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2.再転生

「次の方どうぞ。」


「はい、手を置けば良いんでしたよね。」


「そうですよね、大変混乱って、はぁ? あなたさっき神様のところにお送りした方ですよね?私確かにお送りしましたよね?なんでここにいるんですか?」


「はぁ……。 実は、また死んじゃいまして……。」


「え?転生して、何分も経っていませんよね?なんでまた死んでいるのですか?」


「それは俺も知りたいところではありますが、謎の美女が突然現れて、何か言ったと思ったら、もう、ここでした……。」


「先ほどは、あなたの存在自体がイレギュラーかと思いましたが、今はあなたがイレギュラーを量産する人なのかという疑惑が生まれています……。 ここにいられてもカウンターが混雑するので、再度神様のところにお連れしますの、あとはそこでお話ください。」


 というわけで、再び神様の面前に俺はいる……。


「あなたね、異世界よ?剣と魔法のファンタジー世界って言ったわよね?普通そんな危険な場所に転生したら、まず何を求めるべきかわかるでしょう?それを、最強の魔法使いとか意味わかんない希望出しちゃって……。その希望は今だったの?違うわよね?来年でも再来年でも、なんなら、自分の努力次第ではファクトチェンジなしでも行けたかもしれない。それを、アホみたいな顔で「最強の魔法を使える魔法使いになりたい!」とか……。呆れて物も言えないわよ。」


 結構な勢いでしゃべってると思うけど……。


「そりゃそうでしょ!あなたは言わなきゃわからないんでしょ?普通ね、ああいう場合は、生存を求めるのよ。生き残れる可能性を上げに行くの。」


「え?あの、前回から気にはなってたんですけど、俺が考えてること、わかるんでしょうか?」


「あたりまえでしょ!私神様だっていったわよね?神様が相手の思考も読めなかったら、もはやそこらの人間以下じゃない!」


「いや、それは知りませんけど……。」


「大体あの娘もあの娘よ、大方新手の神獣とでも勘違いしたんでしょうに……。 まぁいいわ、仕方がないから、もう一度だけチャンスをあげるわ、特別だからね!あと、リスタートのポイントは、あの娘に殺された直後、ちゃんと誤解を解くのよ。」


「あの、俺誤解で殺されたんですか?それってなかなかな過失責任があるような気がするんですが……。」


「何度も言ってるけど、あそこは剣と魔法のファンタジー世界だって言ってるわよね。平和な日本の感覚で生きていくのはなかなか難しいと思うわよ。あなたみたいに弱いままで生き抜けるほど甘くないの。まずは、その自分の弱さを何とかするところからね。仕方がないから、ファクトチェンジをもう一度使えるようにしておいてあげる。」


「はぁ……。」


「あと、生き返ったらあの娘にこの剣を見せなさい。そして、事情を包み隠さず全て話しなさい。そうすれば、あの娘だってきっと理解できるはずだから。私だって暇そうに見えるかもしれないけど、意外と忙しいんだから、もうこれで最後よ。次死んだらそのまま死んでもらうからね。じゃあ、いってらっしゃい!」


「え?あ、えぇ……。」


「うわっ!またいた‼」


 俺は再度転生した?いやリスタート?なんかもう、完全にゲームみたいな話になってるけど、そんなことはどうでも良い……。

 今、目の前には、先ほど俺を殺した絶世の美女(二人目)がいる。そして、こちらをいぶかしむよな目で見ている。


「あぁ、ちょっと待った、殺さないで、その魔法は引っ込めて!」


 美女はさらに怪訝なものを見る表情になっている。


「あなた、私が今魔法を生成しようとしていたことが、わかったんですの?」


「え?えぇ。わかったみたいですね。なんででしょうね?って、そんなことはどうでも良いので、殺す前に、いや、そもそも殺さないでほしいんですが、とにかく俺の話を聞いてください。」


 美女は目を細めて俺の事を見るというよりは、そうだ、刑事ドラマだ、刑事ドラマの取り調べ中の刑事のような目で俺を見下ろしていた。


「何を話したいと言うんですの?あなたが神獣である以上、この世界で生きていく道などございませんわ。」


「まずは、そこです。俺はシンジュウなんてものじゃないし、普通の人間だ。いや、普通ではないか。とにかく、シンジュウではないので、そこは理解してください。」


「神獣でもないものが、そこまで突然魔力を急上昇させることなど出来るわけがありませんわ。出まかせを言うのなら、もっとましな出まかせにした方がよろしいんじゃなくて?」


「いや、本当です。って言っても、そうですよね、話が途中だったり、足りなかったりするから理解できないんだ。わかりました、時間は大丈夫ですか?最初から話したいと思います。」


 俺は謎の美女(超怖い)に事の経緯を全て話した。

 自分が転生者で、別の世界から来た人間で、神様にチートアイテムをもらって、この世界にやってきて、ものの5分で一度殺されたけど、神様が再度チャンスをくれたということ、そして、自分を殺した相手に、この剣を見せるようにと言っていたことを。


 俺は、美女に剣を差し出すと、美女はうつむいたまま、何も言わなくなり、何か考え事をしているようだった。


「そういえば、神様は、しきりにあなたの事をあの娘、あの娘、と呼んでいましたけど、あなたは神様と知り合いなんですか?」


「あの娘? 」


 美女は俺が渡した剣を握りしめると、「フッ」と声を漏らし、口元には笑みが、瞳には一筋の涙が見えた。


「あなた、さっき転生してきたばかりだと言っていましたわね、であれば、この世界の事など何も知らないのでしょう。私が、この世界でなんと呼ばれているのか教えて差し上げましょう。人は私を“エンシェント ノーブル セージ”と呼んでおりますわ。誰もがひれ伏し、目を合わせようともしない、会話など恐れ多いとも……。そんな私を“あの娘”と呼ぶ神ですか。」


 美女は立ち上がると、街の方を向いて言った。


「行くところが出来ましたわ。あなたも一緒についてらっしゃい。ついてくれば、あなたが求める答えも、きっと得られると思いますわ。」


 彼女は俺が神様から預かった剣を腰に携え、真っすぐと歩き出した。


 その後ろ姿は、何か、語られることのない物語を携えているように見えた。


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