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だから、チートじゃ無いってば!  作者: 瀬田 冬夏
第2章 ヒューモ族
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見た目で判断は危険です。

土日更新できたらいいな。って言ってたけど、結局更新できなかった……。

でも、せっかくなので、土日のつもりで一個更新。



 オアシスの中央付近。バロンが作った湖の近くに神殿を作る。

 こんな感じでいいかな? とゴドーを見ると頷いてくれた。


「しかし、職人数人でする事を一人で出来るのは色々便利だな」

「まあ、俺の場合シムの補助があるからなぁ」


 神殿のデザインとか強度計算とか色々。その辺はホント助かります。


「後の手続きは本職にお願いします」

「ああ……。こうなってくると、エドから転移アイテムを貰ってて良かったという所だな」

「おう、いっぱい使ってくれや」


 ゴドーは一つ頷いて神山の方に転移した。

 さて、俺はセリアのとこに行くかねぇ。


 セリアはへこんでた。

 分かりやすい形でへこんでた。そして、ネーアに怒られていた。


「なんであんな危険な事したの!」

「ごめんなさい。でも」

「でもじゃないでしょ!」

「すみません」


 涙目で怒られたら反論しにくいよなぁ。自分の事を思ってくれてるわけだし。


「よー」

「あ! お兄!!」

「エド様!」


 セリアは助かったっていう顔をしていた。その顔見られるなよ、余計怒られるから。


「で? 交渉は失敗したみたいだけど、なんだってあんな事したんだ?」

「……選挙のイメージでやってみたんだけど」

「……選挙のイメージ?」

「そう。民意に訴えるっていう感じで」

「うん。時代背景って言うか、この世界には合わないって言うか、他にももうちょっと色々あったと思うんだがな……俺」

「うー……ごめん」


 本格的にしょんぼりとし始めた。

 まあ、俺からもネーアからも言われたらそうなるか。

 しかし、こいつはもうちょっと考えられんかったのかね? 社会人ならもうちょっとさ。

『マスター、そもそも社会人の記憶があるのか自体疑わしいのですが』

 ……え?

『マスターと同じ時期に焼き付けが起こっていると仮定すると、彼女のメインの人格や考え方は小学校高学年から中学生くらいだと推測できますが』

 ……………………。

 そういや、ウチの妹、好きなヤツが、年上(社会人)が好きだったから、早く大人になりたいとか言ってたっけ……。

 あれ? これって、小学生に交渉を任せた俺が悪いんじゃね?


「セリア、質問なんだが、セリアの記憶ってだいたいどの辺が中心に残ってる?」

「家族中心かな?」

「何歳ぐらいの頃の?」

「え? 何歳っていわれると……。たぶん……十歳前後?」


 ……俺が馬鹿ですね、すみません。あれー? でも、もうちょっと精神年齢高そうなイメージがあるんだけど!?


「最近、よく思い出すのはその頃かな? ブラシュガにいた頃は色んな年齢の記憶があった気がするけど、お兄と会ってからは、昔の事……あ、前世って意味じゃ無くて、子供の頃って事で昔の事をよく思い出すようになったかな?」

「そっか……。たぶん、お前の精神年齢、今、そっちが中心になってんじゃないかな?」

「そっち? 子供の頃って事?」

「そう」

「…………あー……言われて見たらそうかも。……元々だんだん忘れてるような気はしてたから、納得かな? 子供の頃の事をまだきちんと覚えているのは、お兄が居て、よく話するからなんだろうね」


 いや、思い出の話じゃなくて、精神年齢の話なんだけどな。

 というかこれはあれか? 俺と会ったせいで焼き付けがさらに酷くなったとかそんな感じか?

『わかりません』

 ですよねぇー。


「セリア、どうもな、俺たち、その記憶がある時代の精神年齢になりやすいようなんだ。大人の考え方も出来るけど、気をつけないと子供の考え方をしてしまうというか」

「……つまり……男は少年の心をいつまでも持ち続けるのを地で行くって事?」

「なんで喩えをそれにした? っていうか、なんかそう言われるとちょっとキツイ気がするが、まあそんな所だな」

「で、アタシはいつまでも、ティーンエイジャーと」

「そう」

「………………」


 セリアはしばし考えて、それから俺を見て、真剣に言った。


「お兄、この体、お兄と同じくらいかちょい下くらいに戻せる?」


 もちろん可能ですよ。と実行すると、それを初めて見たネーアは目を大きく開けて口を両手で可愛らしく隠してた。

 流石美少女。動作がかわいいねぇ。

 セリア、お前もこういう動作見習え。

 まぁ、見習ったら見習ったで、俺は気色悪い! とか言いそうだけど。


「ニアもこうやって?」

「そう。ニアは本当はもうちょっと戻しても良かったんだけど、神印との問題があったからさ」


 自分の額をコツコツと親指で突くとネーアは理解してくれたらしい。

 セリアは希望通り俺と同じくらいにした。ニアよりも幼くなるのはたぶん嫌だろうし。


「でも、どうして急にセリアを?」

「うーん。どうも俺たち、前世の記憶が、この外見年齢に近い時のものらしくてさ。そのせいか、精神年齢も微妙に、ね」

「……そうなんですか」

「うん。そうそう。きっと自覚したら大人の振るまいとかも出来るんだろうなって思ったんだけど、めんどいじゃない?」

「オイ」

「それに外見に合わせて色々仕事振られたらやだなぁって思ってさ~」


 こいつ、外見戻してやろうか。


「でもって、そう思うって事は、やっぱりアタシ子供なんだなって思って」

「まるで重大な事実に気づいたみたいな言い方をしてるけど」


 ガシリとセリアの頭を捕まえる。


「なんでもかんでも怠けようとするのはいかんぞ~。妹よ~」

「いたいいたいいいたいお兄痛い! 鬼痛い!」

 

 ギブと手を叩いてくるので離してやるとセリアは必死に頭を揉んで痛みを和らげようとしていた。


「さて、バロンが戻ってきたら新しい村の住民のみなさんに挨拶してくるとして」


 必死にみんなが生きていけるよう周りの環境を整えているバロンに内心エールを送りながら俺はシェーンを見る。


「シェーン。(これ)渡しとくから、スキル入れられる年齢の人に好きなスキル五つ好きな物選んで貰って授けてくれ」

「お前が出すのか」

「そりゃ、生活基盤も何も無い所に連れてきたわけだし、最初の手助けくらいはするさ。だから人生設計をきちんと考えてからにして貰って。あ、あと、アルフ族の種族特化は器用だから、もし何を選んで良いか分からない人がいたらアドバイスしてやって。畑とかも作れるようにするけど、今は人手が足んないし、あとで家が決まったら王都と繋がる転移門を作るから、むしろ王都で売れるような物を作った方がいいかも」

「待て。さらりとぶっ込むな。転移門だと?」

「転移門」

「……神殿にあるようなやつか?」

「そう。それ」

「……それを村人に使わせると」

「制限はかけるけど、そこまできびしい物は付けないから、まあ誰でも使えるかもな」

「……それは……いいのか?」

「さあ、どうだろうな。かといってこの村だけでは生活は成り立っていかないしタンガのお仲間さんが秋の国に着くで売りに出されるのはもうちょっと後みたいだし」

「秋の国?」

「うん。タンガほどでは無いけど、彼らもまた色々心の傷を負ってるみたいだね。売りに出されるのが遅れてるみたいだ」


 最悪は処分ってなりかねないから、その場合はかっさらおうとは思ってるけど。


「……お前、どこからそんな情報を仕入れているのだ?」

「え? この子達とか?」


 右手を差し出せばそこにシュルンと音を立てて忍が現れる。彼はシュピッと、彼がカッコイイと思うポーズを決めて見せた。

 うん。かわいいな! かっこいいじゃなくてかわいいな!


「……盗賊退治の時もいたな」

「今、この辺に配置させまくってるよ」

「そうなのか!?」


 慌ててシェーンは周りを確認するがその姿は見えないだろうな。


「一応、ここ、紫霧に近いからな。バースト族が居たらいいけど、居ないし。神殿も用意はしたけど、まだ無人だし」

「紫霧に近いのか!?」

「そうだよ。紫霧に近いから、このオアシスは見つかってなかったって設定」

「設定ってなんだ設定って」

「まあまあいいじゃん。バロンは王様になる気がないから、自分の功績にしたくないみたいなんだよね」


 エド様の功績になるのならいいんですけど。とか抜かしやがった。俺だっていらん!


「それは本当か!?」

「うん。少なくとも第一王子を王様にしたいみたいだよ」

「……彼は、無理だろう」

「バースト族だから? でもさ、その理由知ってる?」

「王家のしきたりとして決まってる」

「いや、だからそれが出来た理由」


 夏の国の住人二人に確認を取ると二人は顔を見合わせた後首を横に振った。


「春の国で働いていたアルフ族が、同族が愛玩動物として売られ始めちゃったから、このままだとアルフ族の人権が地に落ちるっていって、当時の春の国の王様にお願いしたらしいんだよ。王様にはアルフ族を、后にはバースト族をって、王様の力の象徴にアルフ族にしか使えない水魔法の力が込められた錫杖を渡してくれって。それを王家のしきたりとしてくれって」

「それが通ったと?」

「そうそう。丁度バースト族の王が馬鹿な事をしちゃった後だったから超楽だったって言ってた」

「……どこからそんな情報を」

「これについては生き字引から聞いた。建前とかなんとかは知らんが、事実はそうらしいよ」

「……そうか」

「で、今、その水の魔道具の力が極端に落ちてるらしんだよね」


 これについては予想外だったらしい。確証はないが、彼の見立てでは、主が何度も替わる内に、水の魔道具に埋め込まれていた『生活魔法(水)レベル10』の熟練度が下がり、レベルが下がったんじゃないかって事らしい。レベル5もあるか怪しいってぼやいてた。だから水産省が出来たと。でもそれって余計王様が水作んないんじゃねぇ? って思ったけど、やっぱそうらしい。おかげで水産省の人間がかなり発言力を持ってるんだと。

 神殿も荒れてるけど、王宮も荒れているようだ。大丈夫かね、夏の国。


「だから、それと交換にまた新しいしきたりを作ればいいんじゃないかなって」

「そんな簡単にいくのか?」

「でも、バロンが環境を変えるぜ? そうなったら水のためだけに王様をアルフ族にする必要はねぇだろ? 国民のためを考えるのなら、賢王になれる人物が王様になった方がいい」

「それは、もちろんそうだろうが」

「まあ、タイミングを見て、バロンが生きてるって事は知って貰わなきゃならねぇけど」

「え? バロン今、死んでる扱いなの?」


 セリアが驚いて尋ねてくる。


「正確には行方不明扱いかなぁ。だからタンガの両親とか泣いて喜んでたよ。でも今はひとまず内緒にしてもらってる。他のメンバーの事もあるし。変わり果てた姿の息子達を見たら親は辛いだろうしさ。ここでリハビリして貰えたらなって思ってる。タンガにヒューモ族と戦うのと、魔物と戦うのだったら精神的にどっちが楽だと思う? って聞いたら魔物! ってきっぱり言われたからな」

「……なんでそこで、リハビリに魔物なの?」

「ん? ここ、紫霧の森に近い所にあるから。たぶん、森の浅い所にいるやつらが時折襲ってくるんじゃ無いか?」

「「えぇぇ!?」」

「おい! いくらなんでもそれは無かろう!」

「そうですよエド様! 今この村に居る人達は戦えない人達ばっかりなんですよ!?」


 シェーンが俺の胸ぐらを掴み、ネーアが青ざめて俺を見てくる。


「えっと、そのための忍と神殿なんだよな」

「その忍とやらがなんだと言うのだ! こんな子供のオモチャのようなものにどれほどの事が出来ると!?」

「んじゃ、ちょっと戦ってみる?」

「いいだろう。どれほど強いのか見てやる」


 そう言ってシェーンは手のひらサイズの忍に対して、敵意をむき出しにした。

 大人げない。と言いたくなる光景ではある。

 片や、いかにも強そうなイケメン細マッチョな獣人。(爆ぜれば良いのに)

 片や、妖精と見間違いそうなほどかわいらしい二頭身ニンジャである。

 でもなぁ……。


「はじめ!」


 の合図をすると、忍はシェーンの足をすくい、バランスを崩させると、跳躍し、シェーンの後頭部に蹴りを入れ、地面に倒すと結ぶで地面に貼り付けにし、その目玉近くに忍び刀を突きつけた。


 おっそろしい子だな……。


「…………」


 シェーンは声も出せず目の前にある刃先を見つめている。


「一応ね、言うけど、その子、神殿では取り扱いされていない上級スキルで召喚する子なんだよね。で、その子自身も上級スキル使ったりするんだ。ちなみにお前を今しばりつけてるその紐もそうなんだけどな。これ、切るにも上級スキル以上が必要なんだけどな。ついでに言うと、上級魔法も上級武術も普通に使えるんだ。それでもまだ、不安?」

「……いや」

「そう。なら外してやって」


 忍はこくりと頷いて刀を戻して拘束をすぐさま消した。


「と、まぁ、見た目はかわいらしいけど、実力は確かだよ。で、それが百体くらい配置されてるから、多少魔物が襲ってきても問題ないと思うよ」

「……負けた身だから何も言わん。安心しろ。ただ、紫霧の近くだとは言わない方がいいとは思うぞ」

「ん。分かった。ネーアもまだ不安?」

「いえ。すみません。エドさまが言うことは普通じゃないっていう事をすっかり忘れて取り乱してしまったりして」

「……そんな風に謝られると俺としても、微妙な気持ちになるんですけど……」

「日頃の行いのせいでしょ」


 セリアに冷たくそう言われた。

 誰も俺の味方がしてくれない気がする。

 チクショウ。




朝8時にも予約投稿します。

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