自然の力
「今こそ、私の力を!深森の障壁!」
メルスの掛け声と共に、ゾルダン達の足元から地面を突き破って草木が生い茂る。
その草木は、ゾルダンやセティアを囲むように成長し、ドフレーの攻撃を受け止めた!
「うぉぉぉぉ!!!」
「…………くっ!」
雄叫びを上げて踏ん張るゾルダンと衝撃に耐えることで精一杯のセティア。
「消えてしまぇぇー!!!!」
怒りに身を任せエネルギーを放出するドフレー。
「自然の力よ……みんなを守るためなら、異術石の力全解放します!」
「大丈夫だ、メルス! 私がやろう、はぁぁーー!!!」
ゾルダンが地面を剣で叩きつけると、爆炎と共にドフレーのエネルギー砲を打ち消す。
「ハァハァ……な、なんとかなったか……」
「なんという威力……」
ゾルダンとセティアは、満身創痍だ。
「ふーん、これくらいは耐えるのね、町ごとふっとばす予定だったけど、少しはやるじゃないの」
彼女は、これくらいと簡単に言ったが、ドフレーの後ろにあった、西門がガレキの山と化し、辺りの建物は無惨にも消し飛び、地面は深くえぐれた、被害が西門だけで済んだのが幸いと言えよう。
「術士が三人がかりで受け止めてこれですか……あの娘は一体……」
メルスは未知の恐怖に震えた。
「俺達は、あんな化け物を敵に回しちまったのか……」
アレックスも壮絶な光景を前にその場から動けず立ち尽くしている。
「だが、ここで奴を野放しにはできない……」
セティアは再び剣を構えた。
「あら、まだやるって言うの?」
「はぁぁぁーー!!!」
「おい! まてセティア、危険だ! おそらくあの少女の力は……」
ゾルダンの静止を振り切り、セティアはドフレーに突撃する。
「氷結弾!」
セティアの剣の一振で氷の刃となった大気がドフレーめがけて降り注ぐ。
「石の力をこんなにも早く使いこなすとは……すさまじい成長力だ」
一度は止めようとした、ゾルダンも驚き関心している。
だが、彼女はそんなセティアの成長を軽々と超えてきた。
「力だけの勝負では、私は決して負けない……私の石の力は、《ストレス》どんな苦痛も、攻撃も、私が力を得る手助けに過ぎないわ」
無数の氷の弾丸を受け、体のいたるところが凍りついてもなお、余裕の表情で話をするドフレー。
「苦痛が力? それじゃあ私が石の力をどれだけ使ったとしても……」
「そっ……貴女が私を倒せる未来なんてないの」
「はぁ? そんなの反則じゃねーかよ! イカサマだイカサマ!」
空気を読めない男のやじが飛んできた。
「あぁー、うるさい! あんたの声って本当イラつくわね、あの店で会った時からうざいとは思ってたけど……」
「ん、店で会った?」
「あっ……」
「思い出した! お前さんごろつきに絡まれてたあの酒場のお嬢ちゃんか」
「言われて、みれば……あの時とは性格が違い過ぎてわからなかったが……」
セティアとアレックスは、酒場での出来事を思い出した。
「あんな、自信無さげなお嬢ちゃんがこんなに、強かったなんてなぁー」
「うるさぁーい! あれは演技よ、演技! オドオドして仕事出来なさそうにしてれば周りが勝手にキレて私に当たるでしょ? その時のストレスを力にしてたのよ」
ご丁寧な説明をどうも。
「おう! ウエイトレス姿も結構可愛かったぜ」
「こいつ……はぁ、もういいわ」
「…………!?」
「調子狂っちゃった……私帰る」
「その方が私にとっても、この町にとっても都合が良い……」
ゾルダンは構えていた剣をおろした、本来組織の人間をみすみす逃がすなどあってはならない事ではあるが、今の全戦力を持ってして、仮にドフレーに勝利したとしても町の崩壊は免れないと判断したらである。
「ドフレー!」
「……何?」
過ぎ去ろうとしたドフレーをおもむろに、セティアが呼び止める。
「貴様の組織は悪なのか? それとも何か信念があってこのような事をしているのか? 教えてくれ……」
「めんどくさい事を聞くのね、考えた事もないのだけど……お父様を悪人と言うのなら、私は悪人なんじゃない? そういう善悪がどうとかいう話なら、姉の方が詳しいわ……」
「…………わかった」
ドフレーが過ぎ去るのを確認したゾルダンとアレックスとメルスが、セティアの元に駆け寄ってきた。
「怪我はないか? セティア」
「よくわかんねーが、危機はひとまず去ったって感じだな」
「念のため治療を……はぁ」
「よせメルス、力の使いすぎだ……セティアと一緒に部屋に戻るぞ」
「は、はい」
「みんな! よくやってくれた、おかげで被害は最小限で済んだと言えよう」
「すまない……ゾルダン、私が余計な事をしたばかりに、奴に力を与える結果となってしまった」
「大丈夫だ、どのみちあそこで私がレストに勝っていたとして、あの娘が黙っているはずはない……もしかしたらこれ以上の被害が出ていた可能性だってあった、君の判断は悪手ではない私が保証しよう」
「はぁー、皆様今日はもう休みましょう、ゾルダンさんもセティアさんに話たい事があったのでしょう?」
「あぁ、そうだな……だが、それも明日にしよう今日話をしても疲労で話が頭に入らないだろうからな」
「大丈夫か? セティア、肩を貸そう」
そう言ってアレックスがセティアの前でしゃがんだ。
「いらない……それにその体制だとおんぶだろ、ふざけるのも大概にしろ」
一方、こちら向井一向
「向井リーダー、定点カメラが壊れましたー」
「了解! いそいでシーガルの町に戻るぞ」
「……んー」
「どうした影山? 悪い結果でも出たのか」
「いえ、正道さんの事が少し心配でしたので、占ってたんですけどもね」
「仕事をしろ……まぁ、あいつの事が心配なのは俺もそうだが」
「おかしい、やはり正道さんのこの世界での大きな出会いの正体がつかめない……です」
「どーせ、アニメ管理局の誰かだろ?」
「そんなのよりもっと強大な……私達がまだ出会った事のない存在……」
「それは、危険な方の出会いじゃないのか……まぁ、良いさいざとなれば俺に連絡がくるはずだ、案ずるな」
「そーですね、それじゃあ町に戻るです」
次回
守衛隊加入
次も俺たちの活躍見ていてくれよな
ほんとちょっとの事で、書き終わった文書全部パーになるのなんとかしてくれんかな……
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