38.コテツとヨイチと巨大船
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俺は今、ミヤビという街に隣接した場所にあるダンジョン、通称魔王ダンジョンという場所の最下層、つまり、魔王がいる部屋にいる。
ここで俺が何をしているのかと言えば、言わずもがな、魔王討伐である。
といっても、魔王を討伐するのが目的ではない。
何故なら、この魔王、一般的なイメージの魔王とは違い、放置し続けても何の問題も影響も及ぼさない、言ってみれば人類にとってどうでも良い存在なのだ。
では何故魔王を討伐するのかというと、それはもう、素敵なアイテムをドロップしてくれる至高の存在だからである。
しかし、この魔王、何時でも何処でも無限にアイテムをドロップするわけではなく、まぁ、平たく言うと在庫切れ状態に陥ることがあるので、その辺は加減が必要ではあるが、普通は魔王が在庫切れを引き起こすほどの鬼周回をする人も、出来る人もいないので、あまり気にしたものでもないのだが、ここ数回の我らパーティーというか、俺の鬼周回の結果、大体半日籠ると、以降2日はドロップアイテムを出さなくなるので、大体そんな感じで周回することは出来るが、ぶっちゃけた話、ここでドロップする魔石だけでも、半日籠り分で、平均年収の数十倍の稼ぎになるので、ここに月一ペースで半日籠りを繰り返していれば、一年もしないうちに、元居た世界の小国国家予算レベルで稼げてしまう。
つまり、俺は一年ガチでダンジョン籠りをすれば、おそらく一生どころか十生くらいは遊んで暮らせるだけの収入を得られてしまうのだ。
んで、今、俺の目の前で仰向けで倒れている魔王は、倒れたかに見えて、実は第二形態になろうとしているのだが、今このタイミングをゲームのように黙って見守ってやる必要性はなく、普通にダメージが通る。
しかも、このあと第三形態にまで変身するのだが、第三形態から死ぬまでのダメージを、この第二形態への変身途中に与えることが出来るようになっている。
いや、普通にこの魔王と生きるか死ぬかみたいな戦いを繰り広げる程度の人であれば、この短い時間で、魔王が死ぬほどのダメージを与えるのは不可能なんだろうけど、俺は出来る。
ていうか、最初の一撃で第三形態分までのダメージを入れれないか、今後のチャレンジ目標として設定してみようかなと考えていたりもする。
ということで、普通であれば、ここは苛烈な戦闘描写の末、辛くも魔王を討伐した的な話で盛り上がり、戦闘シーンだけで、かなりの尺を確保出来る美味しいシチュエーションであるはずなのに、最早魔王討伐が作業化してるというか、ここで普通のラノベなんかの強敵と対峙するシーンのようなものを期待されると、多分すごくがっかりされるだろうなとは思う……。
こいつガチでクッソ弱いので……。
なんなら、弱いのは弱いけど、このフロアの前3つのどこかで出てくるライ〇セーバー使いとの戦いの方が、断然楽しいし、白熱した気持ちで戦闘が出来るというものだ。
あぁ、ちなみに、コイツら一応個体名を持っているようだけど、一人も覚えていないんですよね、なんかの競技とかでもそうだと思うけど、勝てなかった強敵の名前って結構歳をとってからでも覚えていたりするけど、1回戦とか2回戦とかであっさり勝った人の名前って覚えてないものじゃないですか。ここのボスキャラ連中って、そういう感じの立ち位置と言うかね……。
ていうか、いくら形態変化中とはいえ、腹だして変身してんじゃねぇよと。
猫だって、警戒してる時は腹なんか絶対見せないし……。
ということで、討伐は完了しましたが、これが何度目なのかもわからないくらい往復してますよ……。
ちなみに、コイツ弱いくせに、生意気にも上のフロアのボスの2倍くらいの時間をかけてリポップするので、上のボスとか中ボスを2往復して帰ってくると、丁度湧いてるみたいな間隔なので、非常に結構面倒くさい。
というか、忘れる……。
俺は一度上のフロアで狩りをしている皆の所に向かうことにした。
ひょっとすると、大きなドロップアイテムが出たりして、困っているかもしれないからだ。
「なんか良さ気なアイテムあった?」
[回:目標としていたメリル用の魔力量上昇に関するアイテムのドロップはありませんでした。
ただし、レイアが使用するのに適したショートソードのドロップを確認しました。
通常のショートソードと比較して、非常に強度が高く、それでいて靭性も高い物で、魔力伝導率が高く、ショートソード単体としても非常に性能が高いものとなっていますが、さらに、特殊効果として、獲得経験値を含む、各種ステータス上昇効果がある神話級のショートソード“コテツ”のドロップを確認しました。
次に、先程のショートソード“コテツ”と比較すると、やや見劣りしますが、弓に魔力を充填することで、自動で各種属性を付与した矢を自動装てんし、連続で射ることのできる弓“ヨイチ”のドロップも確認しました。]
「おいおいおいおい、虎鉄に与一とか、もう絶対作った人確定だろ……。」
「上の階では何か面白い物でも出たかな……。」
俺は皆が周回している階層まで戻り、ボス部屋の中に入る。
そこで目にしたものに思わず声を出してしまった。
「はぁ?」
俺は30階層のボス部屋に戻り、皆のドロップアイテムで、プルの次元収納に収まらない物がないかを確認しようと、ボス部屋の扉を開くと、そこにはありえない程巨大というか、普通に考えて、どうやってもこの部屋から出すのは不可能だろうという程のサイズの、巨大な船が鎮座していた。
次元収納持ちの中でも、かなりの魔力量を持つ者でなければ、このドロップした船を持ち帰ることは出来なかっただろう。
しかも、どうやら、この船は海に浮かべて移動する船としても使えなくもないようだが、航空力学的にはアウトなんだろうけど、でも見た目的には飛ぶ気満々の意匠で、これを何に使えば良いのかは、さっぱりわからないが、売ればそれなりの金額にはなるんだろうなとは思った。
ただし、これは道楽の部類に入る物だと思われ、今の世の中では移動は転移魔法陣が主流で、こんな巨大な船を使って、海運事業や空輸事業を展開したとて、すぐさまつぶれるのは目に見えている。
金持ちの道楽で、遊覧飛行とか、そこに珍しい魚等を見学できる地域での海遊要素を入れてみるとか、その程度の使い道しか思い浮かばないし、万が一の事故等を考慮した場合、それすら危うい事業となるのではないだろうか。
とはいえ、折角ドロップした物を、このままここに放置するのは忍びないので、俺の次元収納に格納することにした。
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