対悪意あるニャ!!」


 でも、彼女の感覚は確実に研ぎ澄まされてきている。

 罠の気配を感じる速度が、少しずつ早くなっている。


 シャクヤクさんは、塔の壁を睨みながら。


「この配置、作った者の性格、相当極悪じゃな。」


 と毒を吐いていた。

 でも、彼女の動きは、以前よりもずっと鋭くなっている。

 俺は、そんな彼らの成長を、塔の管理者画面というか、

 迷宮核の“観測視点”とライブラさんをリンクさせ、エアリアルモニターで眺めている。


 彼らがどこで苦戦し、どこを突破し、どこで笑っているか。

 全部、俺の塔の中で起きていることだ。

 だからこそ、俺は考える。

 この塔、少しだけ優しくしてもいいんじゃないかと。

 たとえば、49階以降の魔物の挙動を、

 殺意100%から殺意85%くらいに下げるとか。

 カフェフロアに、マッサージ施設を追加するとか。

 ホムンクルスに「お帰りなさいませ、ご主人様♡」と言わせる機能を追加するとか。

 ……いや、違うな。

 この塔は、“煉獄”なんだ。

 精神力を鍛え、魂を浄化することで、フィジカルまでをも強化するための場所。


 己を甘やかしてどうする!


 でも、せめてギルドに配るビラには、こう書いておこう。


「命惜しくば、20階以降は行くべからず。フリじゃないんだからね!」


 と……。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

感謝の言葉しかありません。

よければ次のお話も読んでいただけるとありがたいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

このお話が面白いと思っていただけたなら、評価やコメントなどいただけるとありがたいです。

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