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だから、チートじゃ無いってば!  作者: 瀬田 冬夏
第2章 ヒューモ族
68/143

ルベルトとエド②

眠気に負けました……。

短いです。



誤字脱字&加筆修正しました。

 




「しかし、ニホンの法律は、ヒューモ族には害悪にしかならんな」

「害悪とまでいいますか。あ、そこの土管から、モグラが出てきて爆弾投げてくるんで気をつけて」

「問題ない」


 彼は亀を捕まえると現れたモグラに投げつける。


 ちょっと手慣れすぎてませんかねぇ! 初めてやるにしては!


「解析して、プログラム読むのはアカンでしょ」

「何故だ? 障害物を倒して目的地に行く遊びなのだろ? スキルを使うのが何故駄目なんだ?」


 ポータブルゲームをしながら俺達は色んな話をした。

 何でこんなゲームをしてるかというと、日本人である事の証明にと出してみたのだ。

 それで遊んでみようとなったのは、---俺の悪乗りが過ぎただけだが……。


 彼は彼で日本の事を聞き、俺が暴走する理由も考えてくれた。

 簡単に言うと、五年経っても、心と身体のバランスが崩れているのなら、日本の常識は捨てろ。である。簡単すぎるが、ハーレムがあるから、結婚の概念が違うのは理解してたが、違いすぎたよ……。


 二つのハーレムを行ったり来たりするのもありらしいし、ハーレムAとハーレムBのどっちにも属すとか、ハーレム内には同性も異性もいるから、メンバー同士でくっつくとかもありだとか。


 色々実例を聞いていると、なんだか、獣の群を連想してしまった。



「ハーレムを持つ者は何かしら特化している者達だな。権力がある、金を人よりも多く持っている、ステータスが高いなどだ。平均から飛び抜け始めると、それだけ成功する何かがある、より強い子孫が作れると、群がってくるぞ?」


 ニヤリって笑って俺を見ないでくれ……。


「……隠ぺいとか……」

「あんなものあくまで、見た目を誤魔化すだけだろう。平均的な者ならともかく、飛び抜けているという者は、そういうのでは誤魔化しようがないから、飛び抜けているんだ。ワンアップの卵、どうぞ」

「ありがとです。じゃあ、俺、女性にモテモテですか?」

「女性どころか男にももてるがな」

「そこがわけわかんねぇ~っ」


 子孫関係ねーじゃん!


 実際に色々経験していけば良いだろうと彼は笑うだけだ。

 まだ生まれて七年も経たないのだから、と。


「まあ、君は両親がハーレムではなかったからな、前世の事を考えてもそう大規模なものにはならないだろう」

「はぁ……」

「あと、ハーレム主になるのが嫌ならここの王女のハーレムに入るという手もあるぞ?」

「なんでですか。ありえないでしょう、そんなの」

「神の貴石はそれだけの偉業だ。たいていの我が儘は通る。気に入った者がいたのなら、吾が橋渡しをするが?」

「興味ないっす」

「……まぁ、周りにあれだけ美男美女がいたらそうなるか……」

「顔で選んでないですからね! いっときますけど! 結果論ですから!!」


 そこは断固否定する!

 平均値が俺とセリアとタンガだけって絶対おかしいよなぁ……。




 太陽が西に傾き始めた頃……。

 ……すみません、ゲームは1時間と言われてますが、ガッツリやってしまいました。久しぶりにやると止められなかった……。


 流石にお暇する事にした。


「許可証が出たら持っていく」

「いいんですか? 連絡貰えれば取りに来ますけど?」

「街を歩くのは好きだから問題ない」

「分かりました。では、失礼します」

「ああ、ではまたな」


 会釈をして転移をする。

 人通りのない通りに出て、俺はセリア達の居場所を確認して歩き出した。


 店の事やら家の事やら色々アドバイスももらい、さらには営業許可証まで向こうで言って準備してくれるという。

 至れり尽くせりだ。それだけ裏があるのだろうか、って一瞬考えてしまうけど。

 でも、彼を見てたら流石だなって思った。


 あれ、多重分身か? それとも分身?

『多重分身だと思われます』


 彼、ルベルトは俺が使いこなせていない多重分身で動き回っているのだ。

 たとえ殺されるような事があったとしても分身体であれば問題ないという事だろう。

 

 いやはや素晴らしい。多重分身の使い方教えてくれないかなぁ。でもそういうとこんな短期間にスキルを育てた方法を教えろってなったりするのかなぁ。いや、でも流石に知ってそうだよなぁ……。

そんな事をツラツラと考えながら俺はセリア達が待つ宿屋へと入っていった。


 宿屋は、セリアが責任を持って決めてくれた。

 実際には、馬車が泊められる宿屋の名物料理を皆で分けて、食べ比べて決めたらしい。

 そこまでしたのかお前は。と呆れた。みんなも巻き込まれてさぞ大変だっただろう。と思ったんだけど。

 俺とセリアが兄妹ケンカするよりずっと良いという言葉を遠回しにさらにオブラートに包んで言われた。

 ……朝、俺とセリアそんな激しいケンカしたっけ?


 ま、まぁ、そのかいあって、夕飯は美味しいご飯にありつけた。

 美味しいと言うと一部の人間があからさまにほっとしていた。


 解せぬ。

 そんなびびられる程怒ってないと思うんだけど……。


「君とセリアがケンカをしてると、もしもの場合止めるのが難しいというのがあるからじゃないか?」


 ベッドで寝転がりながらゲームしつつぼやいたら、ゴドーが自身の考えを教えてくれた。


「……もしもの場合ってなんだよ。妹相手にマジでそこまで怒んないって」

「周りは知らないからな」


 苦笑と共にゴドーは言った。

 朝のあれでセリアにマジ切れするくらいなら、父親や兄貴達にとっくに切れてると思う。


「エド、これ、貰うか?」


 ゴドーが差し出したのは複雑な模様が彫られたペンダントだった。

 太陽を抱えた女性が中央にいて、その左横に月の竪琴を弾いている男性、右隣には水晶を胸に抱いた少女、その三人を守るかのように少し下に盾と剣を構えた男性がいる。


「……これは?」

「新しく貰ったご神体」

「新しく貰った?」

「そう。神殿に行ったら、神山に来いといわれて、行ったら貰った」

「はぁ?」

「どうにも朝のミカの言葉を聞いての処置らしい。神の御名において、私も改めて宣教師となった。辞令はあとから出すからといっていたが、その証拠に最高ランクのご神体を貰った」

「……まぁ、この世界の神が描かれてるもんな」

「そう。もし、エドがいるというのなら渡そうと思って。神もその方が喜ぶと思うし」


 ゴドーの言葉に俺はヘラリと笑った。


「謹んで辞退申し上げます」


 死ぬのも構わず、ゲーム機を横に放り出して、座り直すと深く頭を下げた。


「そんなに毛嫌いしなくても良いだろうに」

「……いや、別に毛嫌いしてるわけじゃないよ? ただ、これ以上覗き見される触媒になりそうな物はマジいらない」

「ああ、そっちか……。私はもう麻痺してるからな~……」


 そこまではなりたく無いぞ、俺は!


 しかしゴドーの顔は『ちょっと困ったぞ』のままで。


「どうした?」

「いや、アテが外れたな、と」

「あて?」

「ああ……。エドに転移の魔道具作成をお願いしたいのだが、いくらぐらいかかる?」

「転移の魔道具?」

「そう。エドが学校に行っている間は宣教師としてあちこち回って、夕方には帰ってこようかと思って」

「それでいいのか宣教師」

「そうは言うが、春の国では小さな村までしっかりとした神殿があるし……。それに正直、今の私達の仕事は神の目となり耳となりエドとの交流を楽しんだり街の様子を楽しんだりで、宣教師の仕事は二の次どころか三の次だからな」

「ぶっちゃけたなぁ。知ってたけど」

「うん。だから、これを渡して、その対価に作って貰おうかなと思ったんだけど」

「オイオイ、いいのかよ。ご神体なんだろ?」

「ご本人達がそうしろとおっしゃってたのだからいいんじゃないか?」


 ……神様達は欲望に忠実だなぁ……。


「……十万。十万でいいよ」

「いいのか? 転移の魔道具だぞ?」

「いいよ。ゴドー相手に儲けようなんて思ってないし。いつもお世話になってるし、タダで渡しても良いぐらいだけど」

「流石にそういう分けにはいかない」

「うん。だから、十万」

「ありがとう」


 ゴドーはちょっと感動という感じで俺を見たあと、気づいたようにからかってくる。


「なんだったら、お世話を頑張るが?」

「今日はもうお腹いっぱいなので遠慮します」


 お昼の話で俺はすでにギブアップですよ。










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