表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/143

放出様。出番ですよ。

 おはようございます。

 朝です!

 いいね! 外に出なくても、朝だって分かる環境!

 昨日あれから調べるのレベルが、上がりませんでした! 百回やったけど駄目だったよ!

 でも「かく」は上がったよ。レベルが2になったよ。そして、着色の方がガンガンレベルが上がった! あっという間に5! 今は糸だけじゃなくて、木片・小石・紙・布に着色できるぜ!

 布と糸の違いは、面積かな? 点で染めてたのが面になった感じだった。

 それにしてもなんでこんなに簡単に上がったんだろ。

 ……「かく」スキルの着色も途中からこっちがまかなったんかね?

 謎の多い熟練度め! 

 昨日の成果、染めた糸は別の紙芯に移し巻き直した。

 綺麗な赤、青、そして、どうやって発色してるのか不明なラメカラー(青)。キラキラしてる。

 どーなってるんだろ、不思議だ。

 この三色、店でどれくらいで買い取って貰えるかな。

 でもまずは、朝食のための魚を取りに行かなくては。

 俺は次第に慣れつつある道歩いて行った。


 今日は罠には魚、殆どかかっていなかった。

 坊主ではないのがありがたいところだけど、うーん。


 人数分には足りん。

 朝だし、半身とかでも良いと言えば良いけど。大きい魚だったらこの数でも全然問題ないんだけどなぁ……。

 と、しばし、考えていたが、ふと、昨日ゲットした呪怨を思い出した。自分のMPを確認する。

 川を見つめ、大きな魚影に当たりをつけ、呪怨を発動させた。

 MPを確認する。消費されている、という事はきっと効いている。と、願いたい。

 ついでに使う機会のない闇も思い出したので使って見た。

 魚の目の周りにだけ黒いモヤが現れている。

 おお! これ、思ったより便利!

 こちらの動きを阻害しないのっていいね!


 ぼーとした魚はまさかの手掴みで捕れました。

 ぼーとしてるどころの話じゃないよ、これ。

 レベル1でこんなに強力なんだと呆れてしまった。そして、キタコレ! と次の瞬間にはガッツポーズである。

 スキル練習も兼ねて魚を捕りまっくった。




「ただいまー!」

「エーちゃんお帰りなさい、凄いわね」

「魚いっぱい取れたから、サポンおばさんに野菜と交換してもらったんだ」


 調子に乗ってしまった。

 スキルじゃない方、俺のレベルまで上がっちゃったから止まんなかった。

 冷蔵庫なんてないのに、取りすぎてしまったのだ。三十匹も

 どうしよう。流石に毎日魚を売るのもなと、思っていたら近くの畑に人が居るのに気づいた。

 旦那さんの方は短命種を嫌ってるのか俺を見るのも嫌そうにしていたが、おばさんの方は笑顔で話してくれたし、嬉しそうに交換してくれた。


 俺も日持ちする野菜をゲット出来て嬉しい。

 母さんも嬉しそうだ。

 でもまだ二十六匹居る。


 痛まないように俺が出せる凍る直前の水をバケツに入れ、その中に魚を入れる。しかし、どうしようかな。


「ねぇ、母さん、村で物とか食べ物とか売るのってなんかの登録とか必要なの?」

「お店で売るのにそんな物が必要って聞いたことないけど?」

「違う違う。俺が露天で売る方」


 今回は仕方が無いからお店で売ろう。でも次回からは止めよう。


「何か売るの?」

「魚とか、こういうの」


「あら! 綺麗な糸ね! 初めて見たわ!」


 ですよね! ラメ入りのラメってどうなってんだ。ホント。


「どう?」

「そうね、これ、布はないのかしら?」


 興味津々で見ていた母さんだったが赤と青の糸を見て、それで織られた布が欲しくなったらしい。


「出来ない事もないけど、今は材料がないかなぁ」


 魚売りつつ布も買ってくるか。でも……。ラメ入りの布なんて需要……あるのか? ドレスか!? ドレスなのか!?


「あら、ごめんね。でも、いいと思うわよ。気になるのだったら村長に聞いてみたら?」

「そーするー」


 朝ご飯食べたら村長家にいこう。


 で、行ってきた。みんなの迷惑にならないようなら好きにしていいって。

 そういうの田舎は緩くて実に良い。


 新しい家が出来るまで、商品開発にいそしもうかね。


 雑貨屋に入って、紙や糸を買う。

 っていうか糸、めちゃくちゃ高い! 布は高すぎて買えなかった!

 高級品過ぎる! 糸もミシン糸サイズで1万ゼニィ。高級品過ぎるだろ……。

 気まぐれスキルが買えるぞ、おい。スキルよりも高いぞ、おい。

 紙がクラフト紙みたいなやつだけど、比較的安くて良かった。

 初めは高いなぁって思ってたけど、糸や布の値段見たら、格安に思えたよ、ホント。


 鍛冶屋に行って、昨日買い忘れてた小型ナイフも購入。

 ハサミも欲しいけど、売ってない。泣ける。あ、でも錐は発注した。

 残りのお金も少なくなりつつある。元手が掛からない商品も考えなくては。


 俺はそれから毎日せっせと、材料を探したり、買ったり、作ったりしながら、父と兄達の『早よ出てけ』な視線にも耐えつつ、商品作成した。




 そして、新しい俺の家も出来上がった。

 一週間で出来るって凄い。もともとの豆腐ハウスを利用しているとは言え。

 きちんと、窓あるよ。ガラスはないけど。

 魔法って凄いなぁ。


 家自体も増築されたらしく、さらに広くなっててトイレスペースもあるし、バスルームもある。(この辺はお詫びという事で要望を母さんに聞かれた時にお願いした)

 それ以外にも二部屋ある。凄いな。


 俺と母さんは、ほー。とかへー。とか言いながら家の中を歩く。


「うん! これなら文句ないわね」

「そうだね。見違えたよ」


 前のがあり得なさすぎなだけよ。と、母さんは言う。

 確かにあり得ない所だったけどさ。


 新しい家に納得して帰る母さんを送りつつ、雑貨屋に入り商品を購入する。

 去り際に一枚のチラシをおばさんい渡す


「これ」

「ん? なんだい。……ああ、前に言っていた店を持つとか言ってたやつかい」

「そう。明日からなんだ」


 一応、ここの糸やらを塗り直し、芯を替えているとは言え、ここの商品を売るわけだし。でもって、そういうのを補充しようと思ったらここでしか出来ないわけで。

 だからきちんと加工した物を売るよと許可は得たのだ。


「……そうかい、まぁ頑張りなさい」

「うん。ありがとう」


 お礼を言い、俺は村々の家にお店のチラシを配った。

 ポストなんてものはないから皆に手渡しだ。

 割と興味を持ってくれた人が多くて嬉しい。

 この一週間……。一週間しかなかったとも言うけど、頑張ったんだよ。それなりに。

 それなりといえばそれなりなんだけど……。


 先ほど雑貨屋で買ってきた壺を持って俺は川へとやってきた。

 ふっふっふっふ。

 壺の大きさは4リットルが入るかな? くらいなやつだ。

 これに魚を入れたとしても、たいして入れられない。

 でもでも俺には収納と『放出』さまがある!!

 MPはガンガン減るが、あのお方の威力は実に絶大である。

 前にナップザックに収納を使った時、使う前は月刊マンガが二冊、頑張れば三冊入るくらいだったけど、今だったら入り口さえ超えてしまえばかなりの量が入る。

 ぶっちゃけると、入れすぎると重くて俺が持てないだけで。


 なのでこの壺に、『放出』さまを使えば中は相当な大容量! しかも前回の『放出』さまのおかげで収納のレベルは8! なんと30%も広くなるとの事!

 さあやってみよー!

 ウキウキと放出を使う。調べるを見ながらやるとやっぱりどんどんMPが減ってくのが分かる。

 そしてレベルが上がった。


『レベルがMAXになりました。ボーナスとして魔力制御が5ポイントを獲得しました。スキル『引っ越し』を獲得しました』

『レベルがMAXになりました。ボーナスとして魔力制御が5ポイントを獲得しました。スキル『引っ越し』を獲得しました』


 収納って二個あるから、二つともレベルアップするのは分かってたんだけど、上位スキルだと思うものまでゲット出来るとは。引っ越しかぁ。……朝したばっかりだぞぉ? 

 熟練度上げるの難しそうだなぁ……。しかし、ボーナスなんてものがあるとは知らなかった。お得である。しかし、魔力制御か。

 ……魔法の威力が上がるステータスらしいんだけどね、これ。

 攻撃魔法らしい攻撃魔法持ってないからあんま意味ないな。


 あ、やっと自分のステータスを知る事が出来ました。

 『調べる』のレベル5でやっとです。昨日、あんなに頑張ったのに、まだレベル5です。先は長い……。

 それはともかく。

 レベル4で、自分自身のレベルを知りました。レベル5では自分のステータスです。

 お知らせは入るけど、『調べる』ではどこを探してもなかったんだよ。自分のレベルも。

 まさかレベル4でやっと知ることができるとは。

 スキルのもやっとこの段階でレベル表示が増えました。

 そこまで細かく分ける理由はなんだ!? と思ったよ。っていうか俺の感覚的にレベルって結構早い段階でみられると思ってたよ。それこそ自動回復よりも先に。

 出し惜しみするなってんだよなぁ。ほんと。

 

 あと、それとは別にちょっと謎な事が……。

 なんでこのタイミングでこのスキルが上がるんだ? なんて思う時もある。

 この辺もチュートリアルが見られるようになったら分かるかなあ……。

 っていうかさ。

 俺、最初は気づかなかったけど、スキルの中身って俺の意識を通してるせいか、日本語なんだよね。何度か家庭の医学読んだ後、気づいたんだけど。

 こっちの世界の言語って日本語に比べると怪しんだよ。簡単な文字くらいしか習ってなくて。

 なんせ、まだ六歳だし。短命種って分かって母さんが慌てて教えてくれたくらいで、学校にも行ってない。だから、こっちの世界の文字で書かれてたらさっぱり分からない可能性の方が高かったと思われる。同様にレベルアップの時に聞こえるのも日本語なんだよな。

 その辺は非常に助かってる。

 

 そんな事を考えながら、中身が広がった壺を川辺において、中に水を入れつつ俺は川を覗き込む。

 居る居る大きなお魚さん達。

 いつもよりちょい上流にきたし、この辺は大きいのも多そうだ。嬉しいですなぁ。

 上から見て大きい魚に呪怨と初級魔法(闇)を使い、生け捕りにし、壺に投げ込んでいく。

 乱獲するのも不味いだろうという事で二十匹。

 あと、呼吸するために水草も。

 苔むした石とかいれとけばいいかな?


 程よい大きさの石を川底から取り、壺の中にそっと入れようとして気づく。

 ……底に付く気がしない……。

 外からみたら、40センチくらいしかない高さなんですけど……。


 え? 放出さま? どれぐらい広げたんですか?


 俺はどきどきと壺を覗き込む。

 壺の中は暗く、唯一光が入ってくるであろう場所も俺が覗き込んでいては影が出来るだけだ。

 こんな時こそ照明を……。と壺の中に光を灯して、俺は……絶句する。


 底。見えない。光届いてない。ろうそく二本分の光とは言え……。

 ……広げすぎじゃないっすか?

 魚影もどこにあるのやら、だ。


 俺は明かりをさらに足す。試しにと水中に着くかも試してみた。普通についた。火じゃないからか。凄いな。


 俺は持っていた石をゆっくりと落とした。さらにいくつか中に沈めていき、光を分かる範囲の一番奥につける。壺内をがっつり明るくするくらいに。


「…………」


 ……見なかった事にしよう……。

 そう思う位には深かった。

 俺の身長よりも深いと思う。

 うーん。魚どうやって取りだそう。


 そう思いながら壺を持とうとして、あまりの重さに、俺の体はビクッと固まった。

 や、やばかった! 危うくギックリな事になる所だった! っという思いがよぎる。

 っていうか! 重すぎる! ぴくりともしなかった!

 これ、傾けて水を出すどころが、傾けることすら出来ないぞ!?


 初級魔法重力を必死にかけたが焼け石に水。

 これはもはや水がめを壊すしかないんじゃ、と思ったが、神は俺を見捨てなかった!

 収納の上位スキル『引っ越し』大先生が活躍してくれた!


 引っ越しのスキルは『生きていないもの限定。指定範囲(極小)をそのままの配置で移動できる』である。なんのこっちゃい!? って思ったけど! 簡単にいうと、範囲選択した物をA地点からB地点へと『一瞬』にして、移動させるのだ!

 そこに重さは関係ないらしく、ぴくりとも動かなかった壺があっさりと視界の端まで移動した!


 あ、ありがとぉおおおおおお!!!


 俺は誰にかは知らんが本気で喝采混じりの感謝を口にしたかったよ。

ちょびちょびと分割して予約投稿しています。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ