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だから、チートじゃ無いってば!  作者: 瀬田 冬夏
第2章 ヒューモ族
87/143

商人ギルドにやってきた。(加筆しました)

金曜日分です。

間に合わなかった。



4/29 加筆修正しました。



 昼前、俺はルベルトから貰った書類を持って商業ギルドに行こうかと思ったのだが、ミカが声をかけてきた。


「例の裁判が今日の昼過ぎになったらしいんだけど、エド達は当事者なんだろ? 行くの? 行くのなら、付き添いとして行くけど」

「今日裁判だったんだ?」


 なるほど、だから明日は忙しいって言ってたのか。


「いや、かなり早まったみたい。早くて来週って聞いてたし。トキミ様が頑張ったんだと思う」

「へぇ。こっちの世界の裁判ってどういうものなの?」

「国と神殿で、裁判の仕方はかなり違うよ。国だと弁護士とかそういうのが出てくるけど、神殿のだとそういうのないし」

「ないんだ?」

「うん。トキミ様自ら、犯行全て洗い出しするから、言い逃れも、えん罪もない」

「それは……確かに八方ふさがりというか、最後の審判だなぁ……」


 なるほど、だからあんな疲れた顔してたんだ。

 納得した。


「あー、でも、俺、商業ギルドの方に行かないといけないから、行けねぇわ。他のメンバーに声かけて行くっていうのなら連れてって貰っても良いか?」

「わかった」


 ミカは頷いて、『じゃあ、気をつけてね』と俺に一声かけて戻っていった。

 ……なんだろう、この今までとの差。

 そう思いながら城から出て、商業ギルドの方へと転移する。

 歩くの面倒だよ。城から門までも結構距離あるんだもん。

 『隠密』と『影が薄い』っていうスキルを使えば劣化番の黒子並の力はあるから転移先で誰かに見られたとしても大騒ぎされる事はないってなると転移しちゃうよね。


 俺はルベルトが持ってきた書類を見ながら商業ギルドの建物に入っていく。


 それにしても……ルベさん、これマジか?

『商業ギルドで邪険に扱われる事はないかと』

 そうかぁ? 俺は逆に偽物だろって言われそうな気がするけどなぁ。


 そう思いながら受付のお姉さんの前に立つ。

 

「こちらは商業ギルドですが、登録ですか?」

「ええ、まぁ」

「営業許可書はお持ちですか?」

「えっと、これが営業許可書とその他諸々です」


 茶封筒を丸々渡す。

 その女性は失礼しますと声をかけてから茶封筒から書類を出した。

 まずは一枚目は営業許可書。

 二枚目は納税証明書。

 三枚目は身分証明書。

 四枚目は保証人。


 お姉さんはざっと目を通して、トントン。と書類を束ねる。そして、間を取って首を傾げて、もう一度書類を確認した。四枚目の保証人の書類を。そして俺を見て、身分証明書を確認する。


「えっと……、クパン村のエド……さんで合ってますか?」

「合ってます」

「……えっと……しょ、少々お待ちください」

「はい」


 受付のお姉さんは後ろに下がりかけて、そして、はっとした。


「ああ、すみません! こっちです。こっちでお待ちください!!」


 そう言って案内してくれた場所はどう見ても、ただ登録しに来た人を通す場所では無い応接室。


 もうお分かりだろう。

 保証人の名前の所にビックネームが連なっていたのだ。

 一人目はこの国の国王。

 二人目はルベさん本人。

 玉璽やら花押やらもばっちり押されてる。

 こんなの持ってきた人間が居たら、そりゃ、固まるよね、こんな場所に連れてこられるよね。俺的には、こんな大事は勘弁して。なんですが。

 なんでこんな事になってるのやら。


『それだけ、向こうからしたらマスターの事を気にかけているという意思表示なのでしょう。マスターからすればありがた迷惑だとは思いますが』

 まさにそんな気分だよ。


 そして美人なお姉さんがやってきて、テーブルに飲み物を置いていく。セルキーでもそうだったけど、こういう場合出されるのはお酒なんだなぁ……。


 だから成人してるっていっても、まだ外見年齢十四くらいだから。実年齢六歳だから。勘弁してくれよ。

 身長は大事なんだ。チビなんて嫌なんだ。ってなわけでお酒には手は付けずにそのまま置いておく。

 お姉さんが出て行ってから数秒で、恰幅の良い男性が入って来た。


「これはお待たせしてしまいましたかな、エド様」

「いえ、……」


 こちらがアポイントなしでやってきただけですし、と言いかけて止めた。

 俺、別にこの人に会いに来たわけじゃ無いし、ただ登録しにきただけだし。

 

「あの、俺、ただ登録しにきただけなんですが」

「ええ、もちろん、今登録手続きを行っている所ですよ、少々時間が掛かってしまうのが恐縮至りですが」

「いえ、それなら別に」


 首を振るが、俺の内心は辟易としてた。

『疑われているのかもしれませんね』

 まぁ、そうだろうね。でもさ、偽物作るにしても普通、国王とか初代王の名前使わないよねぇ。せめて副大臣とかその辺りくらいじゃね?

『それすらも分からない小物と思われてるのかも知れません』

 なるほど。


 一応、登録した後の話を進めるおっさん。


「どのようなお店を希望ですかな?」

「二等地区の商店街で、そこそこ人が入れる場所ですかね」

「二等地区ですか? 一等地区ではなく?」

「ええ、貴族の皆さんとのやりとりは向いてないので」

「向いてないという事はございませんでしょう。とんでもない方々ばかりが保証人でございましたが? 私もぜひ紹介願いたいくらいです」

「そうですねぇ……」


 ルベさん、恨みたい。

 

 そう思った所で、スタッフさんが一人入って来て、おっさんに耳打ちで内緒話をしている。が、俺の耳にはばっちり届いてるんだけどねぇ。


「本物です。城から情報と合致しました」


 どうやら、ルベさんはこっちにも話を通してくれていたようだ。

 おっさんは途端に態度を軟化させた。


「お酒はたしなみませんか? よくよく見れば新成人でございますかな? 果実水の方が良かったですかな?」

「お構いなく、こちらとしても予定が立て込んでますので」


 いえ、実際は暇ですけどね。予定なんてないですけどね。

 ただ未だに名乗る気のない人と楽しく商売の話なんて無理っすよ。

 内心そんな事を思いながら、彼がおすすめという店舗情報を見る。

 おすすめなのはおすすめなのだろうが。客層、俺たちのターゲットよりも上だろ。これ。クラス的に。

 貴族相手に仕事しないっていってるのに。

 俺が目指す店はファストファッションとか、ファミレス程度でいいんだよ。

 なんで高級ブティックとか三つ星レストラン並の建物紹介してくるかね。


 シムから見て、良い店あった?

『情報を集めて私がピックアップした店は未だに出てきませんね。彼がおすすめする場所は賃貸料が高いのでおすすめはしません』

 うん。それについては俺も思った。


「もう少し安い店舗はありませんか?」

「いえいえ! それはいけません。陛下や上皇の顔を潰す事になります」

「二人は関係ありません」

「エド様。そういうわけにはいきません。お二人の紹介という事ですからね、最初の一年は賃貸料はいりません。それ以降は要相談というのではいかがでしょうか? 商人というのは横つながりをとても大切にします」


 そう言って彼が話し出した内容は、二年目以降も無料にしてもらいたければ、二人と顔つなぎをさせろ。紹介しろ、お前ばっかり甘い汁をすすってんじゃねぇぞ。っていう内容を遠回しにいったものだった。


 そして、俺はある事に気づいて、ため息を一つ付いて、立ち上がる。


「すみません。次の予定が詰まってるので、登録はまた後日にします」

「え!?」

「とりあえず書類だけは返して貰っても良いですか?」

「いえいえ、お待ちくださいエド様」

「すみません。本当に時間がないので、こんなに時間がかかるなんて聞いていなかったので、すみません。あ、あの書類は受付の所に行けば良いんですかね?」


 言いながら俺は応接室から出て、業務用の机が並んでいる所に入っていく。


「あ、すみません。エドですが、今日はもう時間がないので、登録は後日にしますね。書類返してください」


 言いつつ、ささっと書類を取って商業ギルドの建物から出る。

 俺の背には制止を呼びかける言葉がかかるが、振り返り、すみませーん。また来ますーと声をかけるだけで止まる事はせず、商業ギルドの敷地内から出て、煉瓦造りの塀を曲がる。


「ルベさん! 俺を利用しただろ!」


 そこにはルベさんが立っていた。

 途中から、こっちの様子を覗いているのも分かっていた。


「利用はしてないぞ? 確認は取ったがな」

「確認?」

「君がどういう人間か、だ」

「……それで? その結果は?」

「吾らが想定しているよりも遙かにずっと、君は名声やら権力やらに興味が無い」

「……はあ」

「そして、金にも執着はないようだ」

「……」

「そして、君自身が利用されるよりも周りの人間を利用されるのを、好まない。まだ顔見知り程度の吾ですら、ああいう男に利用価値のある存在として見られるのがいや、と」

「……あのさー、ルベさん。俺はあんたと敵対したいって思って無いんだけど? ルベさんは違うの?」

「いいや? 敵対としたいとは思ってはいない。だが、言っただろ? ヒューモ族全体を危険に及ぼすようなら、と」

「言ってたっけ? まあ似たような事は言われたけどさ。で、結局、俺の人間性の確認は取れたわけ?」

「謎が深まった」

「はぁ?」

「謎が深まったと言ったのだ」

「いや、それが聞こえてたからこそ聞き返したんだけど。俺ってわりと分かりやすいと思うけど?」

「一見な」

「……一見ねぇ……。ルベさん的に俺はどういう人間だって思ってるわけ?」

「……君は一見、お人好しだ。世間知らずに、暢気で楽天家。短絡的。まあそんな者だと思う者も多いだろう。実際には甘い話には全然乗らないし、人をそれなりに観察している。思慮深い一面もある。こうやって吾が見ている事にも気づく。そして何よりも、情報の持つ価値を知っている。吾の事を最初から知っていたな? 名前を知っている者は多いだろうが、その名とこの身を繋げられる者は少ない。だが、お前は子供姿である吾に初めから警戒していた。吾を騙そうとしていた。お前が望むであろう情報を吾が持っていなかったのなら、きっとお前は吾を騙し通していただろう。すでに情報を制限されている吾らとしては、出遅れて不利な状況が続いている。今も吾の『目』には全てが詳らかにされているように見えるが、吾はそうは思わない」

「何故?」

「あまりにも自然体だからだよ」

「は?」

「隠ぺいというのは見られたくない情報を持つ者が行う事だ。それが見られているという状況下においてこうも平然と立っているという事は見られても平気な部分しか見せていないという事だ」


 ……というか、悪魔の目で見られてるって今知りましたけど。

 でもそういえば初回は、不愉快そうな顔で周り見ろって言ってたっけ。今回はなぜに?

『すでに向こうは確証しています。わざわざをマスターを煩わせる必要はないと判断しました』

 あ、そうですか。


 でもってこれはあれか、俺とシムの両方の影響だな。実際には二つの思考というか性格で動いてるけど、それを一つだと思うから謎が深まるわけだ。


 可哀想に。マジ乙です。


「んー……でもさ、バレちゃってるならバレちゃってるで、見られても構わないって思ってるかも知れないじゃん?」

「それはないな」

「なんで?」

「クパン村の君の家には侵入出来なかった」

「は?」

「君の周りにいる人間の情報についても何も得られなかった。簡単な情報ならば得られたがな、だがある一定の情報からは全てに鍵がかかっている。そこまで徹底している人間が、自らの全てを知られて平気でいられるわけがないと判断している」

「……っていうか、人ん家に侵入しようとしたのかよ」

「当然だろ? それにしても、そんなに不快か? 周りの人間が巻き込まれるのが。自分の家と言いながらも、君の気配が揺らいだのは、君の周りの人間について調べた時と口にした時だ。君は本当にお人好し(・・・・)だな」

「嫌味?」

「そう受け取ってくれて構わん。そう言いたくなるくらいには、君は良くわからない」

「なるほどねぇ……。でも、情報的には前に話した事がほとんどだよ?」

「ほとんどという事は、語っていない部分もあるという事だろ」

「まあね。そうね」


 どうすっかなぁ。

『どちらでも構いません。マスターがお好きな方でどうぞ』

 ……そっか。なら。


 一度は見逃そうかね。




うーん。

なんか今回の話気に入らない。


眠いからか頭が回ってない気もします。

明日読み直したら修正入れてそうな気もするなぁ……。



4/29 読み返してやっぱり気に入らなかったので、加筆しました。

そして一気に量が増えたので二つに分けます。

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