第一話大体のあらすじ
俺の名前は、野田正道アニメカメラマンをしている。
アニメカメラマンとは、なんぞや? と言うならば、実際にアニメの世界に入って撮影するカメラマンのことである。 皆が大好きなあのアニメも実は我々の手によって撮影されていたというわけだ。
撮影相手はアニメ世界なので実写とはまた違う。それに普通の撮影と違ってイレギュラーが多く台本通りに行かないのも特徴だ、ドキュメンタリーなどの密着というよりかは、撮れるかもわからない幻の生物を探して危険なジャングルの奥地へ赴くような撮影の方が近いか。
勿論、俺達のような一般人は、日常系などの非戦闘アニメしか撮影しない、撮影するアニメは危険度によってランク付けされており、危険度Sからは、一般人の撮影など無謀で命がいくつあっても足りない、控えめに言って撮影する方もされる方もあいつらは、化け者だ、戦闘シーンのあるアニメを一度でも観たことがある人ならば察してくれると思う。 あの戦場をカメラに収めることの過酷さを………
「今日から君を特殊アニメカメラマンS級に任命する」
「は?」
そう部長に言われたのだが、俺は純粋な、は? で応答してしまった。
「あ、いやぁ……部長、エイプリルフールは……」
そう言ってちらっと顔色を伺ったが部長は、真剣な顔つきのまま無言でいたので俺は、冷や汗が止まらなくなった。
きっと冷房の効きすぎだろう……
「こちらとしても苦渋の決断なんだが、S級ともなると人手不足が深刻でな……もうこうするしかないんだ」
「あのですね……私は、25歳の一般成人男性ですよ?」
「わかっている」
わかってねーだろ!
「勿論、我々……いやアニメ管理局全体が君を全力で支援する。 それに、ただのS級アニメカメラマンには絶対与えられないであろう特権をいくつかやろう」
アニメ管理局とは、まぁその名の通り、アニメカメラマンが安全に快適に仕事をしてもらえるよう、護衛の配置やアニメ世界のスケジュール制作などをしてくれる所である。 それの全面協力ということは、極端な話、警備会社全体で貴方の仕事を応援します! という意味であり、先程の特権やらの話と合わせると願ってもないどころか歴代でも類を見ない待遇と言えるだろう、だが命懸けであることに変わりはない。
「俺以外でも適任はいるはずでは?」
「私もそう言ったんだが、この話は、一般人の君がS級カメラマンになることが重要らしくてな……」
つまり俺は映えあるモルモットの第一号に選ばれたというわけか、ここまでツイてない日は珍しい。 いや、逆に運が良いのか?
「君には悪いが、拒否されても困る、これは我が社の決定事項だ」
これは、俺、野田正道と愉快な仲間達の笑いあり涙無しのアニメカメラマンストーリーである。
「せいどうさーん」
会社を出ると、駐車場の方からいつも仕事を共にしている相棒の声が聞こえてきた。
「おー、つかさぁー」
助手席の窓から手を振る彼は、田村司簡単に言うと俺がカメラマンで、彼はディレクターである。 俺より機械に詳しく、頭も良い、おまけにスポーツもそれなりにできる好青年(22歳)しかし、ここまでハイスペックでも、この仕事をしている以上独身である。
残念でした。
「色々言いたいことはあると思いますが、とりあえず乗って下さい管理局に向かう間にも話はできますから」
どうやら時間が押してるらしいので、俺はそそくさと車に乗り込んだ。
車が走り出すと同時に司が話出す。
「先に言っておきます、僕と源蔵さんも特殊アニメカメラマンS級に任命されました」
「まじかよ……」
まぁ、俺に声がかかったのだから必然と言えばそうだが……
「おぉい、わしは、元々S級ライセンス持っとるぞ、歳だから通常ライセンスに戻したのに、また任命しおって」
そう話すのは俺達の専属ドライバー、須賀 源蔵この道20年のベテランドライバー、おじさんというよりおじいちゃんだが、そのドライビングテクニックはプロのドライバー顔負け。 ただし運転はいつも乱暴なので車酔いするような人は乗れない。
車の中の方が落ち着くらしく特に理由が無ければ家にいるか車に乗っているかのどちらか、アニメ世界に行ったときもほとんど車から降りようとしない。
「ほれ着いたぞ、俺はここで待ってるからな、行ってこい」
「「ありがとぉー」」
俺と司は車から降り、管理局の建物の横にある訓練施設へと向かった、なんでも専属の護衛を紹介してくれるらしい、
一つのアニメ世界には必ず一人以上の撮影班の手助けや護衛を行う管理局員または、そのアニメ世界の住人がいる、さらに危険度S級のアニメ世界になると、必ず二人以上の護衛がいる。 そんな都合よく協力者がいるのかと思うかもしれないが、俺も詳しくはわからん。 噂では、アニメ管理局のリーダー役が、直接アニメ世界に出向き協力者を探しているとか、いないとか? 真実は管理局のみぞ知ると言ったところである。
「すいません、野田ですけども」
受付で名前を言えばわかってもらえると言われたので聞いてみると、「野田様ですね、どうぞこちらへ」
俺達は、体育館のような場所に案内された。
「やまださーん、こちらが今回の依頼人です。」
勝手に俺が依頼人にされた
「ん? 来たか……」
そう言うと彼は、サンドバッグに叩き込んでいたパンチを止めて俺達の方を見る。
「見だけでわかる……本当に二人共一般人なんだな……」
「あ、どぉーも」「よろしくお願いしまーす」
彼の容姿を例えるなら、黒服のSPそれが一番分かりやすいだろうか? だが、顔は少し若く見えるし、もしかしたら同い年くらいなのかもしれない。
「今日から、君たちの命を預かることとなったアニメ管理局員、山田健人だ、よろしく頼む」
「こ、こちらこそ」
「司です」
「して、リーダーは君か? あ、すまん……貴方か?」
「あ、いいですよ呼び方は自由で……申し遅れました野田です。 一応私という事になっていますが、やり方などは山田さんに任せた方が安全だと思います」
「君はお客様だ、さんはいらない……そうか、ならば多少は、自由にやらせてもらおう」
「貴方は自由過ぎるんですけどね!」
受付のお兄さんが言う。
「そう言うな、お手合わせはいつも迷惑のかからない程度に……」
そう山田が言いかけた時突然受付の人が書類を取り出し、話し始めた。
「突然ですが、野田さん明日からS級アニメ世界に撮影に行ってもらいます」
バカか! 展開が早すぎる
「「あ、あしたからぁ!?」」司と俺はハモった
「そうか……」山田は冷静だ……
渡された書類にはアニメのタイトルが書かれていた。
「氷結のセティア」
危険度S 特殊ライセンス必須
おかしな改行句読点誤字脱字はご指摘してくれるとありがたいです。