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episode 2 いざ、人間界へ! -ミレイネス視点-



「あぁ……。アステル様……なんとお可哀想に……」



 わたくしは天聖ミレイネス。人間界では女神と呼ばれし者です。

 ここは神界ラピュラリス。ここでの役割は人々に才能を与え、進むべき人生に助言を与える事。

 そんなわたくしは、ある人間に恋をしてしまいました。


 アステル・ランドベルク。

 彼の誕生から今日までずっとずっと見守って来ました。

 最初は勿論恋心はなく、我々を導く次期神導候補として観察していたのです。


 アステル様は幼少の頃からお優しい心を持っておいででした。2つ下の妹のマアラが父親に怒られていると、自分がやったのだとマアラを庇われたのですが、それを良い事に何かある度にアステル様のせいにしていました。


 しかし、アステル様は……あぁなんてお優しい方なのでしょう。

 それも全部分かった上で怒られていらっしゃったのです。

 剣聖のスキルを授かった日、家族は誰1人としてアステル様を祝福しませんでした。寧ろ幼馴染のデリックの方を称賛したぐらいです。

 この頃からアステル様は人々から必要とされていないのでは? と自問自答に悩み苦しみます。


 そうして人と接する事に段々お疲れになっていき、言葉を上手く伝える事が出来なくなってしまわれたのです。


 川で溺れている猫を助けられた事もありましたね。

 アステル様は泳げなかったにも関わらず、無我夢中で猫を助けておられました。

 彼は人間だけでなく、動物にも愛を持っておられるのです。

 そして勇者デリックが豪遊し各地で注文したお料理の後片付け。

 折角作っていただいたのにと、デリック達が店を出た後に、アステル様は注文した全ての残ったお料理を食べていたのです。それを繰り返している内に太ってしまわれました。

 

 その他にも些細な事から大きなものまで彼は慈愛にも似た心で沢山の人々や動物に愛を注ぎ、それは非常に大きな徳となりました。



「アステル様は今日まで、勇者パーティーを支えて来たと言うのに」



 あんな痛烈な侮辱、本当に我慢がなりません。

 わたくしの愛する方を……よくも。アステル様が寿命を全うされるまで68.5年。けれども、もうこのまま黙って見ていられなくなりました。

 少し早いですが……うん、決めました。



「わたくし、人間界に向かいます!」


「ミ、ミレイネス様! 何を仰っているのですか! そんな事許されるはずがありません!」



 大天使ミカエルが血相を変えてそう言います。

 ミカエル、わたくしはもう決めたのです。

 次期、神導と成られる方はアステル様であると。そしてわたくしの……。



「ミカエル、申し訳ありません。けれども、もう決めたのです。それにアステル様の徳をご覧になって下さい」


「……確かに、この年齢でこれ程の徳を積んでいる人間は他には存在しませんね。ミレイネス様がお気にされている通り、ここ数百年に1人の逸材ですね」



 アステル様、貴方様なら神界をより良い世界へと導いていただけると信じております。



「しかしミレイネス様。人間の前に姿を現すと言う事がどう言う事なのかご存知でしょう。貴方は退化されてしまわれるのですよ?」



 そうです。天使を束ねる大天使、その頂点に立つのがわたくし、天聖。

 アステル様にお会いしに行くと言う事は、わたくしの階位がなくなるという事。



「そうなると力のバランスが崩れ、魔族達が神界へと攻め込んで来るかも知れません。貴方を失ったら私達はどうすれば……」


「ミカエル……。どの道このままではやがてそうなります。しかし神導が復活すれば神界の力は取り戻されます。わたくしは信じたいのです。アステル様を。そして……わたくしのこの……」



 わたくしのアステル様に対する想いを。



「ミレイネス様……。分かりました。この大天使ミカエルが貴方と神導がお戻りになられるその時まで、この魂に代えても神界を守ると誓います。どうかご無事で」


「ミカエル、我儘を聞いていただいて本当に感謝します。では行って来ますね」



 わたくしの祈りが光となり、気がつけばそこは人間界。



 わたくしの瞳には、愛しい彼の姿が映っておりました。

 どこか挙動不審になられてますが、彼の目は神界から眺めていたお優しい〝あの目〟そのもの。

 あぁ……アステル様。急に鼓動が早くなり感情が込み上げて来ます。

 直接この言葉をお伝えする事が出来るのだと思うと、思わず涙が出て来ました。



「アステル様……」


「!?」



 アステル様は何も言わず、ただただ怯えてるご様子。

 そうですよね。いきなり現れて見ず知らずの者が、ご自分のお名前を口にしたらそれは驚かれますね。



 とにかくわたくしから第一声をお届けしなければ。

 今貴方様にお伝えしたい言葉、それは……。



「愛しております。わたくしと……結婚して下さいませ!」



 

 


 

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