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レベル1の俺が死んだらレベル999の最強チート美少女も死ぬらしい~異世界スローライフしたい俺と、帰りたい彼女の命がけバディ生活~  作者: 古池ケロ太
第1章

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第33話 旅立ちの手紙

「そっか……ラウラさんたちが……」

「うん。二人で街を出ろって……」


 太刀川の嗚咽が収まるのを待って、大方の事情を聞くことができた。


「つーか、お前な。勝手に思い込んで、勝手にへこむのやめろよ。誰も責めたりしてないだろ」

「う……。ごめん……」


 聞けばコイツ、「自分が死にたくないから俺を守るんだろう」って言われて即答できなかったせいで、俺が失望したと思っていたらしい。


 アホか。

 誰だって死ぬのは怖ぇよ。

 そんなんで責めるわけあるかよ。


「まったく、根が真面目なヤツは、これだからタチが悪いな」

「だ、だって……」

「でもまぁ、そういうところも……」

「え?」

「いや、なんでもない! 忘れろ!」


 きょとんとした顔で首をかしげる太刀川。

 ヤバいヤバい、変なこと口走るとこだった。


「つか、そのナップザックみたいなのは何なんだ?」

「あ、これはヤンさんが持たせてくれたの。黒の書が入ってるんだって」


 太刀川は背負っていた袋を下ろし、中を開いた。

 確かに黒の書が入っている――が。


「なんか、他にもいろいろ入ってねぇ?」

「ホントだ。なんだろ……」


 探ってみると、さらに色々と出てきた。


 黒の書を入れるブックホルスター。

 俺と太刀川の着替え。

 お金。

 地図。


 そして――


「これ……手紙?」

「だな。ラウラさんからみたいだ」


 横長の封筒にはラウラさんの名前があった。

 封を開けると、中には数枚の便箋。

 異世界に来たばかりの俺でも分かるくらい、丁寧な文字が書かれていた。


――――――――――――――――――


 ジュンちゃん、そしてタクミ君へ。

 

 この手紙を読んでいるということは、無事に王都を離れたのですね。

 まずは、そのことに心から安堵しています。


 こんなふうに二人きりで旅立たせることを心苦しく思います。

 護衛もつけず、頼れる大人もいない。

 そんな状況に追い込んでしまったことを、どうか許してください。


 それでも私は、貴方たちに託そうと決めました。


 この国の東の果てにある『魔導(まどう)図書館』。

 そこにいるハウゼルという人物を訪ねてください。

 詳しいことは話せませんが、黒の書が開いた今なら、彼が呪いを解いてくれるはずです。

 図書館の場所は同封の地図に記してあります。


 ただ、王家はきっとすぐに貴方たちを捕えようと、追っ手を差し向けてくるでしょう。

 目立たず、慎重に行動してください。

 黒の書の契約者であることは、決して明かしてはなりません。


 貴方たちの旅路が、どうか無事でありますように。

 心からそう願っています。


 私たちのことは心配しないで。

 貴方たちを送り出す代わりに、私たちはここで戦うと決めました。

 それぞれが、自分にできる形で未来を切り拓くために。


 ジュンちゃん。

 初めて会ったときのことを覚えていますか。

 バッシュ君を倒した貴方に、私は拍手をしましたね。

 あれは、貴方が強かったからではありません。

 負けそうになっていた貴方に、タクミ君が声を送った。

 すると、貴方はそれまでにない力を発揮し勝ってみせた。

 貴方たち二人の絆の強さに、私は深く心を打たれたのです。


 この先、多くの困難が待ち受けているでしょう。

 けれど、貴方たちは互いを信じ支え合える人たちです。

 どんな試練であろうとも、きっと乗り越えてくれると信じています。


 最後に一つだけ、伝えさせてください。


 私は、貴方たちの味方です。

 どんなときも。どれほど遠く離れていても。


 必ず、また会いましょう。



  ラウラ・シルシェイド


――――――――――――――――――




 ぐすっ、と太刀川の鼻をすする音がした。

 

「また泣いてるし……」

「だ、だって……ふぐっ……」


 俺は泣き虫ジュンちゃんの顔に袖を押しつけ、ガシガシと拭った。


「いたたっ、もう、乱暴!」

「贅沢言うな」


 まったく、絆がどうとか、あんな恥ずかしいこと書かれまくって、こっちの気まずさも察してほしいもんだ。


「ラウラさん、無事だといいな」

「うん……ヤンさんも、ロキシィも、アイギスさんも……」

「ああ、きっと大丈夫だって」

 

 ラウラさんは俺たちを信じると言ってくれた。

 なら、俺も彼女たちを信じる。

 今、やるべきことはみんなを心配することじゃない。

 示された道を歩くことだ。


 魔導図書館――

 それがどんなところか分からない。

 だが、そこに行けば、黒の書の呪いが解ける。

 もしかしたら、元の世界に帰る手がかりがあるかもしれない。


「ね、星野君」

「ん?」

「がんばろうね。ふたりで」

「ああ」


 太刀川がそっと笑った。

 まだ赤い目をしているくせに、どこか誇らしげに。


 見上げれば、空はすっかり夜の色に染まり、淡い月が天の川に泳いでいた。


 まるで、遠く離れた誰かが――

 俺たちの行く先を、静かに照らしてくれているようだった。

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