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レベル1の俺が死んだらレベル999の最強チート美少女も死ぬらしい~異世界スローライフしたい俺と、帰りたい彼女の命がけバディ生活~  作者: 古池ケロ太
第1章

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第14話 『そのとき』が来たら

 というわけで、村の宿にやって来た。

 宿の食堂で丸テーブルを囲み、四人揃っての夕食だ。

 急な訪問だったにもかかわらず、女将さんは山盛りの料理を用意してくれた。本当にありがたい限りだ。


「ぷはーっ! おいし〜!」


 キノコスープを豪快に飲み干したロキシィが満足げに息をつく。

 こいつ、ちっこい体でよく食うな。どこに栄養流れてんだ?


「あ〜あ。それにしても、肝心の本を開く方法は結局わからずじまいね〜」

「だなぁ。謎だけが深まったというか、散々煽られるだけ煽られて終わったというか……」


 とにかく「すげー」「やべー」みたいな空気だけが膨らんで何も進んでない気がする。


「主君。顔色がすぐれませんが、大丈夫ですか?」


 アイギスさんが心配そうに身を乗り出す。

 太刀川は「あっ」と小さく声をあげ、慌てて顔を上げた。


「だ、大丈夫です。……うん、平気平気。明日、他の村の人にも聞いてみましょう」


 無理に口元をゆるめてみせたけれど、その笑顔はどこか上滑りしている。

 手にしたフォークも、気づけばずっと皿の上で止まったままだ。


 大丈夫かよ、こいつ……


「にしてもさぁ。そこまでして本を開かせないなんて、中にはいったい何が書かれてるのかなぁ?」

「主君が望む通り、元の世界に帰るための方法であればいいのだがな」

「へ? アイギスさん、何それ?」

「知らぬのか? 私もラウラ殿から聞いた話だが――」


 かくかくしかじか。


「ええ〜っ? 別の世界から来たぁ? やだぁ、そんなおとぎ話みたいなこと、あるわけないじゃ〜〜ん♪」


 ケラケラ笑うピンク髪の魔法使い。

 いや、お前が一番ファンタジーな存在のくせして何言ってんだ。


「でもぉ、それがホントだとしてさ。タクミはこっちに残りたくて、ジュンは帰りたいのよね?」

「まぁ、そうだな」

「ってことは、『そのとき』が来たら、二人はお別れってことよね?」

「えっ……」


 カシャン、と小さな音が響いた。

 太刀川のフォークが皿の上に転がっていた。

 黒い瞳が、今にも崩れそうに揺れている。


「あ……え、っと。そう、なのかな……」

「そりゃそうでしょ。そんな簡単に行き来できるなら別だけどさ、違うんでしょ?」

「あ、うん……たぶん」


 消え入りそうな声でそう答え、太刀川は顔を伏せた。


 なんだよ。

 そんなの最初から分かってたことだろ。

 ――なんで今さら、そんな顔をするんだ?


 ロキシィはチェシャ猫みたいな笑みを浮かべ、


「じゃ〜あ、そのあとはわたしがタクミを独り占めってわけだぁ♪」

「………!」

「あはっ、ロキシィちゃん、ますますやる気出てきちゃった♪ ほらほらタクミぃ、いっぱい食べて精力つけて黒の書のナゾ、解いちゃお〜♪」

「えっ、ちょ、もががっ!」


 ロキシィはいきなり後ろから抱きついてくると、二人羽織みたいに俺の口に食べ物を突っ込んできた。

 バカやめろ、最強チート様がまた殺意の視線を向けてきちゃう!

 これが最後の晩餐になっちゃう!


「………ごちそうさま」


 ……あれ?


 太刀川は静かに席を立った。

 ほとんど手つかずの料理を残し、幽霊みたいな足取りで扉の外へと出て行く。


「お、おい、太刀川……」

「あれぇ? なーによ、張り合いな〜い」


 ロキシィがつまらなそうに、俺から身を離す。


 俺はカカシみたいに突っ立ったまま、閉じた扉を見つめていた。


「タクミ、何ボーッとしてんの?」

「え?」

「追いかけなさいよ、は・や・く!」

「いでえっ!」


 杖で脇腹を小突かれ、そのまま問答無用で食堂から追い出される。

 なんなんだよ、もう!


「んん? ロキシィ殿、今のはどういうことだ? なぜタクミ殿を追い出した?」

「ま、不戦勝なんてゴメンだってことぉ〜」

「? 何がなんだかわからんが……」

「アイギスさんも早く恋人作ったほうがいいんじゃない?」

「な、なにを破廉恥な! 私は剣一筋、主君一筋にだな………!」

「はぁ〜………。どいつもこいつもガキばっか………」

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