PISA2018調査国際結果を読解してみる
いちゃもんつけるだけというのも何なので、自分でも読解してみる。
まず「情報の質と信ぴょう性を評価」して、「情報を探し出す」ところから。「PISA急落」とか、根拠もなしに書いてる新聞・雑誌やニュースサイトはアウト。「文部省はこういってるが、生データを弊社で独自調査したところ、こうこう」ならともかく、「文部省が急落と言っている」というのは完全にアウトである。
「信ぴょう性のない情報」でも、幸い「PISA」「文部科学省」というキーワードがあるので、検索すれば最初に見つかった。
https://www.google.com/search?q=PISA+%E6%96%87%E9%83%A8%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%9C%81
この検索結果から、資料を見つける。
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html#PISA2018
OECD生徒の学習到達度調査(PISA2018)
OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント (PDF1.30MB)
OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)[萩生田文部科学大臣コメント] (PDF0.95MB)
2018年調査国際結果の要約 (PDF1.31MB)
2018年調査問題例(読解力) (PDF1.48MB)
2018年調査補足資料(生徒の学校・学校外におけるICT利用) (PDF40.7MB)
[資料1]2018年調査:学校質問調査 (PDF1.19MB)
[資料2]2018年調査:生徒質問調査 (PDF1.94MB)
[資料3]2018年調査:ICT 活用調査 (PDF0.89MB)
この中で、ざっくり把握するのに便利なのが、最初の
OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント (PDF1.30MB)
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
ちょっと詳しく見るには、
2018年調査国際結果の要約 (PDF1.31MB)
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/03_result.pdf
今回はこれをベースにした。
ポイントと思われるところ、個人的に注目したところを引用しつつツッコミ。
OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
”
読解力の定義
自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと。
※下線部は2018年調査からの定義変更箇所(注:下線を傍点で表現、以下同)
○コンピュータ使用型に移行し、デジタルテキストを踏まえた設計となったため、「書かれたテキスト」から「テキスト」に変更。(デジタルテキスト:オンライン上の多様な形式を用いたテキスト(Webサイト、投稿文、電子メールなど) )
○議論の信ぴょう性や著者の視点を検討する能力を把握するため、テキストを「評価する」という用語を追加。
測定する能力
①情報を探し出す
-テキスト中の情報にアクセスし、取り出す
-関連するテキストを探索し、選び出す
②理解する
-字句の意味を理解する
-統合し、推論を創出する
③評価し、熟考する
-質と信ぴょう性を評価する
-内容と形式について熟考する
-矛盾を見つけて対処する
(下線部(傍点で表現)は、2018年調査から新たに定義に追加された要素)
◆【①情報を探し出す】や【③評価し、熟考する】に関する問題 【2018年調査新規問題】
ある商品について、販売元の企業とオンライン雑誌という異なる立場から発信された複数の課題文から必要な情報を探し出したり、それぞれの意図を考えながら、主張や情報の質と信ぴょう性を評価した上で、自分がどう対処するかを説明したりする問題。
◆課題文1:企業のWebサイト
(商品の安全性を宣伝)
問1:字句や内容を理解する
問2:記載内容の質と信ぴょう性を評価する(自由記述)
◆課題文2:オンライン雑誌記事
(商品の安全性について別の見解)
問3:課題文の内容形式を考える
問4:必要な情報がどのWebサイトに記載されているか推測し探し出す【測定する能力①情報を探し出す】
◆課題文1と2を比較対照
問5:両文章の異同を確認する
問6:情報の質と信ぴょう性を評価し 自分ならどう対処するか、根拠を示して説明する(自由記述)
【測定する能力③評価し、熟考する】
※問4や問6のような問題において、日本の生徒の正答率がOECD平均と比べて低い
読解力分野のコンピュータ使用型調査の特徴
○オンライン上の多様な形式を用いた課題文(投稿文、電子メール、フォーラムへの参加回答など)を活用(従来の小説、演劇の脚本、伝記、学術論文等に加えて)。
○2018年調査は、全小問245題のうち約7割の173題がコンピュータ使用型調査用に開発された新規問題。日本の生徒にとって、あまり馴染みのない多様な形式のデジタルテキスト(Webサイト、投稿文、電子メールなど)や文化的背景、概念・語彙などが使用された問題の数が増加したと考えられる。
問1 【測定する能力 ①情報を探し出す】
ある大学教授のブログを画面をスクロールして読んだ上で、教授がフィールドワークを始めた時期を選択して解答する。
問6 【測定する能力 ②理解する】
2つの説に関する原因と結果を選択肢から選び、ドラッグ&ドロップ操作によりそれぞれ正しい位置に移動させ、表を完成させる。
”
まず気づくのは、「読解力の定義」が変わっていること。
”○コンピュータ使用型に移行し、デジタルテキストを踏まえた設計となったため、「書かれたテキスト」から「テキスト」に変更。(デジタルテキスト:オンライン上の多様な形式を用いたテキスト(Webサイト、投稿文、電子メールなど) )
○議論の信ぴょう性や著者の視点を検討する能力を把握するため、テキストを「評価する」という用語を追加。”
次に、「評価」について
”-質と信ぴょう性を評価する
-矛盾を見つけて対処する”
そしてこの追加部分、中でも
”問4:必要な情報がどのWebサイトに記載されているか推測し探し出す【測定する能力①情報を探し出す】
問6:情報の質と信ぴょう性を評価し 自分ならどう対処するか、根拠を示して説明する(自由記述)
【測定する能力③評価し、熟考する】
※問4や問5のような問題において、日本の生徒の正答率がOECD平均と比べて低い”
とされている。
具体的な問題は、公開問題では、用意されたblogを読んで理解し、問に答えることだ。
これがOECD調査で明らかになった、日本の生徒の弱点である。
しかし、日本の「生徒」、つまり若者だけの問題だろうか?




