別行動になりそうです
今回、特に短いです。
で、本編とは別に活動報告の方で「だから、チートじゃ無いってば! の小話」ってタイトルで話を一つ書いてます。
そちらとあわせてもらえれば、いつもの一日分よりもずっと多いと思います……。
追記。
上記に書いた内容を本編に盛り込みました。(タイトル:独白)
俺とセリアとニアは宿に戻ってきた。
バロン達は例のオアシスに残っている。
なんというか、ヒューモ族に対してのあたりが強くて……。
俺やセリアはまだ良いんだけど、ニアにはちょっとなって引き上げたのだ。
ネーア達は凄く気まずそうに謝ってたし、悔しそうにしてた。
どの道、シェーンは新しい神官達が来るまでは向こうに居た方がいいだろうし、一人だけ残るよりはバロン達が居た方がいいだろう。
でも、これは……信頼を得るのが難しそうだなぁ。
転移門を使って王都とって思ってたけど、これは先に夏の国の村や町と道を作った方が良いかもしれん。なんて計画の変更を考える事にした。
「とりあえず、もう遅いからニアは寝ろ。セリアもだ。たぶん、大丈夫だと思うけど、なんか変だなって思ったらすぐに声かけろ」
「はーい」
「ニアもセリアおねーちゃんのようす見てるね!」
「おぉ、よろしくな」
ニアの頭を撫で二人にお休みと声をかけて別れた。
俺はベッドにあぐらをかき、伝話を飛ばす。
『ゴドー、今大丈夫?』
『エド? どうした?』
『俺とセリアとニアは王都の方に戻ってるからって事だけ。シェーン達はオアシスに居るから』
『分かった。あと、すまないがもしかしたら私とシェーンはしばらく、そっちに合流できなくなるかもしれない』
『なんかあったの?』
『盗賊側に与した神官が居ただろ? それの断罪関係で裁判が開かれるんだが、その影響でな』
『裁判なんてあるんだ』
『エドが思っている内容とは少し違うと思うけどな。ところで、エド達三人が王都に戻ってきたっていうのはヒューモ族だからか?』
『うん。一部の住人の嫌悪が凄かった』
『そうか。分かった。じゃあ、神殿長はエジュラ族に頼むとしよう。結界を張り続ける事になるかも知れないとなったら総MP量が多くないといけないだろうから』
『その辺はゴドーで決められるんだ?』
『あー……正確に言えば、私が決められるわけではない。ただ要望を出す事は出来る。住民と土地に適した人選を模索するのは一応宣教師の仕事となり、多くは受理される』
ほうほう。その辺ももしかしたら、宣教師が偉いって言われてる事の一つなのかねぇ。
……本当に左遷じゃなかったんだなぁ。
『……なんか、変な事考えなかったか?』
『いいえ、ちっとも』
変な事なんて考えてないよ。俺としては当然のことだよ。
しばしゴドーに睨まれるような感覚がしたが、諦めたようなため息が聞こえた気がする。
『……なら、いいんだが。もし私達が居ない間に何かあればミカを頼るか、伝話を飛ばしてくれ』
『そんな早々、何かあるわけぇ…………』
俺は否定しかけてしばし考える。ここ数日、色々濃い内容の日が多いな。
武神様と戦ったり? 異世界に行ったり? 盗賊との戦闘はたいしたことなかったけど。ああ、でもあれ、もしゴドー達がいなくて神官と敵対する事になってたらやっかいだったのかね?
『何かあったら相談します』
『よし!』
俺は素直にそう告げた。
『あと、その討伐関係でエド達に褒美が出されるらしい』
『は?』
『私もまだ詳しく聞いてないのだが、どうも、土地と建物らしい』
『えー……?』
『すまん。こちらとしても出せる情報はそれぐらいしかないんだ。あ、あとは王都だと分かってるくらいか?』
『俺、わりとお腹いっぱいなんですけど……』
貴族になれだかんだはもう要らん。
『今回についてはエド個人じゃないから酷い事にはならないと思うが……』
『うーん、それを期待しとく』
『そうだな、そうしてくれ。私もそれを願ってる』
なんだろう……。ゴドーにまでそう言われると、ひしひしと、『まじかー!?』って声を上げるような事態が起きそうな気がするのだが。
そして、そんな話をした翌々日。ゴドーとシェーンを省く、盗賊討伐メンバーは、ミカの案内によって一つの敷地にやってきた。
「これが君たちへの褒美だそうだ」
ミカがそう言って手をそれに向けた。
俺たちはそれを見上げる。
一部の人間は間抜け面で、口を開けてぽかーんとしてただろう。
その一部であるセリアがぽつりと呟いた。
「なんだっけ、ドイツのノイ……ノン、ノインシュバ?」
「ノイシュヴァンシュタイン城?」
「そうそれ!」
その2の俺が答えると、セリアは指を鳴らして俺を指さす。分かってすっきりしたぁ。という顔を見せて、再度ご褒美を見るセリア。
俺も再度、ご褒美を見上げる。
そこにあるのはまごう事なき城だった。
「「無いわー」」
それが俺とセリアの偽り無き、本音の感想だった。