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#11 part2

今回短いです。

ごめんなさい

「はい、ではそろそろ次の質問に参りましょう。今日は宮東選手あてに色々届いてるんでね。まぁテンポよく進められればと思いますけども」


「心配には及びません。一流とは質疑応答の時間でも堂々としているもの。死角はないです」


「打率2割2分は死角しかないだろ。えーペンネーム『wataridori』さんからですね。『宮東選手は去年から両打ちに挑戦しましたが、どうしてなのでしょうか』、と。簡単さ坊や。打てないからだよ」


「こっちあての質問を取るのやめてもらっていいですか。まぁ確かに打てなかったのも事実ではありますけど、別にそれだけじゃないですよ。両打ちだと選択肢が増えるじゃないですか。左に強い投手に対しては右の打席に立てますし、左打ちだとより足が活かせます。それに右で打った方がボールはよく飛ぶんですよね」


 宮東の言う通り、いざという時に打席を選べるのはアドバンテージになりうる。出来る事が増えるという事は起用の幅にも大きく影響を与え、上手くいけば出場機会の増加にもつながる。


「でも昔に比べれば両打ちはかなり減ったよな。海外はまだかなりの数がいるみたいだけど日本だと少数だし。何より練習量が増えるのがなぁ……」


 両打ちの打者の何よりの難点。それは単純に必要とされる練習量が増える事だ。右打ちも左打ちも両方練習しなければならないわけだから当然練習量は増える。そして、本来片方だけに集中して打ちこめたはずの練習を半分にしなければならないわけだから、むしろ打撃成績が下降する選手もいるわけである。


「そこは大丈夫です。俺、一流なので」


「その自信はどこから来るんだよ」


「でも黒鵜座さん達投手からしても厄介じゃないですか? 両打ち打者」


「いや俺はあんまり……昔コーチに言われたからなぁ。『目の前の情報だけに囚われるな。左に立とうが右に立とうが、例え分身していようが相手が打席に立てばもうそれはただの打者だ』って」


「忍者でも相手にしてるんですか? 流石プロのコーチをやっている方ですね。胸にしみます」


「『だからマウンドに立った以上、相手を〇す気で投げろ』だってさ」


「やっぱしみないです。取り消してください今の発言。というかそんな綺麗な顔をしながら言うことじゃないですよそれは! バトル漫画のセリフじゃないですかそれ! コーチ鬼すぎませんか!?」


「これ本当にすごい爽やかな顔で言われたからね? あそこまで綺麗な顔で『〇せ』とか言われたの初めてだったから新鮮だったよ。いやぁ懐かしいなぁ。今も元気でやってるのかなぁ。そうだと嬉し……いやあんまり嬉しくはないかも。被害者が増えると思えば気の毒に思えてきた」


「そんな朗らかな笑みをしながら話す内容じゃないと思うんですけど。じゃあ、そろそろ次の質問いきます。ペンネーム『金色のウニ』さんから。『黒鵜座選手、宮東選手に質問です。投手、野手のお二人からして正直相手にイラっとくる出来事はあるのでしょうか』だそうです。どうです黒鵜座さん、ありますか?」


「え、宮東クン例の『死んだ目スパイラル』をご存じないの?」


「知りませんよ。何でそんなに仰々しい言い方なんですか」


「これはね。投手陣に常に蔓延るおっそろしい負の三角関係だよ。先発、リリーフ、そして野手。この3つでスパイラルしているわけ。先発が燃えたりテンポが悪いと野手と駆り出されるリリーフから死んだ目を向けられ、リリーフが燃えると勝ちを消されたり負けがついた先発と野手から死んだ目を向けられ、そして野手はエラーをするたび先発とリリーフから死んだ目を向けられる。おお、考えるだけでも身震いしてきた。見てこれ鳥肌」


「流石にそれは考えすぎなんじゃないですか? いや、まぁ確かに常にボール先行の先発がいるとテンポが悪いですけど」


「今のブルーバーズは平和だからみんな優しいんだよ。しかも最近は推しとかいう言葉が出てきたでしょ? そういうファンもいる中であんまり過激なのはねぇ。5年くらい前なんて殺伐としてたぞ。もう肩身が狭いのなんの」


「なるほど、時代背景もあるわけですね。その時代に生まれなくて良かったです」


「お前ちょっとは言葉選べよ。はい、というわけでCMでーす!」

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