始まりの〈あか〉
〔ここで新しいニュースです・今まで幾度となく研究されてきたゲノム編集技術による人間の誕生について新たな成果を達成したと、先程研究者達が発表しました。〕
なんの気なしで見ていたニュース。しかしなぜだか不快感、というより謎の物悲しさに駆られた。
人間や生物を作り出す、確かにある種の人類史における化学の目指すべき目標であるかもしれない。だけれども生物を作り出すという行為はもはや神の成し得る領域で我々人間の領域ではない。そう彼は思っていた。
しかしこの感情はそれによって産み出されている訳でもないらしい。そしてこの不安とも言える感情がなにかという答えに彼はまもなくたどり着いた。
〔ここで完成した第1号の画像を公開します。〕
その画像を見た途端二ーべは硬直し全ての思考が停止した。そう、忘れもせず頭の中にぼんやりと残っているあの夢にでてきた。確証はない。でもそうなんだと、間違いなくこいつなんだと彼の第6感と思しきものは警報を鳴らし続けていた。
〔これからはこの第1号を元に量産していく予定のようですが用途としては一体何にを使いになされるおつもりでしょうか?〕
研究者達にマスコミが問うと、研究者のひとりがまるで愚問をされたように鼻で笑いこう答えた。
〔はて、面白い質問ですね。用途ですか…そうですね。特にはありませんそれについてはこれを買った人間が決めれば良いのです。それに彼は沢山の失敗作の上でようやく成功した唯一の存在です。彼のゆういつの失敗点は肌が赤い…ということで
二ーべはとても乱暴にテレビの電源を消し近くにあったコップの水を顔にかけ自分の中のなにかを静めた。そう、ここから彼の使命は進み出した