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再会-8

目を閉じた幸樹を見る舞いは、声を掛けたくて仕方なかったが、相手にされなかったが、相手にされないため、幸樹の横に座った。

 舞は話が出来なくても、横にお兄さんが居ると思うだけで幸せだった。

 幸樹が気になる舞は、何度も横目で見ていると、その気配を察したのか、幸樹が舞を舞を見て、もう、お礼は言わなくてもいいよ、とばかり、軽く頷いて目を閉じた。

(あの優し眼差し、以前のお兄さん戻ったんだわ)

 舞は、嬉しくて震えが止まらない。

 泉佐野駅から、みさき公園までは、約十分と、舞にとっては、あまりにも短い時間であった。

 やがて、電車は、みさき公園駅に着き、幸樹は電車を降りる、その姿を食い入るように見つめる舞、そして、木曜日には必ず、この電車に乗ってくださいと祈る舞だった。

 病院に着いたとき、また、後ろから声が聞こえた。

「おはよう、和泉くん」

「おはようございます」

 舞は何時ものように挨拶する。

「和泉くんは、今日も無視されていたね」

「あら、また、見ていたの?」

「気になってね。でも、僕なら、無視されても、眠っていてもお礼を言うよ」

「そうね、でも、夜遊びで、きっと、眠たいのよ、だから、もう、起こさないわ」

 言って、舞は勝手に見知らぬ夜遊び相手に嫉妬していた。

「それも、そうだね、でも、君の顔は真剣だったよ、恋するように、これは冗談」

 とからかうように言って去っていった。

 二週間後の木曜日。

 今朝、舞は決心して家を出、泉佐野駅に向かった。

(今日こそ、お兄さんが眠っていても起こして話かけるわ。勿論、最初はお礼、それから色々お話してから、最後に名乗るのよ)

 駅に着き、電車に乗った舞は、幸樹に話しかける機会を待っていたが、やっぱり、難しそうな顔をしているので何も出来なかった。

 電車はみさき公園に到達した。

 舞は、自分に何の関心も示さずに下車する幸樹に「私、舞よ」と叫びたくなる。

だが、それも出来ないために、心の中で、後を追い掛け、幸樹の前へ立ちふさがり、(私よ、舞よ)と言うが、幸樹は表情も変えずに通り過ぎて行く。

 舞は、その、つれない幸樹の態度を想像し、何時の日か、必ず、幸樹がこの電車に乗らなくなるのではと思って涙する。舞の心は揺れに揺れる。だが、幸樹が死ぬほど好きでも結婚は考えたくない。何故なら、奥さんが居たときの辛さに耐えられないからだ。



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