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悲しき再会1

約束の十年も後、六ヶ月となった一月。

 北風に粉雪が舞う寒い午後、泉佐野駅に通じる道は人一人通らず、道の両側に立ち並ぶ、様々な様式の民家は全て、門戸を閉ざし、人の気配さえ感じられない。

 その冷え冷えとした道の歩道に、白い杖をついた若い女性が現れ、泉佐野方面へ危なげに歩いて行った。

 その女性が一軒の民家を通り過ぎた時、その民家の中から声がした。

「今日は、寒いのに往診して頂いて、有り難うございました」

「また、来週きますからね。もし、痛むようなら電話してください」

 と言った男は、ドアを開けて外に出きた。

「それじゃあ、お大事に」

 言った女性は男の後から外に出ると、外からドアを閉めた。

 男は医師の幸樹、女性は看護師の和歌子で、この家に住んでいる足の不自由な患者の往診に来ていたのだ。

「寒い!」

 和歌子が悲鳴を上げた。

 その時、バイクが猛スピードで和歌子の横を通り過ぎようとした。

 

「危ない!」

 幸樹が和歌子の腕を持ち歩道に引き上げた。

 和歌子が恐そうな顔で、急にスピードを落として走るバイクを見ていたが、

「そのバイクはひったくり犯かも知れないから、気をつけなさい!」

 百メートルほど先を歩いて行く女性に大声で注意した。

 バイクは一気にスピードを落とすと、女性に近づいた。

 しかし、風が逆風だったので、和歌子の声が女性に聞こえなかった。

 バイクは女性に近寄ると、女性のバックに手を伸ばし、バックを掴んだ。

 女性は引きずられるように倒れたがバックを離さなかった。

 バイクの若者は、バイクを停め、女性のバックを奪おうとしたが、ひったく犯よ、皆さん出て来てくださいと叫びながら走ってくる和歌子と幸樹の姿に気付き、急いで、バイクに乗って逃走した。

 幸樹と和歌子は、女性のところへ駆けつけた。

「怪我はないですか」

 和歌子が女性に声をかけながら助け起こそうとした。

「はい」

 答えた女性は立ち上がろうとしたが

「痛い!」 


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