01 クロネコサマ
「黒猫様、どうか私の悪夢を止めてください。」
そろそろ秋が終わる頃。
もみじや銀杏が落ちる古びた神社にひとりの小さな客が来ていた。
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「黒猫様ぁ!!黒猫様ァァ!!!」
俺はお社を駆け回り自分の主主を探した。
「我はここにおるわ!少しは静かに出来んのかお主は!ただでさえ昨日夜中走り回ってつかれてるのに!」
そう言いながらプンプンと怒る黒猫はこのお社に祀られていて俺の主である【黒猫様】。
「走り回ったのは俺も同じです!!そんなことより久々の依頼ですよ!!!」
そう告げると黒猫様はパァっと目を輝かせた。
「何!?依頼!?お賽銭はいくらだ!!!」
「2000円です!!!2000円!!!!」
「!!!でかしたカナメ!!!これで供え物生活も少し楽になるぞ!!」
そう俺らはこの1ヶ月感
近くに住むご老人達の定期的なお供え物で何とか生きてきたのだ。
「それで?依頼というのは?」
黒猫様は顔を洗いながら
俺に問う。
「えぇっと。。『私の悪夢を止めてください』だそうです。」
「…ほう。」
「やっぱり、妖が原因…でしょうねぇ。」
妖とは普段から人間と隣合わせで生きている。特に害を与えることはないが、まれにストレスを溜め込んだものや、心を病んだもの、死を近くで体験したものなどによく取り付いて悪さをする。
「カナメ。今夜潰しに行くぞ。」
「かしこまりました。」