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赤の精霊の悲願

 遠い昔、赤の精霊はいのちを生み出した大いなる存在として、人間たちすべてから感謝の祈りをささげられていました。


 聖地である山の頂上には、石造りの建物がそびえ、そこには神聖な赤色に塗られた祈りの部屋がありました。


 遠くから旅をしてきて、聖地を訪れる人たちが後を絶たず、誰もが、いのちがあることの喜びとともに暮らしていたのです。


 そして、暮らしのなかで、赤の精霊にまつわる神話が繰り返し語られていたのです。


 その神話とは次のような話でした。


・・・・・・・・・


 まだ世界が無かった頃の話です。神様には三人の息子がおりました。


 あるとき神様は、宇宙を創り出す仕事を任せるのに誰がふさわしいかを決めようとして、「本日定めた時に力を授ける者を選ぶことにする。」と言って息子たちに使いを出しました。


 それを受けて、一番上の兄である黄の精霊と、二番目の兄である青の精霊はすぐに来たのですが、定めた時を過ぎても、下の弟である赤の精霊は現れませんでした。


 神様は「このような大切な時に来ないとはどうしたことか。赤の精霊には一番期待していたのに、なんと残念なことか。」と思われ、少し待とうとされました。


 しかし、二人の兄たちは「待つなんてとんでもないことです。こうして神様の言葉を無視した、だめな弟は外して、私たちに力を授けてください。」と言うのです。


 赤の精霊はどうして来ないのでしょうか。


 赤の精霊は困っているものがいれば、助けないではおれない温かい心を持っていました。


 そのために、多くの精霊たちから慕われていましたので、二人の兄たちは、きっと神様がすべての力を弟の赤の精霊に与えてしまうに違いないと考えて邪魔をしたのです。


 使いを受けた後、兄たちは急いで仲間に指示しました。赤の精霊の来る道の途中に何人もの困りごとを抱えた精霊をわざと居させて、到着が遅れるように仕組んだのです。


 赤の精霊は、神様の大切な呼び出しとは言え、それらの精霊たちを見捨てることもできず、世話をしているうちに約束の時に遅れてしまったのです。


 もちろん神様はそのことを見通されましたが「本日定めた時に力を授ける。」と言った自分の言葉を守るために、赤の精霊のことはあきらめるしかありませんでした。


 そして、どちらか一方の兄に宇宙を創り出す仕事を任せてしまうのも不安でしたので、その力を二人に分けて与えることにしました。


 神様は宇宙を創り出す力を二つの宝に変えました。


 そして、黄の精霊には、形あるものを生み出す力をもった不思議な玉。


 青の精霊には、形あるものを調和して動かす不思議な杖を与えました。


 そのうえで神様は二人に言いました。「宇宙を生み出せ。そして、宇宙に調和をもたらせ。」


 しばらくして、赤の精霊がやっとのことで神様のところにたどり着いたときには、神様からの力の受け渡しはすべて終わっており、もう兄たちもいません。


 神様は言いました。「遅かったではないか。すでに力は兄たちに与えてしまったぞ。」


 赤の精霊は「神様のお役に立ちたかったのに。」と言って悔し涙を流しました。


 それでもあきらめきれない赤の精霊は神様に言いました。「お願いです。私にも何か神様のお役に立つことをさせてください。」


 しかし、神様は顔を曇らせて「お前には無理だろう。あきらめなさい。」としか言われません。


 赤の精霊が「それでも。」と頭を床につけて涙ながらにお願いをするものですから、さすがに神様もかわいそうだと思われたのでしょう。


 そこで「いいだろう。しかし苦しいだけかもしれないぞ。」と言われて、赤の精霊に小さな剣を渡されました。


 それは、いのちを生み出す不思議な力をもった短剣だったのです。


 しばらくして、兄たちによって、宇宙を創り出す仕事が始まりました。


 黄の精霊が玉をかざすと、光が溢れ出し、星が生まれます。


 そして、青の精霊が杖を振ると、生まれたばかりの星がくるくると回りだし調和して動くようになるのです。


 燃え盛る太陽のまわりには、焼けた星、熱い蒸気に満ちた星、岩の固まりのような星、ガスの星があり、ほかにも寒い星、氷の星、大きい星、小さい星、様々な星が回っています。


 そして、たくさんの太陽は、渦をまいた光り輝く銀河となり、その銀河もまた大宇宙の中で大きく調和して回っていました。


 それはそれは美しい宇宙が創り出されていったのです。


 二人の兄たちは得意げに神様に言いました。「どうですか。すばらしい宇宙でしょう。」


 神様もその宇宙をみて、満足げに大きくうなずくのでした。


 赤の精霊は、兄たちのつくった星々を訪ねては、そこで短剣を振ります。


 目には見えない小さないのちが生まれますが、炎の中や熱い蒸気や氷の中では生きることができません。


 では、温かい水の中ではどうかというと、毒素に耐え切れずに死んでしまいます。


 兄たちは大笑いして「俺たちがせっかく創った宇宙をそんなごみのようなもので汚さないでくれよ。」とからかうのでした。


 それでも赤の精霊は、いのちをこの宇宙に生み出すことをあきらめることができずに、ふさわしい星を必死で探しました。


 ずっとずっと時を経て、とうとう赤の精霊は一つのきれいな星を見つけました。


 広い海を持った星で、ちょうどよい温度に冷えていました。


 赤の精霊は短剣を振りました。海の中に小さないのちが生まれました。


 「ここだったらうまくいくかもしれないぞ。」赤の精霊には希望がわいてきました。


 力を振り絞って短剣を振り続けます。


 そのせいか生き物が少しずつ増えていきました。


 しかし、しばらくすると皆死んでしまうのです。


 何度も何度も繰り返しましたが、うまくいきません。


 赤の精霊は自分が生み出したいのちが無残にも死んでいくことが哀れでなりません。失われたいのちに涙を流す毎日でした。


 「神様の言われたように、自分には無理なのだろうか。」とあきらめそうになることもありました。


 しかし、それでも赤の精霊は気を取り直して短剣を振り、同じことを繰り返しました。


 そういう弟を見て馬鹿にしていた兄たちですが、そのうちに「ああ見ていられない。むだなことばかりする。」とあきれ果てて、遠くに行ってしまいました。


 そして、果てしない時を経て「赤の精霊はどうしているかな。」と兄たちが久しぶりにその星に戻ってみると、何と生き物がいたのです。


 それも少しではありません。生き物が世界にみちあふれていたのです。


 魚たちや海草がいっぱいの美しい海。


 動物や昆虫たちが暮らしている草原や森。


 様々な場所で、そこにふさわしいいのちが輝いています。


 その自然の中で、やさしい心を持った人間が、お互いに助けあいながら暮らしていました。


 兄たちはその世界の美しさに驚いてしまいました。


 そして、素直に赤の精霊をほめてやろうと思いましたが、赤の精霊の姿が見あたらないのです。


 神様は、この生き物の世界が出来たことをたいそう喜ばれました。


 「宇宙は美しい。しかし、この星のいのちほど美しいものはない。宇宙の中の本当の宝だ。」とまで言われました。


 神様は、もちろん赤の精霊がどこにいったのか、知っておられましたが、二人の兄たちをはじめ誰も赤の精霊を見つけることはできなかったのです。


 冷たい兄たちから姿を隠すためなのか、いのちを生み出した満足感でどこかに行ってしまったのか、いずれにしても赤の精霊のゆくえがわからないのでした。


・・・・・・・・・・


 人間たちは、皆この話を信じていました。


 ですから、いのちを生み出してくれた赤の精霊のために、山の頂上に神殿をつくり、感謝の祈りをささげていたのです。


 そして、伝説では、すべてのいのちが危機を迎えたときには、かならず赤の精霊が戻ってきて助けてくれるのだと言われていました。


 さて、この美しい星で、赤の精霊への感謝を忘れずに、いのちを大切にする世界がいつまでも続くと、誰もが信じていたのですが、変化のときが訪れました。


 黄の精霊と青の精霊が人間に試練を与えたのです。


 最初は赤の精霊をほめてやろうと思った兄たちですが、実はおもしろくありません。


 なぜなら、その星をつくったのは自分たちなのに、神様が赤の精霊ばかりをほめるからです。


 また、人間たちも赤の精霊だけに感謝をしているのですから、歯がゆくてたまりません。


 そこで、人間に近づき姿を現して言いました。


 「おまえたちは赤の精霊、赤の精霊と言うが、姿を見たものはおらぬであろう。」


 「私は黄の精霊である。」


 「私は青の精霊である。」


 人間たちは、光輝く二人の精霊の姿に驚き、ひざまずいて深く頭を下げました。


 そこで、精霊たちがおごそかに告げました。


 「お前たちは何も知らない。それゆえに貧しい暮らしをしている。知恵を授けるので、便利な暮らしを求めるがよい。」


 そして、宇宙に関する秘密の知恵を人間の頭の中に少し入れました。


 それまでの人間は、貧しいながらも自然の中で力を合わせて、赤の精霊が生み出した同じいのちの仲間である植物にも動物にも感謝しながら暮らしていました。

しかし、黄の精霊と青の精霊の知恵を得てからは、人間は様々な便利なものを生み出すことができるようになり、次第にわがままになっていきました。


 最初は、そのような生き方は赤の精霊を裏切るものだと言って反対していた人たちも、ほかの人たちが豊かになるのをみて、我慢できないようになりました。


 植物や動物や自然のものは、人間の暮らしを豊かにすることだけに使われるようになり、いつの間にか自然は征服され、そして破壊されていきました。


 しかも、人間の数が増え続け文明生活を送るようになると、赤の精霊のことは、ほとんどの人たちから忘れ去られていったのです。


 さらに時が立つと、便利で豊かな暮らしの果てに、この美しい星は汚れ、多くの生き物たちが絶滅し、人間たちを含めた生き物すべてが危機を迎えていたのです。


 そして、とうとう人間は生きる喜びまでも失ってしまいました。


 人間は、黄の精霊と青の精霊の試練に敗れてしまったのです。


 しかし、そのような変化の中でも、赤の精霊を信じ続け聖地を守り続けている一族がおりました。


 彼らは、赤の精霊が現れて、いのちの危機を救ってくれると言い続けていましたが、この伝説を誰も信じてくれず、絶望が世界をおおっておりました。


 そして、赤の精霊を信じ続けてきた一族も減り続け、最後の師である老人が亡くなったことで、聖地を守っているのは、とうとう一人の青年だけになってしまったのです。


 山の頂上の神殿にある祈りの部屋には、代々の老師の塔がありましたが、青年はその前で祈り続けていました。


 「いのちが滅ぼうとするとき、赤の精霊が現れて世界を救うと言われていますが、いまだ赤の精霊は現れません。」


 老師は、「お前には使命がある。」と言って亡くなりましたが、青年はそれが何なのかを必死に考えていました。


 そして、青年は気づいたのです。


 「そうだ。赤の精霊を待っているだけではだめだ。探しに行こう。それしかない。」


 そう叫んだとき、祈りの部屋がぐらぐらっとゆれて壁が崩れました。


 すると、不思議なことに、壁があったところに丸い洞窟の入り口が三つ現れていたのです。


 正面の入口。右の入口。左の入口。


 青年はどの入り口に入るか迷いましたが、赤土色に縁取りがしてある右の入口に最初に入りました。


 たいまつを手にして、暗い洞窟を足元に気をつけながら降ります。


 どれくらい降りてきたのでしょうか。青年は不安になってきましたが、勇気を出して足を進めました。


 そして、狭い洞窟を抜けると最後には、高い天井がある広間のような場所に着きました。


 そこに、ゆらゆらとした姿を見せているものがあります。


 青年は尋ねました。「あなたは赤の精霊なのですか。」


 「いや違う。私は土の精霊だ。人間がここまで来たということは、黄の精霊と青の精霊の試練に敗れたな。ついに、いのちが滅んでいくのか。」と土の精霊は言うのです。


 青年は尋ねました。「教えてください。私はあきらめたくないのです。赤の精霊さえ戻ってくれれば、きっと元通りの世界になります。赤の精霊はどこにいるのですか。伝説はそれを教えてくれません。」


 土の精霊が語り始めました。「定めに従い、陸の世界について、私が知っていることを話そう。


 私は、海から陸に、いのちがあがってきたときのことを思い出すと、体がふるえるような感動がわいてくる。


 海の中で、光で活力を得ていた緑の生き物たちが、とほうもない時をかけてこの星の空気を変えていった。


 また地上は荒れた厳しい土地であったが、植物たちはまるで動物を待ち望むかのように土を変え、さらに空気を変えていった。


 そして、海にすむ魚たちのなかから、地上に這い出してくるものがでてきた。私はいのちのたくましさとすばらしさに目を見張った。


 その仲間は数を増やし、姿を変え様々な種類の動物となり、何度もの試練を乗り越えてきた。そして最後には人間が現れた。


 私は土の精霊として、そのすべてを見てきたのだ。


 しかし人間よ。残念ながら、私は赤の精霊を見たことはないのだ。


 どうか赤の精霊を探し出して、この星のいのちを救って欲しい。」


 青年はがっかりしましたが、深々と礼をしてそこを立ち去りました。


 祈りの部屋に戻ると青年は、たいまつを代えて今度は左側の洞窟に入りました。


 その入口からは、何かうなり声のような音が聞こえていました。


 ずっとずっと洞窟を降りていくと、最後に出た場所は海に面した場所でした。あの音は波の音が洞窟に響いていたのです。


 岩場のそばの海の上に、ゆらゆらとした姿が見えたので、青年は今度こそと思い「あなたは赤の精霊ですか。」と尋ねました。


 「いや違う。私は水の精霊だ。人間がここまで来たということは、いのちの終わりが来たのだな。」と水の精霊は言うのです。


 青年は「この世界を救うために、赤の精霊を見つけないといけないのです。赤の精霊はどこにいるのですか。教えてください・」と必死に頼みました。


 水の精霊が語り出しました。「定めに従い、私が海の世界について知っていることを話そう。


 遠い遠い昔、海の中ではいのちが生まれては崩れ、生まれては崩れということを繰り返していたのだ。


 それがあるとき、一つのいのちが残り、数を増やし種類を増やし、そして海での生命の輝きとなっていった。


 すべてのいのちは、たった一つの、目にも見えないような小さな塊からはじまった。


 私は水の精霊としてそのすべてを見ていたのだ。


 しかし人間よ。残念ながら、私は赤の精霊を見たことはないのだ。どうか赤の精霊を探し出して、この星のいのちを救って欲しい。」


 青年はがっかりしながらも、深々と礼をして決意を新たにしてそこを立ち去りました。


 祈りの部屋に戻ると青年はたいまつを代えてから、最後の中央の洞窟をじっと見つめました。


 その入口の周囲にはきらきらと光る石がはめ込んでありました。


 「これで赤の精霊に会えなかったらどうしたらいいのか分からない。いや、きっと会えるに違いない。」そう自分に言い聞かせて青年は洞窟に入っていきました。


 右に左に洞窟の道は曲がり、最後に出た場所は山の中腹の崖で、そこからは遠くの山々を照らしている夕日が見えました。沈み行く太陽は赤く山肌を照らしています。


 青年のすぐ目の前で、太陽の光が揺れて人影のようなものが見えたので、青年は「あなたこそ、赤の精霊ですね。」と声をかけました。


 悲しい顔をしています。


 「違う。私は光の精霊である。人間がここまで来たということは、いのちの終わりが近いのだな。定めに従い、私が知っていることを話すので、心して聞いて欲しい。」と光の精霊は言いました。そして、おごそかな口調で語りだしたのです。


 「はるかな昔、私は確かに赤の精霊を見ていた。赤の精霊はこの星に長くとどまり、神様からいただいた短剣を使って、いのちを生み出そうとしていた。


 しかし、生み出したいのちはすぐに崩れはて、赤の精霊は涙を流すばかりだった。


 赤の精霊には、神様の短剣を使うだけの力がなかったのだ。


 そして、私は見たのだ。このことは、これまで誰にも語ったことはなかったが、今こそ真実を話そう。そのときが来たのだ。


 赤の精霊はこう言っていた。


 『神様。私はあなたのお役に立ちたいのです。私には力が足りず、短剣を使いこなすことができません。私の生み出したいのちは、あわれにもすぐに崩れてしまうのです。でも私はこの星をいのちで満たしたいのです。おゆるしください。』と。


 そして、驚いたことに赤の精霊は、自分の胸にその短剣を突き刺したのだ。赤の精霊の姿はまるで短剣に吸い取られるように消えていった。


 そして今度は、その短剣が赤い光となって、海の中の一つの小さな塊に向かったのだ。


 その塊こそが、この星での最初のいのちの祖先となったのだ。


 そのたったひとつのいのちが分かれ、種類を増やし、すべてのいのちとなっていった。


 赤の精霊は今もこの星のいのちの中で生きている。だから、いくら赤の精霊を呼んでも姿を現すことなどできないのだ。


 いいか、改めて言うが、お前という人間のいのちは、赤の精霊そのものなのだ。


 お前は赤の精霊なのだ。」


 青年はその話を聞いているうちに、胸の奥がどくんどくんと熱くなってきました。


 「いのちあるものは赤の精霊。私自身も赤の精霊であったのだ。」


 その言葉が頭の中に浮かんできました。


 すると突然、黄色の光と青色の光が空から降りてきました。


 黄の精霊と青の精霊が姿を現したのです。


 そして二人は「弟よ。赤の精霊よ。」と青年に呼びかけてくれたのです。


 黄の精霊が言いました。「お前は確かに赤の精霊だ。私たちの試練でも変ることはなかった。


 今こそお前のことを本当に認めよう。


 どうか、この星を元通りの美しい星にして欲しい。この星は神様にも、そして私たちにとっても宇宙の宝なのだ。」


 青年は、黄の精霊と青の精霊、そして光の精霊に深々と礼をして、洞窟の道にもどりました。青年の顔つきはすっかり変わっていました。


 そう、それはいのちを生み出した赤の精霊そのものの表情でした。


 祈りの部屋に着くと、青年は老師の塔の前でひざまずいて誓いました。


 「ご安心ください。赤の精霊が戻りました。私には使命が見えました。その使命に一生をささげます。」


 それからの青年は覚悟を決めて、このことを一人一人の人間に告げて回りました。


 不思議なことですが、人々はこの話を聞くとなぜか胸の奥が熱くなり、「自分も赤の精霊である。」「すべてのいのちが赤の精霊である。」ということを信じることができたのです。


 青年は語り続けました。


 仲間が一人増え二人増え、数十人になり数百人になり、さらに増え続けました。


 そうして、聖地もよみがえり、生き方を変えた人たちによって、いのちを大切にする世界が取り戻されていきました。


 やがて、その青年が白髪の老人になった頃には、自然も回復を見せ、人々の顔にも生きる喜びが戻っていたのでした。


 伝説どおり、赤の精霊が戻ってきたときに、いのちの危機は救われたのでした。


 おしまいです。


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