ファーストコンタクト
少年が起きた場所は真っ白な寒い部屋ベットの上で頭に包帯をして寝転がっていた。包帯を触って少しの痛みが走った、状況が理解出来ていなかった彼だったが少しずつ記憶が取り戻ったらしい。本人には庇った理由など全く考えも付かず結局は生物の本能だと思って納得した。
上の空で天井を見つめていた彼に何処かから凛とした声が呼びかけてきた
青いキャップを被った少年が立っていた
彼は自分のことをアランと名乗った。アランのことを見つめる少年の目には少し戸惑いがあった。無機質な部屋には似合わないほどオシャレな服装に透き通る声、そしてほんの少しの挨拶で自分とは違う陽気で心優しい少年だと理解した。
アランは少年を見て、「君…二ーべはなんで怪我したの?」と問いてきた。少年…もとい二ーべは知らない相手に自分の名前を当てられたことに少しの驚きを感じたが、この部屋の前に自分の名札が掛けられてることを知り、なんだ、と胸を撫で下ろした。二ーべはつまらなそうな顔をしながら「転んで偶然トラックに引かれた」と事実とは異なることを話した。何故だか少し恥ずかしかったのだ、見知らぬ子供を助けたなどと、まるで正義のヒーローのようなこと全くもってそんな事など考えていない自分が言うことが。
暫くの沈黙の後アランはたった一言、「それは災難だったね」と心配そうな顔をしてきた。二ーべはそのような顔を1度もされたことがなかった。