心の故郷5
そして、駅に着いた。
しかし、舞は電車に乗る決心が着かないのか、駅周辺を歩いていたが、やっと、決心が付いたのか、駅に向った。
舞が駅まえにきた時、後ろから呼び止められた。
「舞さん、どこへ行くのですか?」
それは、一時も忘れたことがない幸樹の声だった。
舞は、はっと、自分がしていることに気付き、幸樹に申し訳ないと思った。
舞は平静を装って言った。
「少し頭を冷やそうと思い、歩いているのです」
「舞さん、話があります、僕の車に乗ってください」
舞が車に乗ると幸樹が言った。
「僕は舞さんに何と言って謝ればいいのかわからないほど後悔しています」
「謝るって、何のことですか?」
舞は、幸樹に心配をかけないように言った。
「舞さんを和歌子さんや早苗さんが苛めたことです」
「いえ、私にも責任がありますから気にしないでください」
「医療機器メーカーの人との商談が終わり、貴女に逢いに行く、貴女が居ないので、和歌子さんに聞くと、帰ったと言うのです。なぜ、帰ったのか問いただすと、早苗さんが、貴女を追い出したと言うのです、僕は、急いで貴女の家に行ったのですが留守
でした。しかし、僕の患者さんで舞さんを良くご存知の方が、舞さんが悲しそうな顔をしながら、和泉砂川駅の方へ向ったとね。僕は必死に探しました」
舞は、自分がどれほど幸樹に愛されているかを知った。
「すみません」
泣きながら舞が謝った。
「僕こそ、謝るべきです。なぜなら、僕は舞さんに真実を話てなったんです」
「真実?」
「早苗さんは、僕の元妻で、現在は妻でも何でもありません。結婚したのは、今から十五年前、離婚したのは十年も前です。だから、僕と早苗さんとは何の関係もないんだよ」
「十年も前ですか」
それは、舞と幸樹が出逢った年だった。
「そうなんだ。だから、早苗さん言ったこと気にしないでください」
「分かったわ。でも、早苗さんが来なくなるまで、医院を休ませてください」
「当然のことだ。今年中には、必ず、早苗さんを来ないようにするからね。決着が付いたら、舞さんを迎えに行きます」
「そんなに親切にして頂いていいんですか」
「僕や医院にとって、もはや、舞さんは無くてはならない人なんです」
「本当ですが。こんな私で良かったら、何時までも仕事をさせていただきます」