21.天界と冥界を巻き込む話の展開が明快
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「ミシャの生まれた時期と、古竜様が目を覚まさなくなった時期が重なると……。」
「あと、もう一つ。母様が目を覚まさなくなる前に、奇妙な事が起きていたわ。母様が自室で一人になると、たまに誰かと話しているような声が聞こえることがあったわ。確か、テンカイがどうとか、メイカイがどうとか言っていたと記憶しているけど、その時は、母様がそろそろボケてきたのかな?くらいにしか考えていなかったわね。」
「テンカイにメイカイ。天界と冥界ってことですよね、きっと。ふむふむ、最早、人の身でどうこう出来るレベルを超えてきている気がしますね。」
「いや、別にそうでもないんじゃないの?母様は、今神様やってる方と、懇意にしてたわよ。」
「え?神様やってる方?神様ってやるものなんですか?って、そういえば、神様もなんか神様始めてからとかなんとか言ってた気がするな……。」
「今の神様が初めてここに来た時には、私とスミレ、あ、向かいに住んでいる紫竜ね。で、その二人で神様に襲い掛かろうとしてたのを、母様に止められたのよ。あの時止められてなかったら、私達は今ここにいないかもしれないわね。貴方もそこそこ強いようだけど、あの時のキラ様は尋常じゃなかったわ。その後にね、この世界が神獣に襲われたことがあったんだけど、その時も、キラ様が一人で倒してしまったのよ。母様も加勢に行ったようだけど、ほんの数秒の足止めすら満足に出来なかったって言っていたわ。」
「まぁ、神様に至るような方なので、そもそもが人の範疇に収まっていたことが奇跡みたいなものなんでしょうね。」
「まぁ、キラ様は、この世界を作り替えたというか、文明を加速させたというか、それでいて、過激な事はせずに、まるで人の持つ力を知っていたかのように、自分は切っ掛けを与えるだけに止めていたようにも見えたわね。そうそう、そういえば、この城を建ててくれたのもキラ様よ。竜の人化が苦痛でなければ、もっと快適な生活が出来るけど、どう?って言ってくれてね。私達も人の状態だと、色々と弱い部分があるから竜の姿でいたけど、これはこれで、場所もとるし、邪魔だと思っていたのは事実よ。それを言ったら、それじゃあと言って、この城を建ててくれたの。永久に劣化しないように、特別な魔法をかけてもくれたわ。」
「神様が作ったマンションって、それだけで相当な資産的価値を生み出しそうですね……。」
「あら、貴方知らなかったのかしら?このパラディオール地域や一部のパトラム、世界首都のバミアもそうだったかしら、他にもあったと思うけど、街の大部分を作ったのってキラ様よ。この世界では神様が建築した建物なんて珍しくもないのよ。」
「それって、この世界の人達は皆知っているんですか?」
「そうね、知らないかもね。それこそあれよ、あの、なんだっけ、あぁ、シェラだ。キラ様の妹の。あの娘が書いた福音書?あれが広まってからは、人々の記憶も曖昧になっていって、キラ様自体も、キラ様としてではなく、神様として語られるようになったんじゃないかしら。」
「はいはい、いいですよ。大丈夫ですよ。全然問題ないですよ?ついて行けていますよ。師匠が神様の妹だろうが、聖典みたいなのの著者だろうが、驚きませんよ?」
「ははは、大分刺激が強かったみたいだな。」
「そ、それほどでも……。あ、ところで、古竜様は、今どちらにおられるのですか?」
「母様なら、この上の階の自宅で眠っているわ。」
「最近何か変わったこととかはありませんか?」
「そうね、そういえば、今年に入ってからは、様子を見てないわね。今から行ってみようかしら。一緒に来る?」
「是非、ご一緒させてください。」
俺達は、カオウさんと共に、古竜の部屋を訪ねた。
カオウさんの家もかなりの豪邸と呼べる作りだったが、ここはそれを遥かに上回る豪華さだった。
まず、ここが寝室なのかどうかは定かではないが、ここは地中深い谷底から10フロア分上がったくらいの高さの場所で、要するに、地中深くということになるが、そんな地中深いはずのこの部屋の窓の外が、何処までも続くかのような森を眼下に、突き抜けるような青い空が広がっているのだ。(しかも、静止画ではなく、動きまである……。そう言えばさっきカオウさんの家では窓にカーテンがかかっていたから気にしなかったけど、よく考えると、カーテンから明かりが漏れ出ていた時点でおかしいのだ。)
そして、おかしい点はまだあった。
「古竜様って、寝る時結晶化したりするんでしょうか?」
「いや、私も母様がこんな風になってるの、初めて見た。」
「シャクヤクさん、これって、ミシャと同じ状態と言っても良いんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか?」
「わた、わ、わらわもそう思う……。」
「ただ、これは……。」
俺達が困惑しているのが何故かというと、まぁ、確かにミシャ同様結晶に包まれている様な状態なので、封印されていると考えて良いのだろうが、その結晶の状態に問題がある。
封印をする際に、四方を壁で覆うというのが推奨されているのは、これが原因なのではないかと、今ならわかる気がする……。
今の状態を端的に言い表すなら、古竜様を中心に、爆発した状態を結晶で表現したらこうなるだろうね、と言えば理解してもらえるのだろうか。
ただ、一つ確実に言えることとしては、中の古竜様が傷を負っているとか、そういう感じではないようには見える、表面的には……。
「これは、おそらく、時期を断定するのは難しいでしょうが、ミシャの封印と、古竜様のこの結晶化?には因果関係がありそうですね。」
「三日前までは母様普通に寝てたわよ。」
俺達三人は、急に背後から声が聞こえたので、驚いて、全員同じ様な感じで振り返った。
すると、そこには黒よりの紫色の髪の美女が立っていた。
「スミレ、お前、つけてきたのか。」
「あら、その言い方はないんじゃないの?気の短いことで有名なカオウ様が、これまた魔法も使えない残念な娘と、正体不明の男を連れて、母様の部屋に行こうとしたら、そりゃだれだって不審に思うじゃない。」
「何ぉ!」
「カオウさん、ちょっと待ってもらえますか。今、あなた三日前まで古竜様が普通に寝ていたと言いませんでした?」
「答える前に、あなたは誰なの?」
「あぁ、俺はフィンと言います。わけあって、シャクヤクさんを養っている状態ですが、寝床を与えてご飯を食べさせているだけなので、変な勘繰りはご遠慮願います。で、俺が誰かという質問に名前を答えたからそれでよしとは思っていません。俺は魔法使いですが、この辺の情報もどうでもいいですよね。あなたが求めている答えは、俺がどうしてこの場にいるのかということだと思うので、端的にお答えします。俺は、俺が預かっている女の子が起こしたスキルの暴走に起因する、ムーシルト集団昏睡事件を解決すべく、色々と調べていたのですが、どうやらこちらの古竜様との関連性が強いのではないかという情報を得たので、こちらにお邪魔していたという次第です。」
「なるほど、そういうことだったの。」
「それで、先程の答えをお願いしても?」
「えぇ、そうよ。母様は私が三日前に様子を見に来た時は、いつもと変わらず、そのベッドの上で普通に眠っていたわ。」
「なるほど、ということは、ミシャを封印した後にこうなった可能性が極めて高くなってきたと考えて良さそうですね。ふむふむ、古竜様の独り言のような声、そこで出てきた天界や冥界というワード、そして昏睡。時を同じくして生まれてきたミシャ。そして、ミシャのスキル暴走、からの、迷宮核による封印。そして、おそらくそのあおりを受けての古竜様の結晶化。」
「わらわには、何が何だかさっぱりわからないぞえ。」
「えぇ、確かにわからない。この世界の中に留まっていたのでは、ね。」
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