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だから、チートじゃ無いってば!  作者: 瀬田 冬夏
第2章 ヒューモ族
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懺悔

お待たせしました。ただいま(第一部)ラスト部分で詰まってて、更新遅れてます。

書きためるというよりも、有る一定まで書いていき、コレで大丈夫だよな? と確認作業を行っているせいです。

その一定までが中々進まない。GW中には終わらせたい。じゃないと仕事始まってからはもっと無理になってしまう……。頑張ります





「嫌にならねぇ?」

「何がだ?」

「だって、女じゃなきゃ嫌だって、だから女になれなんて言われるのは嫌じゃないか?」

「私は別に。エドと違って、生まれも育ちもこの世界の者だからな。私からするとエドが拘る理由が分からない。私としては、もしこれでエドのハーレムの末席にでも入れて貰えるのなら、胸が躍る気持ちだ」

「……末席?」


 自分の耳に入ってきた言葉が理解出来ず、思わず聞き返す。


「そうだ」

「……それ、本気で言ってる?」


 いつもと変わらない表情のゴドーに、わき上がる感情。それはどす黒い怒り。

 胸を占めるこの想いを。その程度だと思われている事に。腹が立つ。


「……駄目だろうか?」


 ああ、不味い。これは、不味い……。

 俺は、ゴドーに怒鳴る資格なんて無いのに。気持ちを伝えてないのに、『なんで』なんて言ってはいけない。怒鳴ってはいけない。

 分かってるのに、納得出来ない。許せない。止められない。


「……なら、変わればいいじゃないか」


 言って立ち上がる。

 ゴドーを無表情のまま見下ろす。そうじゃないと怒りの形相で睨み付けてしまいそうだ。


「エド?」

「今度は止めねぇよ。んで、後悔でもなんでもすればいいんだ」

「……後悔、か?」


 聞き返すゴドーに俺は何も反応を示さない。

 ゴドーは戸惑った表情を見せていたが、結局は呪文を口にする。


「……『私は目であり、耳であり、口である』」


 ゴドーの姿が淡い光に包まれて、女性になる。ヒノワだろう。そして、彼女からツキヨになった。このパターンは初めて見たな。

 そしてその姿もすぐに変わった。


 そこに居たのは、確かにゴドーなのだろう。

 骨格から変わったのか、少し背が縮んで、華奢な感じになってて、けして、『女装』などではない。

 何も知らなきゃ、ゴドーの妹にしか見えない。

 ああもう! 分かってたけど! 美人だね! 本当に!!


 俺はすぐさま視線をゴドーの顔からはずす。

 じゃないと 見惚れる自信があった。

 あるに決まってる! ゴドーの格好良さは十二分に知ってるんだから!

 金の髪に夕焼けの青と赤が混じった美しい紫の瞳。

 目鼻立ちの整った顔は、一つ一つのパーツが美しく、かつ、黄金比の比率で配置されているに違いない! と思わせるのだから。

 それの女版よ? 見惚れないわけがない。よって! まともに顔は見ない!!


「終わった?」

「ああ、終わった」

「そう、じゃあ」


 ゴドーを範囲内に入れて俺は農園へと転移する。

 ゴドーはベッドの上に落ちて、俺はその上に覆い被さり、ゴドーを押さえ付ける。


「俺がどんだけゴドーの事を好きか教えてやるよ。二度とハーレムの末席だとかなんとか言い出さないようにな」

「…………怒っているのか?」

「怒らないはずがねぇだろ?」

「……私が、エドの愛を末席程度しか貰えないと言った事にたいしてか?」

「そうだよ」

「そうか……」


 怒りの俺にたいし、ゴドーは笑みを浮かべた。

 眉を寄せて、顔をしかめた俺にゴドーは腕を伸ばしてきた。


「それは嬉しいものだな」


 そう言って引き寄せられてキスされた。

 俺、怒ってるんだけど?

 って、言いたいのに、言えなくなった。キスにほだされてしまったからだ。

 嬉しそうにチュッチュッとしてくるんだよ。

 あ、可愛い。

 と、思ったら怒りが消えた。綺麗に消えた。そして逆にわき上がってくるのは愛しさだ。

 あれほどどす黒いイメージすらあった怒りが消えたら、ゴドーが可愛いとしか浮かばなかった。

 ああ、もう、俺がどんだけ好きだと思ってるんだよ。と、ゴドーに対し、愚痴りたくなった。


 だから逆に俺はゴドーに手を出さなかった。かわりに渡していた転移のアクセをゴドーから外す。

 これで、軟禁完了。

 ゴドーはこの世界じゃ神は呼べないみたいだし。転移のスキルを貰うこともない。

 さて、いつ頃それに気づくだろうか。

 きょとんと、しないのか? と聞いてくるゴドーに、しないよ、と答えて、ベッドから降りる。

 ゴドーからすれば戸惑う事ばかりだろう。

 俺はヒューモ族の体に流されてばかりだったのだから。

 知るもんか。

 こうなったら徹底的に女の子扱いしてやる!


 まずはシムにゴドーの洋服を下着から一式準備して貰った。

 下着は白で嫌がらせのようにレースたっぷりだ。

 もちろんブラだって渡したし、洋服はスカートで日本風じゃ!!

 着慣れぬ服に羞恥心を---。


「エド、これ、何だ? あと、これも何か分からない。どうやって着るんだ?」


 ゴドーの困った声に俺も固まった。

 ……そりゃ、見慣れないってことは、着方も分かんないよね……。


 ……ブラの正しい着け方の説明は、流石に俺にもハードルが高かったです。

 女の人みんなあそこまでしてんの?

 って頭の下がる勢いというか、そこまで肉集めんの!? って思ったけど、シムは許してくれなかった。


 形が崩れます!!


 と、言って徹底された。

 そう言われたら俺も従わざるえなかった。ゴドー、次は一人で頑張れ。




「エド、言われた通り着たが……、足がスースーする」


 丈の短いスカートを伸ばそうとしてるゴドー。

 あえて今回は特に短いミニだ。

 恥ずかしがればいいと思って。が、しかし、俺はそこに立ったゴドーを見て衝撃を受ける。


 なに、この御御足(おみあし)様。


 俺、足フェチじゃないけど、一気にそっちに走ってしまいそうなその足!


 ふぁ~~~! なにこれ凄い! 誘惑が。ああ、やばい、ちょっと変態チックな事考えてしまう!

 これ、絶対口にしたらアカンってタイプの願望だよな!?

 ああ、でもちょっとぐらいその御御足で---。


「エド?」

「はっ!」

「どうかしたか?」

「ナンデモナイデスヨ!?」


 思わず片言口調になった。

 しかし、そんな俺を見てゴドーの表情が曇る。


「やはり、小さいか?」

「へ?」

「胸、こうやって見ると特に小さく感じるよな……」


 そう言ってゴドーは自分の胸を押さえる。


「エドは大きい方が好きだろ?」

「ふえ!?」


 待ってくれ。嫌いではないけど、好きだとおおっぴらに言った覚えもないよ!?


「ごめんな」

「いや、いや、別に大きい方が好きって言ってないだろ?」

「そうか? わりと大きい人のを目で追ってる気がしたが……」

「!!」


 な、なんて、事だ。


「そ、そんな事ねぇよ! それより少し散歩しようぜ!」


 ゴドーの手を取り、俺は歩きだす。

 なぁ、シム! これで誤魔化せるかな!?

『無理だと思います』

 ゲフ。そこで止めをさすのは止めよーぜー。ホント。


 味方がいない。と、内心泣きながら、俺達は小屋から出て、農園の中を散歩する。

 月明かりに照らされて、蛍が舞う、綺麗な湖畔に行ったり、高台に行って、星を眺めたり。夜の闇の中、仄かに光る生命の樹木、超特大版を見に行ったりした。

 つまり、夜のデートである!


 巨木を背もたれに、少し休憩する。

 ゴドーは巨木に額を付けて、目を閉じてる。


 何か話ししてるのかね?

『どうやらそのようです』

 え!? マジで!?

『ゴドー様には、『言語』スキルはないので、神官スキルでしょうか。生命の樹木は御神木と言われ、一応カテゴリー的には『神』になるので』

 へー。……何か嬉しいことでも言われたのかね、嬉しそうにしちゃって。

『スキルに嫉妬ですか?』

 ……ほっとけ。


 言われて気づいた。確かにちょっと嫉妬した、と。


「エド、ありがとう」


 何に対してのお礼なのか、ゴドーはそう言って、俺の所に戻ってきて座る。

 飲み物を渡せば素直に飲んで、返してくる。

 受け取りしまうと、ゴドーはそっと手を握ってきた。


「……良いんだよな?」

「勿論」


 ゴドーはほっとした後嬉しそうに笑う。

 そのうち、その『ほっ』がなくなると良いな、と、思う。


 座って暫くするとゴドーは船をこぎ始め、十分もすると寝てしまった。

 ゴドーを抱き寄せて小屋へと転移する。

 小屋は平屋から、二階建てに変わっていた。

 小屋も農園スキルの一部なので、この辺の変更はお手のものだ。


 二階の一室にゴドーを寝かせる。

 ゴドーのためのセーフティーとして用意させた部屋。

 今は例外として、基本はゴドーの許可無く俺は部屋に立ち入れないようにする。

 軟禁状態だからこそ、必要な場所だろうと作った。

 だから、食料庫と、バス、トイレもこの部屋に隣接する部屋として作ってある。

 その気になれば、俺に会わずに何日も過ごせる。そういう部屋だ。


 俺はしばしゴドーの寝顔を眺める。

 ゴドーの面影なんて、髪の色くらいしかないんじゃないかって、いう姿。

 頬に指を当てる。

 柔らかな感触がした。

 男性ゴドーの頬とはやはり、少し違う。


 泣く資格なんてないのに、泣きたい気分になった。


 ゴドー。


 声をかけたら、起きてしまいそうで、声をかけられない。

 でも、呼びたい。

 俺の名前を呼んで欲しい。

 でもその声だって、俺が聞き慣れた低くどこか柔らかい声ではないのだ。


 目の端から、涙が一筋零れた。

 それを拭い、シムに命令を下す。

 俺に泣く資格なんてない。この体は意志一つでは泣くことの我慢すらそうそう許してくれない。だからスキルを使う。


「……なぁ、ゴドー、知ってたか?」


 堪えきれずに俺は眠っているゴドーに声をかける。


「やろうと思ったら出来たんだよ……」


 懺悔なのだろうか、これは。


「……女の人を抱いても子供を作らせないようにする方法も、体の衝動を抑える方法も、俺は気づいてた。でも、やらなかった。そんな事したら、ゴドーを衝動で襲う理由が無くなるだろ? 俺は俺の気持ちが誰に向いているか、分かってたよ。だから全てを無視したんだ。どうすることも出来ない衝動にし続けた。バカだよな……。そんな俺の願いを叶えるなんて。いつも、言ってるだろ。俺は、優しい人間じゃないって」


 眠ってる相手にこんな事言っても仕方がないのに、でも、眠ってるからこそ言える本音。


「愛してるよ、ゴドー」


 眠るゴドーにそう告げて部屋から出る。

 落ち込みそうになる気持ちを上げるために、俺は顔をあげ、階下へと降りていく。





副タイトル「エドはちょろい(笑)」をお送りしました。


なんか書いてて、ここら辺の話、第一部っぽいな。って思ったので、これは第一部にして学校編(?)は第二部にしよう。とか考えている。

いや、学校編というのとはまた違う気がするけど……。



2017/06/03 結局スキルを一生懸命育てるぜってあたりを第一章、ゴドーが宣教師になってからを第二章に。

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