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だから、チートじゃ無いってば!  作者: 瀬田 冬夏
第2章 ヒューモ族
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魅了と依存

イチャイチャタイムです。




 適当に一ヶ月と言ったらあっさりとゴドーさんが承諾してしまったので、俺は嬉々として、二人で過ごす家の中を色々変えた。

 家具もそうだが、風呂をちょっと広めにしたり、二人で眠るための寝室ももう一つ作ったりした。

 あとはリビングの家具も総入れ替えである。その内の一つ、ソファーに俺は寝転がる。ゴドーに膝枕をしてもらいながら。

 御御足様最高~。と内心デレッデレだった。

 でも、最初は幸せいっぱいだったそれも、今は苦い気持ちが胸を占めていて、まともにゴドーの顔を見られない。


「つまり……、『魅惑の芳香』には依存効果がある、と」

『はい。それが前に月神が言っていた、『ハーレムの一員であるというだけで至福を感じる』事の理由だと思います』

「ふむ」


 シムの報告を聞く俺とゴドー。俺はもう途中から言葉を無くし、ただ聞く事しか出来なかった。


 シムが調べた結果。魅惑の芳香には複数の効果があって、それは発生主の感情に左右されるとの事。

 芳香という名前がついているからか、それらは花の形をしているらしい。

 マンガで花トーンが使われてるイメージか、柔軟剤のCMみたいなものですって言われた。

 それを聞いた時、俺、花しょってんの? どこぞの少女マンガのヒーローだよ。もしくはヅカか? とか笑ってられたのだが、その効能を聞いてからは笑えなくなった。


 魅惑の芳香は、感情と結びついてるらしく、平時であれば、居心地の良い空間を保とうとする花が咲いており、好みの者が傍に居る場合は、その人物が自分の事を好きになるようにと魅了効果がある花が咲き、ヤってる最中には興奮作用のある花が咲くらしい。

 隠しアビリティと言われている通り、ヒューモ族全員にこの効果があるわけではないらしい。ステータスの生命や魔力などの項目が何か一つでも千を超えると発生し、千を超えた項目が多い方が威力が増す。そして数値によって威力が増す。

 俺はその両方ともアウトである。


 そんな俺が、なんで今更これが発動したか、というと、短命種だったのが理由だ。

 ツキヨちゃんはきちんとすべき線引きはしてたらしく、これ、子供は発生しないし、また子供には影響がないらしい。

 俺は、カンストした当初は、見た目は成人してたけど、中身、内蔵というべきかそのあたりは成人してなかったらしい。

 で、中身が成人した頃には、俺は少しずつ体と心とのバランスが崩れてたらしい。

 つまり、密かにゴドーに恋をしてた、ってわけだ。

 思い当たる節はある。「ゴドーが女だったらなぁ」って冗談交じりに思う事はあったのだから。日本人である性格は、それを冗談で終わらせようとしたが、ヒューモ族の体は、たぶん、冗談で終わらせられなかったのだろう。

 そうやってバランスが崩れた俺は、ちょっとずつしか『魅惑の芳香』が体外に放出されず、シムにとってそれはただのフェロモンぐらいにしか認識出来なかったそうだ。

 

 でも、放出されてたのは、放出されてたのだ。

 

 つまり、ゴドーは……。


 思い至った事に、ぞっと肝が冷えていく。

そんなつもりがなくても、そうなるのがこの『魅惑の芳香』なのだ。

 だからシムは農園から出るなって言った。

 

俺が、自覚も無しに周りを魅了しないように。


「エド、変な事を考えてないか?」


 髪の毛をツンっと軽く引っ張られながら、尋ねられたが、俺は答えられない。


「一応言っておくが、私はその魅惑の芳香とやらの影響は、一時的ならともかく、ずっとはないぞ?」

「…………なんで、そんな事が言えるんだよ」

「魅惑の芳香が月の属性のようだからだ。太陽で打ち消される」

「……本当に?」

「ああ。たぶん、こうすると消えるんじゃ無いか?」


 そう言ってゴドーが手を上にかざして、太陽よ。って口にした。

 部屋が光の魔法でも使ったかのように明るくなった。それはすぐに消えたが効果はばっちりあったらしい。


『魅惑の芳香の消滅を確認しました』


 シムがそう告げてくる。どうやら本当にゴドーはその効果を消せるらしい。

 それなら確かにゴドーは『魅了』されているわけではないのだろう。それは嬉しい。

 嬉しいのだが。ちょっと複雑な気分も味わった。

 魅了されていないのは素直に嬉しい。それは間違いない。

 ただ、ゴドーと一緒にいる時、俺の『魅惑の芳香』の花の形って、真っ赤な大輪の薔薇らしいんだよね。

 花言葉をほとんど知らない俺でも赤い薔薇の意味ぐらいは知ってる。

 そういう意味で薔薇に変わっていると思って間違いないらしい。

 それをゴドーに消されるのは地味にクル……。


「じゃあ、これで『魅惑の芳香』は無くなったって事か?」

『いえ、蓄積されていた分がまた放出されてます』

「…………」


 えぇー……。じゃあ、またゴドーに消されるの~? 地味にへこむんだけど。


「なるほど、確かにこれでは、元の世界に戻るのは危険かもな」


 ゴドーはそれだけを言って、俺の頭を撫で始めた。


「……消さなくて良いの?」

「エドが急いで帰りたいというのなら、協力するが?」


 ……その言い方は、ずるいなぁ。


「協力は不要です」


 俺はもっとゴドーとイチャイチャしたいので、顔をゴドーに向けてそういうと、ゴドーは嬉しそうに笑って、俺の髪を梳きながら頭を撫でてくる。


 ぐはっ。俺の天使はやっぱり可愛い!!


 謎なダメージを受ける俺。

 なんかもう……、知ってたけど、俺、ホント、ゴドーに弱いなぁ……。

 魅了は嫌だけど、依存は構わないって思う俺が居る。

 色々吹っ切れた後の自分は割とヤバイと思う。

 ゴドーを見上げていると、ゴドーは首を傾げてきた。

 俺は首を小さく横に振り、ゴドーの服を見る。

 新しい素材が出来るまで、ゴドーには、シムの指示の元、俺達が作った服を来て貰っている。それらは割と白が多い。

 今ゴドーが来ている洋服も白を基調とした淡い色の服だ。

 配色もシムの指示だったので、俺はシムの好みなのかなって思った。

 確かに好みなのだろう。シムの大元()の。

 俺色に染めたいっていう。独占欲。

 特に女ゴドーにはそれが顕著に出てる気がする。

 だって、ゴドーが俺のためになってくれたわけだし。


 俺のものだ! って声に出したいくらいで。


「なぁ、ゴドー。もしかしたらさ、ゴドー的には嫌かもしれないけど、俺、ゴドーの中身も好きだけど、外見も好きだよ」


 顔のせいで左遷を二回もする事になったゴドーにとってはあまり褒め言葉にならないのかもしれないけど。


「そうなのか?」

「うん。特に女のゴドーは、他のヤロー共には見せたくないくらい」

「そうか」


 ゴドーは楽しげに笑っている。


「エドに言われるのなら全然苦じゃないな」

「ホント?」

「ああ。エドに好きと言って貰えるのなら、この外見で良かったと思うくらいだ」

「現金だなぁ」

「そうだな、私自身そう思う」

「でもそんなゴドーも好きだよ」

「それは、良かった」


 うん。ホント好きだよ。

 キスしたり、襲いたくなるくらいには。

 「好き」「愛してる」なんていう恥ずかしい言葉を、連呼したくなるくらいには、惚れてると思う。

 

 だから、真面目に結婚したい。

 独り占めしたい。

 俺の奥さんです。ってドヤ顔したい。

 

「神官の結婚ってどんな感じなんだ?」

「詳しくは知らないが、神に誓いをたてるというのは聞いた事がある」

「……俺とたててくれる?」

「喜んで」

 

 そんな言葉に俺は体を起こすとゴドーに抱きつき、キスの嵐を見舞わせる。

 ゴドーは笑ってそれを受け入れる。


 シム~。どうしよう、幸せすぎる。

『良かったですね、マスター』

 うん。俺、これからもどんどんゴドーに貢ぐ~。

『マスターらしいですね』

 なんせMPで出せるからな。一分待てば回復するし。

『幸せついでといってはなんですが。もしかしたらこういう事も喜ばれるかも知れません』


 と言ってシムが未知なる白板で表示させてきたのは……。




 彼氏に揉んで貰おう! ヒューモ族の正しいバストアップ方法。




 というタイトルが付いたマッサージの絵図だった。


 ……まあ確かに、喜ぶかも知れないけど。なんか本当に気にしてるし……。

 っていうかコレ、調べたの?


『ゴドー様の事を改めて調べていた時に、森羅万象(向こう)から送られてきました。二柱のどちらからか、あらかじめ指示を受けていたようです』

 …………ツキヨちゃんか?

『だと思います』

 

 何考えてるんだろうねぇ、あの神様。

 そう思いつつも俺は、未知なる白板をゴドーにも見えるようにする。


「あー……ゴドー、シムがこういうのもあるって教えてくれたんだけど……」


 ゴドーの目が文字を追うごとに輝き出す。


「えっと……」

「エド! ぜひ、これをしてくれ!!」


 …………俺、そんな目をされるほど、女の人の胸、目で追ってたかなぁ……。


 ゴドーの反応に、むしろ俺の方が傷つきながら、それでも、ゴドーが喜ぶのならと、喜んでマッサージさせていただきました。

 

「エドが好きな大きさになるまで、毎日やろうな」


 笑顔でそんなこと言われると、嬉しい反面ちょっと悲しいです。

 悲しいけど揉みます。だって男の子だもん。

 



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