喜びの後4
やがて、大阪城公園に着いた幸樹は、車を駐車場に入れ、舞の手をとり、公園へ入っていった。
公園は日曜日と梅の花の満開が重なり、予想以上に人出で賑わっていた。
幸樹に手を引かれ、舞は幸せだった。
そして、この幸せが何時までも続くように祈っていた。
梅林に続く道を歩く幸樹と舞を、多くの人が、次から次へと追い抜いて行く。
やがて、梅林に段々と、近づいてきたのか、芳しい、梅の薫りが歩くに従い、濃くなっていった。
梅花見物の人の渦に巻き込まれた幸樹と舞は、安全に歩くことだけでも大変なことだったため、周囲を見ることさえ困難だった。
「咲いている!」
子供の声が聞こえた。
その声に誘われた多くに人が、一瞬、立ち止まり、辺りを見渡したが、後からくる人達に押され歩き出す。
幸樹と舞の上には、白梅、紅梅など、様々な色をした梅の花が咲き乱れ、辺りに芳香を漂わせていた。
しばらくすると、人の渦が解け、ゆっくりと梅花観賞と薫りを楽しむことができるようになった。
「舞さんに申し訳ないけど、やっと、花見ができるようになりました」
「そんなに、お気を使わないでくだい。目が見えなくても、以前に梅の花を沢山みたことがありますから、匂いから、どんな花か想像できます」
「すごい、それなら、花当てクイズをしましょう」
「どんな方法なの」
舞が興味深そうに尋ねた。
「僕が舞さんを花の所へ誘います。舞さんは、その花の薫りから、梅の木の名称を当てるのです」
「当てられるかしら」
舞が不安そうに言った。
「当たらなくてもいいじゃあないですか、後で僕が答えを教えますから、遊ぶつもりでクイズに答えてください」
「そうね、楽しい遊びなのに、堅苦しく考え過ぎていたわ」
「そう、楽しく参加してください」
「はい、分かりました。クイズをお願いします」
幸樹は、舞を梅の花へ誘った。
「はい、この花の名は?」
舞は、目を閉じ、答えを探していたが、