表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/203

第3話(閑話):師匠、魔女協会に手紙を書く。

ξ˚⊿˚)ξ閑話でちょい短め。


本編は2000字程度にしますが閑話は特に縛りなしの予定。

今回は短いから一日2話更新にしたぞ的な。

魔女協会本部宛


   大同盟歴250年、春の雷が遠方にて鳴る頃

   大達人メジャーアデプト階梯魔女、グラニッピナ


緊急対応要請


 前略。

 本日、我が魔術のいおりにて預かっている幼な子、通名マメーが魔女としての長き道のりの一歩目を歩み始めたことをここに報告いたします。

 彼女に新参者ニオファイトの証たるメダルを渡し、まずは師たる私の前での魔力の使用を許可いたしました。


 彼女の魔術の才能は準特化型植物系五つ星(ファイブスター)であり、その才は極めて危険な領域にあるのは協会もご存じの通りかと思います。今回、それの制御が師たる私自身に可能かということを試す意もあり、植物に魔力を与えて育成を促すという試行をいたしました。

 対象は魔力吸収性が高く、収穫時に抜く時以外の危険性は少ないマンドラゴラを選択しました。

 この際、一切の呪文の詠唱や魔術的動作、魔法陣や呪具の使用はなかったと誓います。そもそもそれらの内容を指導したり与えたことはありません。

 ですが彼女は(ここで彼女の筆跡は大きく乱れ、幾度も書き直した跡がある)


 ですが彼女は念じるだけで一瞬で植物を成長させ、しかも明らかな新種のマンドラゴラを作り出したのです!

 それらは人間のように手足を動かすことが可能で、知覚・思考能力を有し、さらにそれらはマメーとある程度の意思疎通が可能であるようでした。

 マメーの性質が善であることなどから考えて、即座の危険度は低いと考えます。しかしこれは大達人の身でありますが植物系を専門としていない私には対処しきれぬ事態となる可能性が極めて高いと考えます。

 対応要員、植物系を専門とする魔女の派遣など即座の対処をお願いいたします。

 草々。


追伸

 先述のマメーの育成……創造したマンドラゴラですが、大達人たる私自身の見識において、また〈鑑定〉術式にてそれを新種と確認しています。

 発見者命名の法則によりマメーに新種の命名を行わせたところゴラピーと名付けました。与えた種子は一般的なもの、マンドラゴラ・オフィシナルムであるため、ゴラピーの学名はM・オフィシナルム・ゴラピーとなります。

 後日その性質等判明したらレポートなどお送りします。



魔女協会にて職員の会話


「なにへんな顔して手紙読んでいるの?」

「いや、大達人グラニッピナ師からの緊急ふくろう便が届いたんだけど変な内容でさ」

「ふーん、見せてよ……ええっ、緊急対応要請じゃない!」

「そうなんだけど。そうなんだけどー、続き読んでみてよ」

「ふんふん、うん、うーん? ぷっ、何よゴラピーって」

「わからん」

「グラニッピナ師のお弟子さんって何歳だったっけ? 幼な子ってあるけど」

「えーと、8歳だね。ちゃんと新参者の階級を与えた弟子としては組合で一番若いかも」

「それがマンドラゴラの新種を、たぶんこの表記だと一瞬で創造したってこと?」

「そう書いてあるね」

「ありえなくない?」

「うん、グラニッピナ師の一足早い愚か者の日かなと思ってるところだ」

「どれどれ、みせてごらん?」

「あ、神殿長マジスターテンプリお疲れ様です」

「お疲れ様です、こちらグラニッピナ師の書簡です」

「どれどれ……ふふ」

「いかがいたしますか?」

「いいよ、対処しないで」

「ええっ!」

「だってこれ弟子自慢でしょうよ」

「そう……でしょうか」

「見て見て弟子の魔力すごい。性格もいい。新種まで作っちゃった。って言いたいのさ、あの婆はね」

「あー、そう読めなくもない……かな?」

「可愛い弟子を見せたくて仕方ないのさ。大丈夫、あの婆はあれで大達人"万象の魔女"グラニッピナさ。万事上手くやるとも」


 そして手紙には『申請不受理』の魔術印が捺されたのであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


『マメーとちっこいの〜魔女見習いの少女は鉢植えを手にとことこ歩く①』


2025年2月20日発売


画像クリックでTOブックスのページへ飛びます

i913987

『マメーとちっこいの〜魔女見習いの少女は鉢植えを手にとことこ歩くコミカライズ』


2025年2月17日連載開始


画像クリックでコロナExのページへ飛びます

i933786

『追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。 ~最強の平民、世界に革命を起こす~』


2024年11月12日発売


画像クリックでAmazonのページへ飛びます

i662244

『朱太后秘録 私が妃なんて聞いていませんが!』


2024年10月8日発売


画像クリックでコミックグロウルのページへ飛びます

i662244
― 新着の感想 ―
[良い点] あららー なんかギスギスした理由で拒否されるのかなーと思ったら、弟子自慢と思われたんですね、和みました。 いや師匠本人からしたら和むとかじゃないんでしょうけど。 かわいい流れ!
[良い点] えっ!? 大同盟歴!? なまどりや王都の決闘士の世界!? やだ! 燃える! 受理されなかったw こりゃ、おおごとになるでー
[良い点] 師匠真面目そうで、協会もちゃんと仕事してそうな雰囲気なのにこのすれ違い……この先どんなドタバタになるか楽しみです♪ [気になる点] あれ、本人には準特化型と言いつつ、実は純特化型だったんで…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ