34.閑話:一緒にご飯食べればまた一緒に生きていける説
数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。
読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
「ねぇ、レイア。さっきの、夢じゃないよね?」
「夢じゃないよ。だって、ほら──この袋、報酬の半分。ちゃんとフィン君がくれたやつ。」
「……うん。そうだよね。フィン君、変わってなかったね。」
「変わってなかった。強くて、優しくて、ちょっと皮肉屋で、でも、やっぱり頼りになる。」
「それにしてもさ、あのプルちゃんの召喚獣たち……バルログにフェンリルに蚩尤に、シャクヤクちゃんまで召喚されてるとか、もう意味わかんないよね。」
「うん。あの時、笑いすぎてお腹痛くなった。」
「“シャクヤクちゃん召喚されてるwww”って、あれ、ネタ的に最高だよね。」
「ホントそれ。ギルドの酒場で話したら、絶対盛り上がるやつ。」
「……でもさ、あの子、ほんとにすごいね。あの頃もすごかったけど、今はもう、別格って感じ。」
「うん。でも、なんか安心した。あの子が、ちゃんと笑ってたから。」
「私たち、フィン君のこと、ちゃんと見れてなかったのかもね。」
「うん……。あの時、私たちが“ついていけない”って言って、パーティー抜けたじゃん。」
「うん。」
「でも、今日会って思った。あの子、別に“置いていった”んじゃなかったんだなって。」
「“待っててくれてた”のかもね。」
「……そうかも。」
二人は並んで歩きながら、街の石畳を踏みしめる。
夕暮れの光が、路地の影を長く伸ばしていた。
「ねぇ、レイア。私たち、また一緒にやれるかな。」
「どうだろうね。でも、今日みたいに、たまたま会って、たまたま一緒に依頼こなして、たまたま笑って──」
「それって、もう“たまたま”じゃない気がする。」
「……うん。私も、そう思ってた。」
「ねぇ、フィン君の家、まだ私達が使っていた部屋あるかな?」
「なんとなくだけど、まだそのままになってるような気がする……。」
「じゃあさ、報酬届けたら、少し話してみようか。“また一緒にやってもいい?”って。」
「うん。でも、フィン君、なんて言うかな……。」
「“別にいいよ”とか、“好きにすれば”とか、そんな感じじゃない?」
「それ、めっちゃ言いそうw」
「でも、あの子の“別にいいよ”って、たぶん“嬉しい”って意味なんだよね。」
「うん。わかる。あの子、そういうとこある。」
二人は笑い合う。
その笑いは、三年前の別れの痛みを、少しだけ癒してくれた。
「ねぇ、レイア。私、あの子に言いたいことがあるんだ。」
「なに?」
「“ありがとう”って。あの時、私たちが勝手に離れたのに、今日、何も言わずに受け入れてくれたじゃん。」
「うん……。私も、言いたい。“ごめん”って。」
「じゃあ、言おう。ちゃんと、言おう。」
「うん。」
その時、ふと風が吹いた。
どこからか、懐かしい香りがした。
焚き火の匂い。薬草の香り。あの子の料理の匂い。
「……あの子、今も料理してるのかな。」
「してるでしょ。あの子、料理好きだったもん。」
「また、食べたいな。あの子の作ったご飯。」
「じゃあ、言おう。“また一緒にご飯食べたい”って。」
「うん。言おう。」
二人は、フィンの家へと続く坂道を登っていく。
その背中には、三年前にはなかった“覚悟”が宿っていた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
感謝の言葉しかありません。
よければ次のお話も読んでいただけるとありがたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
このお話が面白いと思っていただけたなら、評価やコメントなどいただけるとありがたいです。




