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エピローグ

エピローグ

 物語はここで一つの区切りとなる。始まりがあれば終わりも訪れるのだ。しかしこれは節目であり、本当の終わりではない。これを記している私もまた登場人物の一人に過ぎないが、最後にこの物語の後、登場人物達がどうなったのか、少し語ろうと思う。


 進藤咲空は相変わらずお人好しの馬鹿真面目を貫いている。結論から言えば彼の初恋は成就しなかった。しかしそれは人生における恋の甘酸っぱさを味わったに過ぎず、挫折と呼ぶには軽過ぎるだろう。彼は彼なりの花を咲かせる為にこれからも誰かのお節介を焼くのだろう。


 弓木芽衣はSNSを通じたインフルエンサーとしてなかなかの著名人になる。それはまだ先のことだが、彼女の痛みや苦労は必ず報われる時が来る。彼女には幸運のクマがついているのだから。


 結城かなみは片思いが続いているようだ。あのスタイルと頭脳なら進藤咲空などという三下を狙わずとも良さそうなものだが、あれでいてこうと決めたら言うことを聞かない人間らしい。そもそも文化祭最終日、後夜祭の最中に、今にも泣きそうな顔をしながら私に助けを乞うた彼女は、弓木と進藤の仲睦まじい後ろ姿を目撃して困惑していた。私は諦めるのは早いと彼女を鼓舞すると、キスが出来るように一計を案じたのだ。まあその後のアフターケアに関しての約束は反故にしたが、それくらいはいいだろう。情報料2000円であそこまでやったのだから破格のサービスだ。そして彼女もまた親に悩まされる人生であったが、彼女なりの解決を経て、幸せへと歩き出しているようだ。


 ここで一番気になっているところだろうが、東美優のことだ。意識を取り戻した彼女は脊髄損傷により車椅子生活となっていた。そして彼女は諸般の事情を考慮された結果、保護観察処分を付され、今は麻痺した足を引き摺りながらも、歩行を目指して病院でリハビリを行っている。そこには柊透也の姿もある。彼は進藤との約束を果たしていた。東美優は己の罪と向き合い、孤独と向き合い、己を支えてくれる人に向き合い続ける。それが命を繋いだ彼女の宿命だ。


 さて、この辺でこの物語は一端の終わりを迎えたい。さすがにここまで書き連ねるのに時間を要した。私も最後の句点を記して脱稿したいところだ。


 最後はなんて書いて終わろうかとノートPCを前に思案していると、画面を覗いてくる者がいる。


「轟何してるんだ?」


 その言葉を聞いて私は慌ててノートPCを閉じる。


「いや、単なる空想物語だ。決してノンフィクションライターではないぞ?」


 その言葉に彼の頭の上にはクエスチョンマークが出る。

 そう。これは空想物語。私が書いた、真実も、事実も、あるようでない、虚実綯い交ぜ、有り体に言えばこの世界は作られた物なのだ。


 創造主たる私が作り出し世界なのだ。それ故に彼は真実を知る由もない。


「事実は小説よりも奇なり。」


 世界は空想の世界よりも驚くべきこと、恐ろしいこと、悲しいこと。それら全てが起こり得る世界で、私は最後まで覚悟を持って書き続ける。


 幸福はあなたの側にある。あなたは気づいていないだけ。


 きっと気づいたら世界はより素晴らしいものへと変わって行くだろう。


「轟も行くだろ?打ち上げ。」


「どうして他クラスの私を巻き込む?他クラスのお祝いなど!気まずいわ!」


「まあまあ、そう言わず。みんな轟がいると嬉しいって言うからさ。良いだろ??」


 柔和な彼の顔は幼い頃から変わらない。あの時手を差し伸べてくれた彼と少しも変わらないのだ。ほんの少しも。


 ノートパソコンの傍らに開いていた本に四葉のクローバーの栞を挟むと、私はノートパソコンと借りた本を鞄に大切にしまう。


「はぁ。分かったよ。だけど進藤の奢りな。」


「いやはや、それはしょうがない。そしたら亘にも負担させよう。」


 そう言って口の端を上げた彼と文芸部の部室を出る。


 いつかこの本の持ち主が開いた時、みんなの笑顔が溢れる、そんな最高の写真が栞代わりになるのだろう。


 これは終わりではない。ここから始まる物語がまた歩き出す。


 様々な色の花が咲き誇る世界で、再び会えるその時まで‥


 


これにて全て終わりました!!


なんとか私の思いは供養出来たでしょうか‥

(何しろ基本的には全部予約投稿で最後まで投稿出来たのか怪しい‥笑)


ようは映画のインセプションのような世界でしょうか?笑

夢の中で夢に入って、また夢を見る。今いる自分は夢なのか、現実なのか。分からなくなったその時にあなたは今いる世界が本物であると確信出来ますか??


轟舞はこの世界では創造主でしたが、その高次元に五月雨雅がいて、実はその上にも創造主がいる。そんな展開ならなかなかのSFな感じはします。

上で見ている創造主は一旦どんな物語を紡ぐのか。プレイヤーである私達に知る由もありませんがね。

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