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元最弱勇者はもう死にません  作者: 壱井佐久
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1話 最弱勇者と夢

目の前には、広い机を埋めつく程の食べ物達。見た事の無いような物から、何となく知っているものまで様々な種類がある。そして何と言っても目を引くのは俺の身長さえも超えるような肉の塊。俗にいうステーキ。

俺は、まだ肉を食べて胃もたれが…なんて年齢では無く、昔程ではないが存分に食欲があり尚且つ腹が減っている。そんな状態で目の前に巨大なステーキ、無意識に涎が出ていていくら袖でぬっぐっても、次々に溢れ出す。濃い狐色の焼き目、切り込みからジワリと溢れてきている肉汁、部屋いっぱいに広がり鼻を刺激してくる肉の香り。

俺は、肉にかぶりつき腹に納めようと一歩進める。が、俺は服のすそに引かれ進めなかった。何だ、何かに引っかかっているのか。そちらを向くと。俺の腰丈ほどの身長で艶やかでキラキラと光を弾いている髪を床につけている白髪の子供いた。その子供は、俺の服の端をしっかりと掴んでおり、離さない。顔は、長い前髪によって半分ほど隠れてしまっているが人形の様に整っており美しい。

この子は、誰だ? 少女を見ると、何故かモヤモヤとしたものが胸に溢れる。先程迄の空腹などは消え、吐き出せないモヤモヤに苛立ちも募る。

この少女は、何故ここにいるんだ。いやまずここは、どこだ。そうだ。ここは何処なんだ? 違和感も無くここに居たからわからなかったが少なくとも、俺の記憶では知らない。こんな豪華で税の尽くされた部屋、俺が訪れたことがあるはずないのに、何故か知っている気がするのだ。

何時来たのだろう。俺は何の為に来た。

俺が、一生懸命に思い出している間も少女は強く俺の裾を引く。

あぁ、やめろ。あと少しで思い出せる気がするのに。なぜ邪魔をする。俺が少女を止めようと下を見ると、少女は消えていた。その代わりに其処にあったのは、闇。何もかもを吸い込み溶かす様な人の形をした黒。ソレは、俺が認識した瞬間に食いつき、意識ごと飲み込む。

「 」

ハッキリと誰かの声が聞こえたのに、何を言っているのは分からなかったが、黒に塗りつぶされる中で無償に神経を逆撫でされる酷く憎たらしい笑顔が見えた。

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