表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/77

悲しき再会6

それから幸樹は、舞に必要なことを全て教え、診察室へ行った。

 翌日から、舞は一生懸命、電話受付の仕事をしていた。仕事は主に、診察時間の問い合わせだったが、想像していたより多くの電話がかかってきた。

 目が見えない舞にとって、どんな用件による電話であろうと、健常者と会話出来ることは、生きているのだと言う実感が持てた。

(私の天職は、この仕事だわ、いつまでも、この仕事がしたいから、一生懸命に頑張るわ)

 舞は嬉々として働いた。

 そんな舞を時々訪れた幸樹が嬉しそうに眺めていた。

 しかし、幸樹の舞に接する態度が和歌子には気に入らなかった。

 我慢できなくなった和歌子は、幸樹に言った。

「先生、舞さんに夢中になったらだめよ」

「なぜ、そう見える」

 不意を突かれた幸樹は顔を赤くして尋ねた。

「舞さんに恋しているように優しいんだもの」

「そんな心算はないよ」

 和歌子が開き直って言った。

「言い訳しても駄目。ここで、はっきりと先生に忠告します」

「何にをかね?」

「舞さんとの結婚はおやめください」

「する気はないが、何故?」

「目の不自由な人と結婚したら、先生の医療業務の妨げになるからです。結婚する人は先生の補佐が出来る女性でなくてはなりません」

「差別はいけないよ」

 幸樹がとがめると。

「私は、先生のお母さんに頼まれているのです。幸樹を助けてくださいと。だから、先生の足手まといになる舞さんとは、絶対に結婚させません」

「困ったことをいう和歌子さん」

 鷺草舞との約束を果たすためには、誰とも結婚する意志がない幸樹にしてみれば、和歌子の心配が馬鹿げて見えた。

「そうだ!私がよいお嬢さんを見付けてくるから結婚しなさいよ。そうすれば、早苗さんだって、絶対にこなくなるわ」

「考えておくよ」

 和歌子の話を聞きたくなかった幸樹は、診察室へ行った。

 虫がおさまらない和歌子は、舞の事務所へ行き。

「舞さん、先生に優しくされても、先生を好きになったらだめよ」

 舞は、考えもしなかったことを言われ、ただ、おろおろとするばかりだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ランキング参加しました。ポチとクリックお願いします。 いつもランキング応援ありがとうございます。 人気ブログランキングへ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ