実験
…どうしょうもないイライラに思わず家を出た彼は空を見上げながらふと感じた。そういえばここ最近でこんな朝日が照らす時間に出た試しがあったであろうかと眠たい目を擦りつつ1人、街へ意味もなく歩みを進めていく。
「そこの君、少しいいかい?」
白と黒のコントラストで彩られているようなビル群には似つかぬ茶色いコートと帽子で顔を隠した中年程の男性が声をかけてきた。二ーべは別にいいですがと、とても淡白な返事をし特に興味のなさそうに男性の話を聞くことにした。
「すまない。駅までの道を教えてくれないか。」
「何処の駅までですか」
「この付近の駅であればどこでも同じであろう」
二ーべは直後に男から距離を取りこう問いただした
「あんた働いてる身だな。しかもあんた警官だろ。俺になんか用かい?」男は突然の言葉に驚きを隠せそうもなく、二ーべはニヤリと笑いまるで全てを見透かしたような顔をしながら話を続けた。
「このビル群には不釣り合いな地味な服装だなと思ったら…確かにここの日差しはきついもんがあるからなぁ。…スーツとは違うよなぁ。ここら辺で日焼け後になるくらいスーツ以外の服着てるやつなんざ警官ぐらいだろ?あいつらは、ここ最近のデモのお陰もあって重装備で特徴的な服に変更されたからなぁ。首のところが特徴的なんだよ。」困惑する男にさらに立て続ける
「そんな警官さんが把握してるであろう駅の位置を鎧を脱いで一般のフリして話しかけてくるなんて穏やかじゃねぇ。あんたは一般人として俺に話さねぇといけねぇことがあった。違うんかい?」
男は唖然としながら目の前に佇む少年の眼を見つめ何かを訴えかけるようであった。
「…なーんだビックリした!最近、逃げ回ってる犯罪者に見えて!駅ですよね!案内しますよ!」
二ーべはわざと大声を出し、男の袖をつかみ半ば無理やりその場から連れ出した。
彼は男を連れて歩いてる途中、道の安全鏡を使い後ろを確認しながら進んだ。やはり後ろから人がついてきている。目的も何も分からないが碌でもない目に会うことは間違いない。
…
二ーべは事故の日から少し変わった物の見方ができるようになったようだ。
…
「なぁおじさん。あんた、この空間の地図分かるか?」
「…ここら辺の地図ならある程度は」
「ちげぇよ。空間だよ。空間
…俺には分かるぜ」