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だから、チートじゃ無いってば!  作者: 瀬田 冬夏
第2章 ヒューモ族
98/143

独占欲①

まず間違いなく、エロ回。

R15ってどこまでだろうと、何度も書き直しました。


苦手っていう方はお控えください。

いや、もう今更じゃない? って方のみどうぞ。





















翌朝、お礼を言ってくるとゴドーは生命の樹木の所にさっさと行ってしまった。

 俺は相変わらずのくじ引きで、朝食係と観賞係を決めた。

 今日は俺が当たりで、ゴドーが祈りを捧げる後ろ姿を眺めている。

 今日はお礼があるからか、いつもよりも長い。

 四本目へのお礼が終わったあたりで料理が終わったらしく分身達がスキルへと戻る。

 祈るゴドーの姿は、聖女の様で、清らかなイメージがする。その白さを少し穢したくなった。

 俺のスキルなんだから、俺にお礼を言ってもよくね? っと思ったのもある。

 別にお礼が欲しいわけではない。ただ、あんな嬉しそうに見つめられるのは俺でも良かったのでは無いかという、独占欲だ。……嫉妬かも知れないけど。

 だから、ゴドーを後ろから抱きしめた。


「エド?」


 少し驚いた様だ。顔が向けられて戸惑っていたからその唇に触れる。

 ゴドーはさらに驚いたようだ。

 そして、魔が差した。

 ゴドーの胸に両手を置く。


「最近マッサージしてなかったよね。しようか?」

「こ、こんなところでか!? ぜ、ぜったいだめだ!」


 顔を真っ赤にし、首を横に振るゴドー。

 今までこういう事にノーという事も、ましてやこんな風に赤くなることもなかった。

 可愛いという思いと、穢したいっていう思いが強くなった。


 ああ、そうか。


 神官のゴドーは俺のものじゃない。

 太陽神と月神の物。


 独り占め出来ない領域。


 だから。

 独り占めしたい。穢したい。犯したい。


「エドッ」


 制止を促す言葉を無視し、服の隙間から手を侵入させる。

 なぁ、魅惑の芳香とやらよ。俺の感情でその威力が変わるっていうのなら、その全てでゴドーを蕩けさせろよ。

 何も分からないくらい、俺以外見えないくらい。

 俺に溺れるように。

 ゴドーの驚きの声が、甘みを含んだ声に変わっていく。


 もっと甘く、もっと艶やかに。もっと可愛らしく、もっと色っぽく。


「ゴドー、好きだよ。愛してるよ。そんな風に恥ずかしがるゴドーもそそる」


 ゴドーが神とあがめる存在にその体を押しつけて、俺に穢されればいい。

 神の前で、俺に犯されれば良い。

 ゴドー。大好きだよ。愛してるよ。病んでる俺を許してくれ。

 ゴドーを独り占めしたくてしかたがないんだ。

 だからもっと聴かせて。もっと啼いて。

 もっと堕ちてきて。俺の元に。

 俺はひな鳥だとしても、渡り鳥なんかじゃない。

 ゴドーの元から飛び立つつもりなんて更々無い。

 飛べない鳥で良い。

 だからゴドーも、一緒に居て。本物の天使のように、神の元に飛ばないでくれ。

 俺の傍に居て。俺のモノで居て。俺の全てを上げるから。


 俺の醜い独占欲の全てをゴドーに受け止めさせる。

 俺の物にならない領域を穢した事に、歪んだ笑みが浮かぶ。


 醜い独占欲だと思うけど、止められない。止める気もしない。

 ゴドーは許してくれるから。

 いや……許してくれなくてもしちゃうかな……。

 枷が外れた俺は、ほんと、危険人物だ。


「……信じ、られない……。こんなとこで、こんな事、するなんて……」

「怒った?」

「……少し」

「……嫌いになった?」

「……なれるわけがない」

「じゃあ、ごめん。反省できないかも」

「エド……。君な」

「無理だよ。ゴドーさん可愛すぎだもの」


 言いつつ、唇を重ねる。何度もついばむように。


 ゴドーも叩くなり、押しのけるなりすればいいのに。

 駄目だよ、ゴドー。言葉だけじゃ(そんなんじゃ)、俺、止められないよ?


「愛してるよ、ゴドー」

「……その言葉を免罪符にしようとしてないか? 君……」

「してるかも。でも逆に言えば、ゴドーもその免罪符を持ってるよ?」

「…………」


 ゴドーは俺を見て、ため息をついた。


「甘いって分かってるんだけどな……」


 そんな言葉に俺はちょっとだけ笑ってしまった。ホント、甘いね。

 もう一度キスをして、抱きしめる。


「ごめん。ありがとう」


 謝罪と感謝を告げて、ゴドーを抱き上げて家へと戻る。

 ゴドーは疲れたように俺にもたれて、そんな姿に俺は余計嬉しくなって。


 この事によって起こる出来事なんて、欠片も想像なんてしてなかった。






 翌朝。くじ引きに負けた俺達は、悲しい思いをしながら朝食を作ってた。

 また手を出しちゃうかもしれないけど、どうせなら観賞してたかった。と。

 しかし。


「シム!? どういうつもりだ!?」


 突如後ろから聞こえてきた怒鳴り声に俺達は慌てて振り返る。

 分身二号がシムに対して怒鳴っていた。


『ゴドー様に必要な事なのです。邪魔はしないでください』


 シムの言葉に分身二号は顔を歪ませた。

 怒りとか憎しみとかそんなのをどれだけ乗せればあんな顔になるのか。自分自身驚いていると分身二号は俺を見て、即座にスキルに戻った。

 そして、俺も、彼が憤怒した内容を知り、即座に転移する。

 転移と共に攻撃する。それはシムが発動させた異次元結界に防がれる。


「シム、どういうつもりだ」

『ゴドー様とこれからずっと一緒にいるために必要な事なんです。邪魔しないでください。マスター』

「ふざけるなよ、シム。好きな人が目の前であんな目に遭ってて、助けるなってか?」


 シムの権限を剥奪していきながら俺は答える。

 シムは抵抗しようとしているのだろう。でも、お前は俺のスキルだ。逆らう事なんて許さない。

 シムの権限を全て剥奪し、眠らせる。

 そして、ゴドーを助けるために力を放った。

 しかし、それは、ゴドー自身に弾かれた。

 それどころか、俺を結界に閉じ込めて手出し出来なくさせた。


「ゴドー!?」

「……おち、つけ……私は、大丈夫……だから」

「全然大丈夫じゃないだろ!? なんだって生命の樹木に根っこ(触手)プレイされてて大丈夫なんて発言になるかな!?」

「シムに……聞け」


 ゴドーはそれきり口を閉ざした。自分に巻き付いている根っこに、声をかみ殺していた。


「シム!!」


 怒鳴る形でシムを起こす。


「どういう事だよ!?」

『今、マスターはほぼ『神』なのです』

「はぁ!?」

『創世神になる条件を全て満たしているのです』

「なんでだよ!? 俺はあれからレベルを上げていないぞ!?」

『神に至る条件は満たしていませんが、創世神になる条件は全て満たしているのです。この世界、そして生命の樹木による既存の動植物の誕生。そしてまったく新しい種の誕生。マスターが神になるつもりが今の所無かったために、生命の樹木達は人に至る種子は飛ばしていませんでした。しかし、ゴドーさまのお腹には今、新しい命が宿っています。それらは生命の樹木達の働きによって生まれてくる子供です。この世界で、人となる種が出来た。それにより、マスターは創世神の条件を満たしてしまいました。マスターは今、何がきっかけで神に至るか分かりません。もし、元の世界で神に至った場合、あの世界から自動的に追い出される可能性があります。マスターが神になれば農園はスキルという枠組みをこえ、昇華し、正真正銘の神が存在する異世界へとなります。マスターが神に至った場合、今までマスターと紐付けしてあったスキルのリンクは全て切り離され、主無しのスキルになるでしょう。そうなればゴドー様は転移スキルを持っていたとしても、マスターの元に来られません。いくつもの異世界を渡り歩かなくてはなりません。それが何年、何百年となるかも分かりません。ゴドー様はそのしるべとして、マスターの神の力をその身に宿す事にしたのです』

「それが、なんでこんな事になってんだよ!」


 言いたい事は分かるが、目の前の光景は納得出来るものではない。

 結界を叩くがびくともしない。

 一番強固な結界を張ったのだろう。

 それだけゴドーはこの事を必要としていてるのだろう。


「生命の樹木が必要ってんなら、スキルがあるだろ!?」

『命を生み出していない生命の樹木は、ただのスキルです。神の力など宿していません。今、ゴドー様に力を授けようとしている生命の樹木は、ゴドー様に果実をあげた樹木。この樹木の力だけは絶対に取り入れなくてはなりません。マスターが神となり、その隣をゴドー様が歩むとすれば、ゴドー様もまた神に至らなくてはなりません。マスター、ゴドー様とこれからもずっと一緒に居たいと思うのならば、我慢してください』


 シムの言葉に俺は胸が痛かった。肺が痛い。涙が出ていない事がいっそ不思議だった。

 そんな光景を俺はただ見せつけられている。

 ゴドーが張った結界を引っ掻く。邪魔で、引き裂きたくて、ゴドーの感じている様を見せつけられて、頭がおかしくなりそうだった。

 

 ゴドーを犯していた木が強く発光し、上からおぼろげに光に溶けるようになっていき、最後にはゴドーに巻き付く根っこだけになり、それも消えていく。


 ゴドーは地面に座り込み、肩を上下に大きく動かしている。

 結界は、まだ消えない。

 内側から結界を強く叩く。

 その音が聞こえたのか、ゴドーが振り返る。

 その顔を見て、俺はぞっとした。

 蕩けきった顔。潤んだ瞳。赤く染まった頬。まだ夢の様な興奮の中にいるその表情。

 

「……ど」


 その唇が、俺の名を綴った。


 呼んでいる。俺を。


 そう思ったら、目の前の結界が邪魔で。

 頭に血が上る感覚と同時に何をすれば良いのか瞬時に理解する冷静さとその両方を感じながら、俺は結界の解析を一瞬で済ませ、叩き割る。

 軽い音を立てて、結界は崩れていき、俺はゴドーに駆け寄ると抱きしめる。

 ゴドーは俺を抱き返しながら、熱を持て余し、俺に体をこすりつけてくる。

 俺は即座に寝室へと転移して、ゴドーの唇を奪う。

 無理矢理与えられた快楽と興奮が落ち着くまで、俺は何度でもゴドーを抱いた。

 ゴドーが俺の名前を呼ぶ度に苦しくて、キスをした。


「愛してるよ。愛してるよ。ゴドー、ごめん。ごめんな、ゴドー」


 俺は謝る事しか出来なかった。




 俺の腕の中にゴドーは眠る。

 ゴドーが落ち着いて、俺は再度、シムに説明をさせた。


 生命の樹木はそもそも、スキルとして存在しても、それを根付かせる事が難しい。農園が一つでは無理だし、元の世界では植えることも出来ない。

 あくまで神に至る条件として存在するだけのスキルに近い。

 でも俺は、蘇生薬欲しさに生命の樹木を根付かせる方法を探した。

 農園を繋げて一つの大地にし、大陸へと変え、世界へと変えた。

 生命の樹木は根付き、新しい世界に俺が望む物を創り出し放出し、新しい命がこの世界で生まれる。

 この時点で俺はもはやこの世界では「神」なのだそうだ。

 実際、この世界で、俺にやれないことは無い。大陸を増やすことも、消すことも出来る。

 そして俺はこの世界で、ゴドーのためにと全く新しい物を作り出した。創造した。

 俺はそうやって着実に創世神としての道を進んでいたようだ。


 眠るゴドーの髪をすく。

 

 でも、喩え、それを知っていても、ゴドーのためなら、俺はしただろう。

 それが分かっていたから、俺は黙っていただろうシムに何も言えなかった。


 ゴドーと一緒に居たい。それが何よりも優先される大事な事。


 だから……これからも一緒にいるためには、我慢しなきゃならない。

 残り四本も。

 …………。

 ……………………。シム。やっぱり無理だって言いそうな気がするんだけど……。

『我慢してください。ゴドー様と末永く一緒にいるために必要なのですから、それに生命の樹木は貴男のスキルです』

 いや、分かってる。それは分かってるんだけど……。


「……ん」


 ゴドーの目がうっすらと開く。


「ゴドー、大丈夫?」

「…………あまり……大丈夫ではないかもしれない……」


 ため息を一つついて、ゴドーは右耳にあったイヤフォンを外す。

 

「シム」

『はい、ゴドー様』

「……無事、エドの力を取り入れる事が出来たようだ」

『そのようですね、ゴドー様。明日は念のために休みましょう』

「……そうした方がいいのかな? 焦って体を壊すわけにはいかないし……」


 ……あれ? ゴドー、イヤフォン外したのにシムと会話してる?


 俺の視線に気づいたのだろう。ゴドーは俺を見て微笑んだ。


「この世界の中なら、エドが許可してくれたスキルは、私にも使えるようになった。微々たるものだけど、シムとの会話くらいなら問題ない」

『生命の樹木を取り入れるごとに力が強くなっていくはずです』

「だから、エド……明後日、邪魔するなよ?」

「えー……無理だよ絶対無理だよ~」






 そして二本目。


「なぁシム! やっぱあのエロ木燃やして良いか!? 木っ端みじんにしても良いか!? 灰も残らず焼き払っていいか!?」

『駄目です』

「……エド……、邪魔……するならンっ。……家に戻ってろ……」


 なんて、俺の愛しくて愛しくていとしー人が冷たい事を言う。

『そもそも、マスター、自業自得です』

「なんでだよ!!」

「あのな……、きみ、が。ここで、私に手を出さなければ……」


 ゴドーの言葉はそこで止まった。もはやしゃべるどころではないらしい。


『マスターがここで恥ずかしがるゴドー様に、欲情し、押し倒したりしなければ、彼らは、ゴドー様の欲情した表情に興味は持ちませんでした。まごうこと無く自業自得です』

「うわぁぁぁぁん! だって真っ赤になって恥ずかしがるゴドーなんて超貴重じゃん! かわいいに決まってるじゃん! 欲情しちゃうに決まってるじゃん!」

 

 うおぉおおお! 数日前の俺を呪う!!


「っていうかさ、ゴドー! それ、巻き付いてるだけだよね!? 入れられてないよね!?」

「……シム、こういう時は……」

『ノーコメントで、と』

「のーこめんとで」

「アウトだろ、それ!! つまり!!」


 でも二人は許可しない。シムも今回ばかりは俺の味方をしてくれない。

 これで邪魔したら俺は家に戻ってろって転移させられる可能性がある。

 見たくないけど、俺が見てないところでゴドーに悪さされるのはもっと嫌で俺は堪え忍んでいる。


 エロ木の目的はただ一つ。

 ゴドーの悦に入った表情を見たいだけである。

 そのため薬で無理矢理興奮するように、根っこ共から力が送られているそうだ。そしてそれはゴドーが耐性の持っている月の力では、無い!

 似たような力であってもツキヨちゃんの力じゃないから、ゴドーはもろにその力の影響を受ける。

 ゴドーの表情が変わって、口から声が漏れ出す。それでも数分は耐えた。

 頑張って、耐えた。


「だぁぁぁぁぁ!! もう無理ぃぃいいい!」


 俺が怒鳴った所でゴドーに悪さをしていたエロ木が発光し、てっぺんから消えていき、巻き付いている根っこだけが残って、それも消えていく。

 ゴドーは地面に座り込み、俺はそんなゴドーの元に転移し、浚うように家へと転移した。

 そして、あのエロ木のせいで偉いことになってるゴドーをベッドへと押し倒す。


「え、ど。エド……」


 俺に抱きつき、体を寄せてくる。ゴドーがうわごとの様に俺の名前を呼んでキスをしてきた。

 あのエロ木のせいで無理矢理興された欲求が落ち着くまで俺はゴドーを愛してやることしか出来なかった。





「……ここまでしなきゃ駄目なのか……?」


 ゴドーの膝枕にややうつぶせで寝転がりながら俺は呟く。


「彼らの力を貰うのが一番手っ取り早いんだよ」


 俺の頭を撫でゴドーが俺を慰めてくる。

 立場が逆だろ? って言われそうだが、そんな事は無い。これできっと正しい。俺としては、あのエロ木共を全部灰にしたいのだから。いや、灰すら残したくない!


「それともエドは、私と一緒に居たくないのか?」

「居たいに決まってるじゃん。ゴドーが居なきゃ嫌だ」

「うん。なら我慢しろ」

「…………うぅー……」


 納得は出来なくて、確かにゴドーが言うようにこれは「我慢」なのだろう。

 うめき声ばかりが出る。

 それでもなんとか気持ちを切り替えるために、息を吐き尋ねる。


「お腹の子には影響ない?」

『清潔の魔法を使い害になる物は全て除去してます』

「それに浅い部分にしか入れられてないし」

「やっぱりいれてんじゃないかぁぁぁ!」

『ゴドー様、うかつすぎます』

「ああ、ごめん、シム」


 うがぁぁあって叫んで体を起こした俺に、二人はのほほんと会話をしている。


『マスター。今ある五本の力をゴドー様に譲り終えましたら、また五本植えて頂きますので』

「え!? まだやんの!?」


 ゴドーの膝に寝転んでいたのだが、思わずまた体を起こし叫ぶように聞き返す。


『今度はあのような事はしないでくださいね』

「しません! 絶対にしません! もうしません!!」


 頭を何度も下げる俺。

 ゴドーは俺とシムのやりとりに笑って、また膝を叩いたので俺は寝転ぶ。すぐにゴドーの指が俺の髪をいじり始めた。


 まだ三回もあんな光景を見なきゃならんのかと思うと、もうホント、後悔先に立たず! って言葉を嫌でも理解した……。






えー、まず先に。

生命の樹木に関しては。

2回ランダムアプリを使っております。

一回目は、「どうせアタリスキルなんて出ないし~。イチャラブ書きたいなぁ~」とちょこっとフライング気味に書いてた時。三択でした。うち、根っこでいたずらされるのは三分の一の確立でした。

ばっちりいたずらされるという結果が出ました。


二回目は今回。

話の流れ変わったし、エドは間違いなく独占欲を発揮するだろうから、ゴドーさんには悪いが食われてくれ。生命の樹木はもう一度ランダムアプリ様にお伺いするか。とやったら、確かに二分の一でしたが。

同じ結果に。


頑張れ、ゴドー。



明日は土曜日だけど、更新しようかな。独占欲②を。

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