30.ドラゴンサモナーは突然に
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我が家が誇る野生児は、誰が何と言おうとシャクヤクさんで間違いない。
その理由は、シャクヤクさんが竜だからとか、そういうことではない。
シャクヤクさんが喰うと寝る以外で取る行動はというと、狩るぐらいなもので、いわば野生動物の本能的行動をそのままというね、これ以上の野生があるなら言ってみてくれと。
で、野生から最も遠いのはメリルだろう。
メリルの場合は、野に解き放ったら、数秒であの世へ行ってしまいそうな程に、生存するための力が足りていない。
なんなら町中に解き放っても危険は多そうだ……。
そして、持っている力という意味では俺に劣りはするものの、野生感が最強なのはプルだろう。
彼女は猫の獣人で、それだけでも十分野性味は溢れているが、何を隠そう召喚士で、しかも、召喚対象が虫系に強いという、このスキルセットを聞く限りでは、もうワイルド以外の何物でもない気がするが、実は彼女、虫が苦手というね……。
召喚するのはいいけど、虫が怖いからまともに見られず、こういう虫系の召喚術というのは、数を召喚してなんぼ的な側面があるにもかかわらず、大量の虫を呼ぶと自分が気絶してしまうというね、もう召喚士なんてやめてしまえと……。
じゃあ、なんで虫の召喚士などをやっているのかというと、単に呼び出せたのが虫だけだったということ。
あと、なんで俺達のパーティーにいるのかというと、召喚士として、虫を召喚しなくても、なんとかなるからというね……。
極潰しか!?
まぁ、そもそもの話、召喚魔法という物が、どのような魔法なのかというと、召喚する対象に、召喚することを認めさせることが出来れば、それはもう召喚の契約が交わされたと考えてOKということになる。
で、虫が簡単で動物が難しいのは、感情の有無によることが大きくかかわっていて、要は好き嫌いだ。
動物に好かれる人は召喚契約も結びやすく、逆に動物に嫌悪感を抱かれるような人は、召喚契約が結べないということになる。
でだ、なんでうちのプルさんは、動物との召喚契約を結ぶのが苦手なのかというと、召喚契約とはいえ、多少の主従関係みたいな感じにはなるものなので、プルさんの場合、主というよりは、友達くらいの感覚にしかならないからではないかと、俺なりに考えている。
つまり、うちのプルさんが召喚士として大成するには、召喚士としての技術や経験よりも、人としての器の大きさを磨いてもらう方が早いのではないかとさえ思っている。
ということで、先日俺が捕獲してきたペガサスが、丁度良い練習台になってくれるのではと思い、ペガサスで召喚契約を結んでみてはと進言したところ、本人も大いにやる気になって、先程も言ったように、対象との好悪の情も大いに関係するとのことで、それはもう献身的にお世話をしてみたり、色々とやっているうちに、ついにペガサスとの召喚契約に成功したのだ!メリルが……。
いや、なんでメリルと思うでしょうが、これまた仕方のない事情というものがあるんですよ。
元々ね、メリルさんってば、人間だけじゃなく、動物にも愛されるタイプのお嬢さんでして、なんならプルもメリルの事は大好きなんですよ。
そんなメリルさんですから、プルがペガサスのお世話をする際にも、喜んでお手伝いをするわけです、そうして一緒にお世話をしている最中に、ついついうっかり、契約の魔法ってどんな感じなの?とか尋ねちゃうわけです。
そうすると、これまたバカ正直なプルさんも、あぁ、それならと教えちゃうわけですよ。
で、それを聞いたメリルさん、「へぇ、呪文は“我のこの手を取りて、契約を交わさん。”って言うだけなんだぁ~。」と、言っちゃうわけです。
すると、あら不思議、ペガサス君はメリルちゃんの手に、しっかりと“お手”をするみたいに前足を置いちゃうわけですよ。
で、契約完了と……。
もうもうもう、そうなると大絶叫ですよ。
まるでミヤビの遊園地の絶叫マシンにでも乗ってるんじゃないかってくらいの大絶叫ですよ、二人とも……。
で、召喚契約を結んだ動物はというと、主側の魔力の裏側という、ちょっと言葉で説明するのが難しい領域に身を隠すことが出来るようになり、これも召喚契約を結ぶメリットの一つと言えるが、ペガサスも二人の大絶叫に驚いて魔力の裏側に隠れてしまった。
ヒーラーのメリルに動物召喚契約で先を越されたプルさん、それはもうひどい落ち込み様で、このままショックを引きずって干からびていくのではないかと思われたが、これまた、俺のファインプレーで、息を吹き返すのだった。
ようは、プルが動物系の召喚契約が結べれば良いわけで、対外的な見栄えを保てれば良い。
そして、うちのパーティーにはシャクヤクさんという寝るか食うかしかしない人がいるので、何かの依頼の為に遠くに出向く場合、いちいちシャクヤクさんの出迎えだとか、なんだとかかんだんだとかで、とにかく面倒臭いので、最悪シャクヤクさんをガン無視することも多々あり、それはそれでシャクヤクさんも不貞腐れるので、この際、シャクヤクさんと召喚契約を結んでしまえば、何処に行くにも迎えに戻る手間が省け、シャクヤクさんはシャクヤクさんで、カオウさんや古竜様なんかに怒られそうな時は隠れる場所が出来て、win winなんじゃないかと言ったら、プルさんは、竜を召喚出来る召喚士なんて聞いたことないと喜び、シャクヤクさんはシャクヤクさんで、仲間外れも回避出来て、ババ様や母様からの追跡からも逃れられるとあらば、断る理由が見当たらないと喜び、こうしてうちのパーティーで“ドラゴンサモナー”が誕生することとなったのだった。
そして、こういうのは、流れもまた大事なのだ。
ドラゴンと契約を結んだ凄腕の召喚士ともなれば、契約したがる見栄っ張りも増えるというもので、ましてや今現在はドラゴン以外は契約していないとなると、我先にと契約したがるものらしく、シャクヤクさんとの契約以降は、右肩上がりで件数を伸ばしていっている。
何処の世界でも、口コミや評判というのは、そのものの本質的な力を越えてくるんだなと、少しばかり切ない気持ちにもなったのだった……。
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