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再会ー4

「分かっている。だから、貴方の子供を生み、貴女を支える良い妻になります、どうか、再婚してください」

 早苗は復縁を迫ってきた。

「もう、僕は誰とも結婚しない。だから、その話は、もう、しないでくれ」

 幸樹には、鷺草の少女との約束があるのだ。そのため、結婚は無論のこと、恋愛さえ禁じていた。

 まして、愛していた元妻と言えども、今は別れて良かったと思っている妻と再婚する気などない。

 その日、早苗は素直に帰ったが、また、昨夜訪れ、執拗に再婚を迫った。

 早苗と再婚する気がない幸樹にとって、迷惑至極であるが、腕力で摘み出しすることも出来ず、嫌々ながら泊めたのだ。

 今朝は、嫌がる早苗を連れ出し、難波駅近くの喫茶店で軽い朝食を取った後、早苗に二度とこないように伝え、電車に乗ったのだ。

 鷺草舞は、実の父親の親戚である和泉家の養女として引き取られ、大阪府の南部にある泉佐野市へ引っ越した。

 しかし、舞の幸せは遠かったが、幸樹の姿を思い出すことで、どんな苦しみにも耐えることができた。

 和泉家は裕福ではなかったため、舞は大学を諦め高校を卒業すると、病院に就職した。

 病院は、隣県の和歌山市紀ノ川にあるため、舞は、毎日、南海本線泉佐野駅から急行電車に乗り、和歌山市駅で加太線に乗り換え、紀ノ川駅で下車していた。


舞が勤務するようになってから三ヶ月後、後藤慎一が現れた。慎一は、この病院の他にもいくつか病院を経営する理事長の息子である。

 慎一は、将来、父親のあとを継ぎ理事長になることが約束されているため、昨年、大学を卒業すると、すぐ、父親の補佐をしながら、病院経営の勉強をしていた。

 この病院に来たのも、勉強のためだった。

 慎一は美しい舞を、一目みただけで恋の虜となったのか、再三、この病院を訪れるようになり、一ヶ月前、舞に交際を求めた。

 しかし、舞は、慎一に恋愛感情を持たないばかりか、仕事を覚えることに頭が一杯で、疑似恋愛をするような悠長な気分になれなかったので断った。

 だが慎一は諦めきれず、何度も交際を求めてきた。

 舞の先輩事務員たちは、慎一が舞に夢中だと知ると、急に、舞に冷たく当たるようになり、苛めが始まった。

 だが、舞は、苛めに負けないように仕事に励んだ。

 しかし、苛めは日を追うごとに激しくなった。

 そんな時、慎一が掛けた優しい言葉が舞の苦しみを救ったのだ。

 舞は、慎一の優しさに負け、交際に応じた。

 すると、慎一は、舞の気持ちが変わるのを恐れ、即座に結婚を申し込んできたのだ。

 慎一の思いがけない言葉に舞は混乱した。

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