再会ー1
七年半後の十二月。
碧い空の下に、空の碧さを映した海、そして、白い砂浜。
砂浜には人が二人いた。
「鷺草の海へ一人で来たの?」
「はい」
「迷わずに、よく来られたね」
「一度きたから、目が見えなくても来られるわ」
「来ないことを願っていたのに、でも、逢えて良かった」
急に少女が海へ入り、沖へ沖へと行く。
「待って、待ってくれ、死ぬな!」
幸樹は追い掛けようとするが足が動かない。すると、突然、発生した大波が少女に襲いかかり飲み込む。
幸樹は恐ろしさと助けられなかった悲しみに目が覚めた。
だが、夢でも少女を助けたい幸樹は、再び眠ろうとした時、大きな衝撃を受けた。
しかし、少女を助ける夢を見たい幸樹は気にせず、また、眠ろうとしたが、その眠りを妨げるような、人のざわめきが聞こえてきた。
(ここはどこだ)
しかし、少女を助ける夢を見たい幸樹は気にせず、また、眠ろうとしたが、その眠りを妨げるような、人のざわめきが聞こえてきた。
(ここはどこだ)
寝床ではないと気付いた時、急に膝に重さを感じて目を開けてみると、若い女性が自分の膝に倒れこんでいた。
訳が分からない幸樹は、寝呆けた目で、辺りを見渡すと、多くの人が驚いたように、自分と女性を見ているのだ。
「これはどうも」
訳が分からず、幸樹は恥ずかしそうに意味不明の挨拶をした。
幸樹は、今朝、勤務先である岬総合病院へ初出勤するため、日本橋のマンションの自室から南海電車難波駅へ行き、和歌山港行き特急電車に乗ったが、何時の間にか眠り夢を見ていたのだ。
しかし、その電車が泉佐野駅に着いた時、どういう訳か、若い女性が自分の膝の上に倒しれこんだのだ。
女性も、一瞬、何が起こったのか分からないらしく、呆然としていた。
「大丈夫ですか?」
幸樹の声を聞いた女性は
「あっ」
と驚きの声を上げて、幸樹を見ていたが、その目から涙が溢れ出た。
(この声、この顔は、お兄さん)