37.他人の恋は蜜の味
数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。
読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
「そういえばこの間さ、私一人でサルモアに採取に行ったじゃん。あの時出くわした魔物が強烈で、すっかり忘れてたけど、実はサルモアの街中で、ハルイにばったり会ったんだけど、物凄く暗い顔してるから、どうしたのか聞いたらさ、たった一言、“失恋した……。”って、ゴリラみたいな顔して、“失恋した……。”って、もう、おかしくておかしくて、吹き出しそうになるのを堪えるのが凄く辛かったよ。でもさ、本人はね、真剣だったんだろうから、笑っちゃ悪いなとは思うんだけど、でもさ、あの顔がどんよりして、両肩をがくんと落として、“失恋した……。”はないでしょ。笑い殺す気かとwww」
「リース言い過ぎw」
「いや、あの顔見たら、レイアだって絶対噴き出すからw」
「メリル、昨日お茶の時に出してくれた、クッキーみたいなの、あれなんニャ?」
「あぁ、あれは、ガレットって言って、商店街のいつものパン屋さんじゃなくて、果物屋さんの裏の、シュークリーム置いてるお店わかりますか?」
「うん、うん、あの表通りからだと一段奥に引っ込んでて見つけにくいとこニャ?」
「そうそう、あそこのお店に、平日の午前中だけ置くんですけど、すぐに売り切れちゃうんで、タイミングが命ですね。」
「そうなんニャ、今度張り込まないとダメニャ。」
今、俺達は、決してピクニックに来ているわけではなく、ミヤビにある魔王ダンジョンの深層を目指している。
女の子が4人も集まれば、それはもう、姦しいでは済まされず、ぶっちゃけた話、相当うるさい……。
というか、緊張感が感じられない……。
で、なぜここにシャクヤクさんがカウントされていないかと言うと、いないからだ。
タンクが必要な戦闘になるまでは、シャクヤクさんは家で仮眠中となり、必要になったら召喚されるのだ。
そして俺は何をしているのかというと、俺は更に奥地というか、魔王部屋まで行くつもりなので、途中まではどうせ一緒なのだからと、同行しているのだ。
この魔王ダンジョンと呼ばれるダンジョンは、最下層に魔王がいて、その前の5階層には、ボス部屋にたどり着く前に、中ボス部屋のような部屋があり、その中ボス部屋までたどり着くにも、なかなか骨が折れる量の魔物を討伐する必要があるので、一般的に、魔王ダンジョンは中ボスが現れ始める30階層よりも、上の階層を探索するのが通例だ。
しかし、シャクヤクさんをタンクとすれば、うちのパーティーならば、普通に30階層は行けるし、ギリギリのラインを攻めるなら、正直32階層くらいまでは行けるだろうが、そこは無理をせずに、29階層と30階層を中心に回ってもらう。
俺はソロで31階層以下を巡回して、ドロップアイテムを軒並みかっさらうつもりでいる。
29~30階層組の中では、プルが次元収納を扱えるので、基本的にはプルに回収してもらうが、キャパを超える場合や、極端にデカい物があった場合は、30階層のボス部屋に置いておくような手筈となっている。
「はい、皆さん。それでは次から25階層になります、ここから先については、俺は手を出さないので、皆さんで魔物を処理してくださいね。プルさんそろそろ召喚準備お願いしますね~。」
「大丈夫ニャ!」
「あぁ、どうしましょうか、先にお昼ご飯食べちゃいましょうか?」
「あぁ、そうだな。食べてから潜ろうか。じゃあ、プルさん、シャクヤクさん出して。」
「わかったニャ!※△×◎※§¶ΘΠ※§¶△◎Ψ〇□Π※シャクヤクΣДЖ※§¶ΘφωД!」
「はい、シャクヤクさんおはよう。仕事の前のご飯の時間だよ。」
「む、食事かえ。ならば已む無し。」
少し離れた場所で、リースとレイアが腹を抱えて笑っている。
シャクヤクさんが召喚獣的な感じで出現するのが、よほど楽しいらしく、ここ最近では彼女達の鉄板ネタとして大人気なのだ。(局地的に……。)
今日のお昼は漬物を具としたおにぎりと、滑りのあるキノコと大根おろしが入ったみそ汁だ。(早い話がなめこの味噌汁だと思ってくれれば良い。)
俺が水魔法に浄化を加えたものを垂れ流すと、一人ずつそこで手を洗う。
そして、その流れた水は、下の方に出した次元収納(廃棄物専用的なヤツ)に流れるので、辺りを汚さずに衛生管理が可能となっていて、洗い洗った手は、メリルが最近覚えた温風を出す魔法で乾燥させる。
こんな衛生的な環境を保ちつつ、ダンジョンの最深部に近い場所で狩りをして収入を得るとか、そうとう恵まれてるはずだぞ、感謝しろよお前たち!
ということで、食事も済ませ、ダメージ担当のシャクヤクさんも来たので、俺は先に奥へと進み、皆はあとからゆっくりと進んでくるのだ。
「ライブラさん、魔王って強いの?」
[回;マスターの戦闘能力を基準に考えるのであれば、弱いです。]
「あぁ、そんな感じなんだ……。じゃあさ、この世界で、一番強い敵はどこにいるの?そして、それは、どのくらい強い」
[回:マスターよりも強く、倒すのが難しいと推察される個体は、シェラ・パラディオール・パトラムのみです。
ただし、シェラ・パラディオール・パトラムは、マスターに対して敵対する意思を示してはいないので、戦闘になる可能性は極めて低いと推察されます。]
「そうなんだ、この世の最強が自分の師匠とか、自分が無敵になった気がするのはなぜだろうw」
[告:この世界の存在に限定しない場合は、幾つか問題となる敵性を示す個体が存在します。]
「え?この世界のものではないのに、この世界で俺に敵対する可能性がある存在ということ?」
[回:そのとおりです。今のマスターでは、挑めば確実に殺される個体も存在します。]
最後まで読んでいただきありがとうございます。
感謝の言葉しかありません。
よければ次のお話も読んでいただけるとありがたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
このお話が面白いと思っていただけたなら、評価やコメントなどいただけるとありがたいです。




