第50話:おひめさまがこーふんしておおきなこえをだすからびっくりしちゃいました。
ξ˚⊿˚)ξ50話です!
ピキー!
ピー!
ピュー!
つまり10万字をこえたってことです。
それに関連してちょっと後書きに今後の更新予定について書いておきますね。
ルナ王女はゴラピーと目が合ってるのだ。当然ながらそれで誤魔化されるはずもないのである。
「あら、鳴き真似かしら?」
ルナ王女は笑ってマメーの背中を覗き込もうとする。
マメーの背中ではゴラピーたちがもぞもぞばたばたと動き回って、マメーはくすぐったくて思わず笑い声をあげた。
「あはは! ……もー。出ておいで」
本質的に王族の前で物や顔を隠して会うことは許されない。暗殺などの懸念があるためである。
とはいえ、魔女にはそもそも無意味な話でもあるのだ。師匠がよくやっているように物を虚空にしまったり、人や物の姿形を変えたりすることが可能なので。
そういった理由もあって、マメーの飼っているゴラピーたちも背中のフードの中にいたが、ルイスの伝達で他の兵士たちからも見逃されていたのだ。
そもそも隠れきれていないのである。フードから三つの芽が並んで覗いていたのだから、後ろから見れば、ばればれであった。
「ピキー」
「ピー」
「ピュー」
マメーが肩口に手をやると、マメーの背中から10センチくらいの人型がひょこりと現れる。
「まあ!」
ゴラピーたちはうんしょうんしょと肩を登っては、てちてちとマメーの肩を背中から胸側に歩き、ぴょんとマメーの腕の中に飛び込んだ。
「まあまあまあまあ、動くお人形さんが出てきたわ」
「ピキー」
ルナ王女の言葉に、赤いのは鳴きながら、みみみっと首を横に振った。葉っぱがもしょもしょとマメーの顎に触れてくすぐったい。
「鳴いてるわ。なんていってるのかしら?」
ルナ王女は別に答えが返ってくると思って尋ねた訳ではない。犬猫や小鳥といったペットがいれば、彼らやその飼い主に声をかけるのと同じようなつもりであった。
「えっとねー、おにんぎょーじゃないよって」
「まあ、ではなんなのかしら」
「ゴラピー!」
「ピー!」
マメーがそう言えば、黄色いのはそうだと肯定するように鳴いた。
「そうなの、ゴラピーっていうのね」
「ピュピュー?」
青いのが首を傾げて鳴いた。この人だあれとマメーに尋ねたのである。
もちろん、ここまでルナ王女はゴラピーが実際に人間の言葉がわかっているとは思っていない。犬の鳴き声に対して飼い主が話しかけるようなものだと微笑ましく思っていた。
「ルナでんかっていうんだよ。みんなあいさつしようね」
だがマメーがそういった途端、ゴラピーたちはピキピーピューと鳴きながら、片手を上げてルナ王女に向けてふりふりと振った。
それは明らかな挨拶であった。ルナ王女は唖然としてぽかんと口を開ける。
「ピキー?」
「うん、しかさんのつのがはえちゃったんだって」
「ピー……」
「そーだね、たいへんだよねー」
「ピュー?」
「だいじょーぶ、ししょーがなおしてあげるからね」
ルナ王女が見ている前で、マメーとゴラピーたちは明らかに意味ある会話を繰り広げている。
ピキピーピューとゴラピーたちが鳴く。
「そーだよー、ししょーすごいからね!」
マメーはふふんと胸を張った。
「安請け合いするんじゃあないよ、まったく」
師匠がため息をついた。ルナ王女は機敏な動きでばっと師匠に振り向く。
魔女のおばあさまが今、会話に当然のように参加した。つまりこれはマメーのごっこ遊びではなく、本当に会話が成立しているのだと確信する。
「ゴラピーさんの言葉が分かるのですか!?」
「さん、はいらんよ。ゴラピーでいい。あたしにゃゴラピーたちの言葉が分かりはしないがね。ありゃあマメーの使い魔なんだ。マメーと意思の疎通ができとるのは間違いないね」
「まあっ!」
くりりと再びマメーたちの方に振り返り、感極まったように大きな声を上げた。
「羨ましいですわ! 素晴らしいですわ!」
「わあっ」
とマメーは驚いた。
「小さいのにこのような素敵な魔法を使えるだなんて、マメーはなんと素晴らしい魔法使いなのでしょう!」
人形の愛好家は老若男女問わずいるが、女の子であれば当然、人形が好きなのが大半を占める。王女であってもそれは例外ではなかった。そして人形が好きであれば、それが動くことを想像するものだろう。小さいのが動いているのは可愛いのである。ルナ王女は興奮してマメーの手を握った。
そして腕の中を覗き込む。
「ピ、ピー……」
ぐいぐいと迫る王女に、黄色いゴラピーが警戒するようにマメーの袖を握って鳴いた。
その様子すらルナ王女にとっては可愛くて仕方ないのであるが。
「でーんーかー!」
部屋の入り口から女性の声がかけられ、王女はびくりと身を竦ませる。
侍女のハンナのものであった。背後にはもう一人の侍女であるクーヤがお茶の道具を載せたワゴンを押している。
「ち、ちがうのよ」
「何が違うんですか! ハンナには幼い子供に興奮して迫っているようにしか見えませんでしたよ!」
くっくっ、と師匠は笑った。
「ふふん、どうやら侍女殿の方が立場が上らしいねぇ」
ルナ王女はマメーとゴラピーに御免なさいねと謝ると、そそくさと椅子に座った。
「全く」
ハンナが嘆息する。
「お察しの通り、わたしは殿下の教育係でもあるので」
ふうん、と言いながら師匠の視線が部屋を横切る。
「なるほど、王女にしてはずいぶん侍女の数が少ないとは思ったがね。その角の件を隠すために、使用人を最低限に減らしているのかい」
ルナ王女が頷いた。
「ええ、その通りです。それに加えてこの角が、感染るような病気なのかもわかりませんでしたから」
さて、10万字ってことは、既に文庫なら1冊分、一般的なラノベの新書ならあと2万字くらいで1冊分になるわけです。
話のイベント的にはルナ王女の角を治癒するところでキリが良くなるのだとは思いますが、このゆっくりストーリーではあと2万字でそこまで書き上がるとは到底思えませんね?
ええ、先を考えておらず何字かかるかわかりませんがまず間違いなくその通りでしょう。
ただまあ、ちょっと先の展開固めたり、キャラ設定とかまとめておきたいとかあるのと、別件の創作の用事もありまして、そこまで更新を連続して書くのは無理かなと。
というわけで申し訳ないのですが、12万字くらい、つまりあと10日ほど書いたところで、長めに休載をいただきます。
今月の中頃から1週間か10日くらいかなー。
連載再開後はルナ王女のイベントがひと段落するまで、できるだけ連続して更新していきたいなと思っています。
もうちょっと先のことですがよろしくお願いします。
んでは引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。