32.命舐めないでいただけますか?
数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。
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「どうしても無理なんでしょうか……。」
「う~ん……。そもそもの話なんだけど、例えば血液一つとってみても、皆同じ色だし、どれでも一緒、というわけではないんだよ。RH+とか-とか、AとかBとかOとか。それを、今治癒したこの人の血液の型がどれで、どのくらいの量を必要としていて、って言うのが的確に判断出来ないと、足りないなら大量に突っ込めば良いっていう話でもなくて、適切な型を適量入れてやる必要があるから、例えば、血液を作る魔法を、俺が開発したとしてもだ、それを鑑定して、どの型をどのくらいの量輸血してやる必要があるかをいちいち状況に応じて判断出来なければ、血だけあっても仕方ないんだよ。つまりだ、例えば全属性魔法を使えたからとて、そもそもの肝心要の鑑定が出来なければ、血を流した人の治療は不可能ということになるんだよ。つまりだ、こと、治療となると、治癒魔法の精度がどうとかいう話じゃなくて、むしろ鑑定スキルの方が重要ということになるな。よく治療院とかでもさ、出来る限りのことはしたから、あとは本人の回復力次第とかいうじゃん。あれは、ある意味正解だけど、ある意味不正解でもあるんだよな。本人の回復力が強ければ、血液が足りない状態でも耐えることが出来て、結果として回復したって話であって、じゃあ本人を100%治療魔法の力で救うことが出来ないのかというと、俺が鑑定をかけて、本人に必要な物を全てクリエイトで作ってやりさえすれば、別に本人の生命力が必要以上に高くなくても、魔法の力だけで完治させることは不可能じゃない。つまり、治療をするのが、俺か俺以外か。それだけの話だ。」
「う~ん、なんか最後の方だけ異常にムカつきますが、でもなんとなく言ってることは正しいのだろうなということはわかる気がします。フィンさんの回復魔法が異常というのは、これはもうフィンさんから回復魔法を受けた人の総意ととって間違いないでしょうし。」
「あと、損傷個所の問題というのもあるぞ。例えば腹部にダメージを受けたとして、それによって損傷したのがどの臓器なのか。これによってどの機能に問題が出るのか。同じ場所に見えても、損傷した臓器の違いで必要な処置も変わってくれば、再生すべき内臓も違う。これらをただヒールと言えば治ると思っているようでは、運よくたまたまヒールで再生出来たなら回復するだろうし、全然見当違いの場所を治癒してたら、回復はしない。長年の経験のある治癒師や、転生の才能の持ち主ならば、適切な処置をすることが出来る場合もあるんだろうが、それにしたって、確定した確実な診断によってなされる治療と比べれば、やはり一か八か感は否めない。つまり、治癒において、最も大事なのは、どこが損傷したのか、問題がある箇所を確実に鑑定することに尽きるから。やはり、上げるべきは治癒魔法の精度ではなくて、鑑定魔法の確立だろうな。」
「鑑定魔法なんてどれとどれを組み合わせれば作れるのか、見当もつきませんよ。実質我々一般人には人の命を救うことは無理だと言ってるようなものです。」
「そうとも限らないぞ、魔法なんかなくても、人の命を救う技術を確立した地域もあるくらいだし、鑑定の魔法と言っても、一つの魔法でなんでもかんでも鑑定できるようにするには、そりゃ難易度も高くなるんだろうが、例えば、その人の血液の型を鑑定する魔法。内臓の状態を鑑定する魔法。なんなら、表面を切ってしまって、中を直接見ることが出来れば、どこが傷付いているのか、直接目視することだって出来るだろうし、そうなると、外気に内臓を晒すことになるから、その処置をする場所を清潔に保たないと、細菌に感染することで、別の症状が出てきてしまって、命に係わる問題が生じる場合だってあるから、色々と気を遣う必要が出てくるだろうけどな。」
「なんだか、どんどん難しい話になってしまって、最早簡単に手軽に人を救うという目的からどんどん離れていってしまう気がします。」
「その考え方自体が問題だと思うぞ。人の命に係わることを、手軽にとか、簡単にとか考える方がどうかしてる。そんなもんじゃないだろう。そんな軽い気持ちで向き合っていい問題じゃないぞ、人の命っていうものは。一人の命って、そこに係わる多くの人の人生を左右するものなんだよ。」
「そうれはそうですけど……。いえ、すいません、私が甘かったです。もっと真剣に向き合うべきでした。」
「まぁ、メリル一人を攻めたつもりもないから安心しろ。この世界の命への向き合い方が軽いって言ってるんだ。とりあえずは、血液型の研究から始めてみれば良いんじゃないか?その差を確定することの出来る方法を確立すれば、大きな前進になると思うぞ。」
「わかりました、やってみます!」
「その調子だ!未来の大先生になれるかもしれないな、メリル。」
「そのためにも、フィンさんの魔法を、もっともっと、近くで見せてください。必ずつかんで見せます!」
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