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異世界に転生したらものの5分で最強セージにエンカウントした俺のその後の話  作者: すずき 虎々


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43/61

43.俺が殺されかけた神獣は史上最弱だそうです……。

数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。

読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

 魔力が、引き剥がされていくような感覚。

 意識が、飛びそうになるのを必死に堪える。

 俺は、膝をついたまま、霧の中で呼吸を整えようとしたが、いくら吸っても酸素が巡る感覚を得られない。

 空気が重く、魔素が濃すぎる。


『このままでは、やられる……。』


 すると、次の瞬間、その場の空気が一変し、場の空間を歪めていた張本人すら、一瞬動きを止めた。


『他にもまだ何か来る……。』


 一瞬で、空気が変わり、黒い霧が揺れ、淀んだ風が戻った。

 歪められた空間が、息を吹き返した。


「……っ?」


 俺は顔を上げた。

 霧の向こう、空間の歪みの奥に、何かが“立って”いた。

 その何かは、歩いてきたのではもなく、出現したわけでもなく、ただ、そこに在ったというのが、表現としては最も近い気がする……。


 白銀の髪が、風に揺れる。

 瞳は、夜空のように深く、星のように冷たい。

 その姿を見た瞬間、俺は確信した。


「マスターシェラ……。」


 彼女は、何も言わなかった。

 ただ、それを見つめていた。

 それが、彼女に触れようと襲い掛かる。

 しかし、触れられなかった。

 まるで、空間に弾かれるかのように、彼女の周囲にはぼんやりと光る結界が張り巡らされているようだった。


 それは混乱のあまり、一瞬動きを止める、あるいは、彼女を畏れていたのかもしれない。


 しかし、再びそれは、動いた。

 黒い霧の奔流が、彼女に向かって走る。


 だが……。


「遅い。」


 その一言と共に、彼女が右手を自身の前方に突き出すようにし、手を開くと、空気が弾けた。


 シェラの足元から、魔素のようなものが、光を放って逆巻く。

 炎でも雷でもなく、それは、シェラの持つエネルギーが可視化したかのような光だった。


 神獣の霧が、触れる前に、消えた。

 焼かれたのでも、弾かれたのでもない。

 存在を許されなかったかのようだった……。


「ライブラ、今のは?」


 [回:解析不能です。]


「……は?」


 俺は、立ち上がることも忘れて、ただ見ていた。

 シェラは、ゆっくりと手を上げた。

 その指先に、何かが集まる。

 炎でも、光でもない。

 それは、まるで、ブラックホールが出来る過程を見ている様だった。


「帰りなさい。」


 その声は、囁くように、しかし、神獣と呼ばれるそれは震えた。

 霧は崩れ、空間が軋んだ。


 次の瞬間、それは、消えた。


 爆発も、悲鳴も、抵抗もない。


 ただ、存在がなかったことになった。


 俺は、言葉を失い、仲間たちも、茫然と眺めているだけだった。


 シェラは、振り返らず、ただ、空を見上げて言った。


「どうやら間に合ったようですわね。」


「助かりました、師匠……。」


「次は助けませんわよ。あなたには、それだけの力を与えているはずですわ。」


「さっきのアレはなんだったんですか?あんな魔法、見た事も聞いたこともありませんよ。」


「今まで、あなたには、あの魔法に至る時間を与えたはずですわ。」


「そう言われても……。」


「いくら相手が強大な力を持つ神獣と言えども、その根源は魔物同様魔素ですわ。確かに生半可な力では対抗することは難しいかもしれませんけど、あなたが持つ力は生半可ではないのです。お姉さま同様、全属性との契約を果たし、魔法を創造出来る力を持っているのです。であれば、その力を発揮すべく、努力なさい。あの魔法の名もあなたには伝えませんわ。次の機会までに、自分でたどり着いてごらんなさい。どうせ適当な魔物でも狩って、素材を売って、自由気ままににスローライフでも、などとお考えだったのでしょうが、そうはいきませんわよ。」


「そんなぁ……。せめてヒントだけでも。」


「先ほど見た光景が、最大のヒントですわ。」


「あ、そうだ!師匠、あのですね、実は先日、ダンジョンに潜ったら、船がドロップしたんですけど、それを起動するには、師匠が知ってるはずの言葉が必要なんじゃないかということが判明しまして。教えてください、その言葉。それを動かすことが出来れば、神界に至るとか言うので、神界に行けば色々わかる気がするので。お願いします!」


「知りませんわ、そんな言葉なんて。でもまぁ、知っていたとしても、教えませんわね。神界に至るなど、1000年早いですわ。」


「えぇ~~~。」


「今回の神獣は、この場所から動かなかった。たまたまこの場所に村があったから、ここに住む人達は被害に遭われましたが、ここが襲撃されてから今日まで、特にここに貼り付けられる程、矢継ぎ早に討伐隊が来たわけでもないないでしょうに。」


「つまり、神獣側にここから離れられない理由があったと?」


「そうですわね、まぁ、神獣的にはよくある話ではありますけど、動かないのか、動けないのか。ですが、私がこれまで経験したなかで、神獣が世界中を破壊しつくして、この星が壊滅的なダメージを受けたという話は聞いたことがありませんわ。」


「なるほど、確かに、あれほどの力があるなら、この星を数回は滅ぼしてても不思議でも何でもないけど、まだこうして存続出来ているということは、少なくとも行動範囲は限定されていると考えるのが妥当なのか。じゃあ、今回も俺達が近づきすぎさえしなければ、ダメージを食らうことも無かったということなのか?」


「まぁ、何にせよ、今回の神獣が、事の他弱かったのは幸いですわ。私が今までに相手してきた神獣と比べたら、最弱と言っても良い程ですわ。」


「アレで最弱ですか……。」


「あなたを神獣と間違ったのが3年前、つまり、3年前はガセネタだったわけですから、その前は今から7年前、その前は確か19年前ですので、次の神獣が現れるのは、もう数年後かもしれませんわ。それまでに、あなたも神獣に対抗できるよう、準備を整えておきなさい。それが、力を持つ者の義務です。」




最後まで読んでいただきありがとうございます。

感謝の言葉しかありません。

よければ次のお話も読んでいただけるとありがたいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

このお話が面白いと思っていただけたなら、評価やコメントなどいただけるとありがたいです。

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