第145話:おなじことをわざわざにかいいいにこなくてもよいとおもいます!
ξ˚⊿˚)ξ昨日は突然のコミカライズのネームチェックとか入って更新むりでした。
朱太后秘録一巻:発売中
ヴィルヘルミーナ一巻:11/12発売
よろしくお願いします。
家の中に招かず、外で応対するというのは相手を信用していないという意思の表れである。例えば乞食が家の外で食事や小銭を恵んでもらうようなものだ。ミウリーはそう思い、それを屈辱であると考えるが、それでもマメーを招くという聖務に立ち塞がる困難であるとそう解釈し、自らの心を鎮めた。
「決して剣は抜くでないぞ」
「はっ」
不満を覚えているであろう付き従う神殿騎士にもそう言い含めて、彼らにはあばら家としか思えない魔女の庵の前で待つ。
「んじゃ行くよ」
「ん」
ゴラピーたちがピキピーピューと鳴いて、マメーに連れて行くことをせがんだ。
「背中にでもいれときな」
「はーい、おいで」
ゴラピーたちはよじよじとマメーのローブをのぼり、フードの中に入っていった。
「ピキ」
赤いゴラピーがいいよーと鳴いた。
師匠がこつ、こつ、こつ、と杖の先で三度床を叩いた。マメーたちの周りに魔力の光が飛ぶ。マメーがぴょんと跳んで尋ねた。
「きらきら! なあに?」
「簡易の防御結界さね。ま、一応な」
「……なんと!」
ランセイルが驚愕をあらわすが、今は魔術について尋ねる時ではない。
マメーがよいちょと扉を開けると、夏の昼のちょっと眩しい陽射しが降り注いでいた。
少し離れたところに四人の男がいる。一人は煌びやかな法衣、二人は銀に輝く甲冑、そしてもう一人は少し裕福な村人といった服の姿であった。
ミウリー司祭と二人の神殿騎士、そしてエベッツィー村のジョンである。
「こんにちは」
「うむ」
マメーは挨拶し、ミウリーは鷹揚に頷き、そして続ける。
「マメーに、その師グラニッピナよ。改めてマメーを聖女候補として招聘に参ったぞ。ところでそこの者は」
ミウリーの視線が、先日はいなかった男のところで止まる。
ランセイルは慇懃に頭を下げた。
「不才はサポロニアン王国、宮廷魔術師団所属、ランセイルと申します」
「……宮廷魔術師がここに何用だ」
「ふむ、どうやらマメー殿を聖女として神殿に連れて行こうという動きがあるようでしてな。それに対し、サポロニアン王家からの見解を伝えるがため、不才はこちらにいるのです」
ミウリーは顔を顰める。面倒な者がいる。だが、聞くより他あるまい。
「承ろう」
ランセイルはマメーの肩に優しく手を置いた。
「この少女、マメーはサポロニアン王国は第三の姫、ルナ王女殿下の呪いを解呪する際に多大な貢献をなし、陛下はそれに大いに感謝しております。またマメー殿はルナ殿下のご友人となりました」
「ふん、口ではどうとでも言えるがな」
まだ八歳の少女が神殿も宮廷魔術師も匙を投げた呪いを解くのに、多大な貢献したなどと、そうそう信じられるものではない。せいぜいちょっと手伝った程度であろうとミウリーは思っている。もちろん常識的にはその通りなのだろうが……。
「じゃあこれでどうだね?」
師匠が〈虚空庫〉に腕を突っ込んで、中から美しく装飾された二振りの短剣を取り出した。そのうちの一本をランセイルに渡す。
ランセイルは恭しくそれを捧げ持つように預かった。
「これはマメー殿が陛下より賜りし宝剣である。マメー殿」
「あい」
ランセイルはマメーに短剣を渡した。マメーはそれをしっかりと両手で抱きかかえるように持った。結構重いのだ。
うう、と背後に控えているジョンが呻く。それが王家のものかどうかなどわからなくとも、黄金と貴石で装飾された短剣は、この村の全ての資産を投げ出しても手に入らないようなものであると分かったからか。
一方のミウリーは動揺を見せなかった。
「なるほど。素晴らしいことですな。なればこそ、そのお力を我らが神のもとで示していただきたいものです」
「陛下は、そして殿下もそれを望まれてはおらぬ」
ミウリーは自らの顎を撫でて言う。
「ふむ、だが国王陛下はマメー殿に魔女になれと命じているのではあるまい。おそらくは彼女の健やかなる成長を願っているのではないかね?」
「む……?」
ランセイルは眉をひそめた。
「ふむ、誤解があるのではないかね、魔術師殿。我らは少女の成長を邪魔しようなどとは全く思っていないぞ? 聖女たるのは名誉なことであり、このような森の中と言っては失礼だが、ここにいるよりも高度な教養や教育を与えることも可能であろう」
「はっ、何を。世界最高の魔女殿、そのお側以上にどれほどの環境があるというのだ」
ランセイルは吐き捨てるように言う。だが、ミウリー司祭は動じなかった。
「魔術に関してはな」
「ぬ……」
「他に同年代の子のいない環境は、子の健やかな成長に適していると言えるだろうか。王都であれば、友であるというルナ殿下とお会いする機会もずっと増えるのではないかな? 我らは何も悪しき提案をするためにここに足を運んでいるつもりはないのだ」
マメーは言う。
「でもマメーは、りっぱなまじょになりたいんだよ」
マメーはそう言って彼女のフードの中からも、そうだそうだと言うように、ゴラピーたちがピキピーピューと鳴いた。
確かにミウリーの言うことも一理あるのだ。だが、魔女になるためであれば、王都よりもこの辺鄙な森の中の方がずっと良い環境なのである。だから、話はこれで終わるはずなのだ。本来なら。
「エ、エミリア!」
ジョンが声を上げた。
んで、ちょっと今後の更新なんですがー。
ちょっと年内がコミカライズ関連やらなんやら割と作業が詰まっているのとですね
あと単に来週末は法事とかもありまして
ちょっと毎日更新は難しいのではという感じです
とりあえずマメーですが「週5回更新」のつもりでやっていこうかなと考えています
基本、平日の更新になると思います。よろしくお願いしますー。








